45周年を迎えた仮面ライダーシリーズ最新作、『仮面ライダーエグゼイド』に出演中の松本享恭さん。松本さん演じる花家大我/仮面ライダースナイプは、医師免許をはく奪されたいわく付きの元ドクターで、同じ仮面ライダーの主人公・永夢/仮面ライダーエグゼイド(飯島寛騎)や飛彩/仮面ライダーブレイブ(瀬戸利樹)にも攻撃を仕掛ける謎多きキャラクター。そんな大我にスポットが当たる第3話(10/16放送)に先駆けて、松本さんの役者としての“戦い”に迫りました。
『エグゼイド』の現場でも「バーン!」ブームが!?
◆ついに『仮面ライダーエグゼイド』の放送がスタートしましたね。
第1話放送のときは撮影中だったんですが、ちょうど空き時間になって、(飯島)寛騎と(瀬戸)利樹と僕の3人で一緒にロケバスの中で見てたんですよ。といっても1話は僕と利樹はほとんど出ていなくて、寛騎が自分の演技を見て恥ずかしそうにしていたのが面白かったです(笑)。僕らもそうでしたけどね。
◆松本さんご自身は第1話をご覧になって、どう感じられました?
すごく面白いなと思いました。今後、永夢の周りで僕が演じる大我を含む人間関係がどうなっていくのか期待が持てるなって。自分の初登場のシーンもずっと放送を楽しみにしていて、テンションが上がるんだろうなと思ってたんですけど、自分は意外と冷静でした。
◆初登場シーンは「バーン」ですね。Twitterでも共演者から“バーンの人”とあおられてますが。
はい、現場でもよくイジられてます。僕も僕で、撮影の合間にやるんですけどね。誰かがこっちを向いたときに「バーン!」ってやると、みんなも「ウッ…!」ってノッてくれたりして(笑)。(松田)るかちゃんにはよく変な声を出して真似されてます。
◆第2話は、大我と岩永徹也さん演じる黎斗の意味深なやりとりで幕を閉じましたね。
大我が黎斗の前に札束を投げて変身ベルトを買うところは、みんなからツッコまれました。「嫌な感じ出てるね~」とか「あの札束っていくらあったの?」って(笑)。実はこの札束のシーンは、大我役のオーディションのときにも演じたんです。それをきっかけに大我という役に興味が沸いたというのもあって、個人的には好きなシーンです。
◆では、大我はオーディションのときからやりたい役だったんですか?
もちろん最初は主役を狙ってましたよ(笑)。でも、オーディションで演じたときに大我もかなり面白そうな役だなと思いました。お金で変身ベルトを買うってどういうことなんだろうって。
◆そういう大我のキャラクターを松本さんはどうとらえていますか?
大我はまだまだ謎が多いんです。今のところは、ガシャットに執着している落ちぶれた闇医者という感じ。僕自身もこんなに嫌な奴を演じるのは初めてですが、新しい台本を読むたびに大我の過去のことが徐々に分かってきて、「こういうキャラクターだったんだ!」って驚かされることばかりです。
◆過去を知っていくと、演じ方も変わってくるんじゃないですか?
そうですね。この間も大我に関するある“秘密”を聞きまして。それを知ってからは、演じ方が変わりました。まだここでは言えないんですけどね(笑)。
◆大我の年齢は29歳。松本さんの実年齢よりだいぶ上ですが、演じるときに意識していることはありますか?
地声がちょっと高いので、そこは抑えるように意識しています。大我は、僕のキャリアの中で一番年齢が上の役なんです。舞台「黒子のバスケ THE ENCOUNTER」で演じた水戸部凛之助は高校生でしたし、その後「ヴェニスに死す」という朗読劇をやらせていただいたときは、もっと若い14歳とか15歳とかの役でした。そこから一気に29歳ですから(笑)。
◆あと、気になっていたのが大我の白髪なんですが、あれはやはり、同じく闇医者である「ブラック・ジャック」のオマージュですか?
それは僕も分からないんです。でも、大我は過去に何かしらあって、それが原因で白髪なんだと思います。ある程度の予想はしてるんですけどね。それが正解かどうか、僕も今後の展開が楽しみです。
スナイプになった実感が沸いた初変身は“別物”
◆第3話は、いよいよ大我の初変身回です。
予告で出てきた「俺が求めているのは(変身アイテムの)ガシャットだけだ」っていうセリフは、まさに第3話の大我を表していて、ガシャットに対する執着心をむき出しにしながら、永夢や飛彩と戦いを繰り広げます。素面のアクションもあるので、そこは見せ場ですね。『ウルトラマンX』でもご一緒させていただいた坂本(浩一)監督に、かなり動きをつけていただきました。
◆ご自身のアクションの経験は?
