7月から放送されるMBS/TBS系列ドラマ『アゲイン!!』で、物語の軸となる応援団の団長でヒロインの宇佐美良子役を演じる早見あかりさん。「百瀬、こっちを向いて」(*1)では長編映画初主演を果たすなど、女優として着実にステップアップしている彼女に『アゲイン!!』への意気込みを伺いました。
当て書きの役を演じるのはプレッシャーです(笑)
――『アゲイン!!』に出演が決まったときの感想は?
最初に原作を読ませていただいたときに、まず宇佐美団長のビジュアルが「自分に似てるな」と思いながら読み進めていました。まゆげ太いし、黒髪だし、強そうだし(笑)。
後から聞いたんですが、原作者の久保ミツロウさんが私のイメージで当て描きしてくださったみたいで、“そりゃ似てるよなぁ!”って。
描いてくれたこと自体にまず驚きましたし、うれしかったです。その役を自分が演じることができるというのも本当に素敵なことだと思いましたが、同時にプレッシャーでもあって。
楽しみな気持ちもあるんですけど、ちょっと頑張らなきゃいけないなと思っています。
――外見はそっくりですが、内面で似ていると感じたところはありますか?
宇佐美団長と同じように、誰に何を言われようと芯がブレない部分もあるんですけど、私は時々自分が思っていることよりも良い意見を言われるとすぐにそっちに…芯があるけどブレやすいんですよね(笑)。矛盾しちゃってますけど。
だから似ているようで似てない。宇佐美団長のほうが私よりも全然強いなって思います。
――たしかに強いですよね。応援団は、初めは宇佐美団長ただ1人ですもんね。
そうなんです。最初の登場シーンが、全校生徒の前で1人で校歌を歌うところから入るんです。
私は小さいころから目立つのが好きで、委員会の委員長になったときは全校生徒の前で発表したりしたんですが、その時でさえ、「うっ」って気持ちでした。今回は撮影なので、知ってる人のほうが少なくて緊張してますけど、ここであたふたしてたら何もできない(笑)。気持ちを強くもっていないとメンタルが持ちません。
――応援団といえば、かなり体力を要すると思うんですが、体力に自信はありますか?
あんまり自信ないんです…。
応援団の監修をしてくださる方たちの映像を初めて見たとき、「レベルが違うな」とあらためて思いました。
クランクインの前から応援団の練習が始まるのですが、「練習ワクワク♪」という浮ついた気持ちが一切なくなって、若干怖いです(笑)。気合入れて行きます。
学ラン姿には自信があります
――衣装の学ランを着てみていかがでしたか?
似合うんですよ(笑)。本当に学ランだけは似合う自信があるんです。小・中・高と応援団をやっていたんですが、中学のときは男子の