それこそ『ウルトラマンX』のときの坂本組で少しだけ。あとは殺陣くらいで、ほぼ未経験でした。動きを覚えるだけならいいんですが、カメラの向きを把握してどう見せようかとか考えていると、今度は芝居に頭がいかなくなるんですよね。自分でも仕上がりを見るのがちょっと怖いです。
◆もう1つ、何と言っても見逃せないのが、仮面ライダースナイプへの初変身ですね。
自分で「変身」と言ったときの感覚は今でも忘れられません。それから何度となく変身のシーンは演じていますが、あのときの変身は別物。自分にとって、すごく大きなことでした。仮面ライダースナイプとしての実感が沸いたというか。
◆変身ポーズは一発で決まりましたか?
それが、なかなかうまくいかなくて。大我は変身するとき、ガシャットに指をかけてクルクル回すんですけど、視線を落とさずにやらないといけないんです。だから、何度かNGを出してしまいました。
◆『エグゼイド』の現場ではどんなことが勉強になっていますか?
仮面ライダーはローテーションで監督が変わるので、キャラクターの人物像も監督によって微妙に違うんです。大我のことも、オラオラ系で好戦的に描く監督さんがいる一方で、ねじ曲がってるような暗さがあって人の目を見て話さないようなキャラクターとして描く監督もいて。そこはその都度話し合いながらやっています。こういうのも仮面ライダーならではで、難しくも面白いところですね。
◆松本さんご自身にしっかりとした軸がないと、役がブレてしまいますもんね。
そうですね。ちゃんと自分の考えを持っておくことが必要なんです。それに、監督とさまざまな角度で大我のことを話せるので、今まで以上に役について深く考えるようになりました。
九州・沖縄出身の3人での撮影でドツボに…!?
◆毎日撮影でお忙しいと思いますが、プライベートでのリラックスタイムはありますか?
僕は映画が好きなので、家で映画を観ながらダラーンとしているときが一番落ち着きます。それも初めて観る映画じゃなく、何度も観ている映画。当たり前ですが、初めての映画は集中して観るじゃないですか。でも、何度も観ている映画だったらもう内容も知ってるので、テレビみたいな感覚で流してるんです。
◆例えばどんな作品を流しているんですか?
日にもよるんですけど、マット・デイモンの「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」は大好きな作品で、よく流してます。以前は洋画ばかりでしたけど、俳優を目指すようになってからは邦画も観るようになりました。
◆今後、俳優として挑戦してみたい作品のジャンルはありますか?
特に、若者たちに焦点を当てた、最近のドラマで言うと『ゆとりですがなにか』や『HOPE~期待ゼロの新入社員~』のような、同世代として共感できる部分が多い作品に出てみたいです。
◆ちなみに、好きな女性のタイプはありますか?
よく笑う女の子が好きです。あとは…特にないかな。にぎやかな子でも静かな子でもいいし、別に趣味が合わなくても構いません。あ、でも言葉遣いと歩き方だけは気になるポイントです。歩き方というのは、別にモデルさんみたいに歩いてほしいということではなくて(笑)、かかとを引きずるような歩き方は気になって指摘したくなっちゃうかも。自分がモデルをやってたので、その影響もあるのかもしれないです。
◆松本さんは福岡県のご出身ですが、現場でポロっと博多弁が出たりは?
撮影で出ることはないんですが、この前、僕とるかちゃんと(博多)華丸さんの3人のシーンで、スタッフさんから「イントネーションがおかしい」と言われたことがあったんです。るかちゃんは沖縄、華丸さんは僕と同じ福岡出身。だから、そう言われても3人ともどこがどう違うのか全然分からなくて、結構テイクを重ねました。「今ので合ってない?」みたいな(笑)。
◆では最後に、その博多弁を交えて第3話のPRをお願いしていいですか?
えええ、難しい!(笑)。大我は嫌な男に映るかもしれませんけど、きっと“何だこいつ、面白そうだな”と感じてもらえると思います。(スナイプの)マントやちょっと目つきが悪い感じとかビジュアルもカッコいいのでぜひ見てほしいです。僕自身もガンシューティング好きですし、スナイプには僕の好きなものがたくさん詰まってるけん!(笑)
■PROFILE
松本享恭
●まつもと・うきょう…1994年12月27日生まれ。福岡県出身。B型。「2014トップコート20thスターオーディション」でファイナリストに選ばれたのをきっかけに芸能界入りし、2015年に『ウルトラマンX』で俳優デビュー。その後、舞台「武士白虎 もののふ白き虎」「黒子のバスケ THE ENCOUNTER」「夢見書房シリーズvol.1 リーディング『ヴェニスに死す』」に出演。『仮面ライダーエグゼイド』は『ウルトラマンX』以来、1年半ぶりの特撮ドラマで、初めて変身ヒーローを演じている。
■作品情報
『仮面ライダーエグゼイド』
テレビ朝日系 毎週(日)前8・00~8・30
原作:石ノ森章太郎
脚本:高橋悠也
監督:中澤祥次郎、坂本浩一ほか
出演:飯島寛騎、瀬戸利樹、松本享恭、岩永徹也、松田るか、小野塚勇人、甲斐翔真、町井祥真、博多華丸、野村宏伸
●撮影/中村 功 取材/甲斐 武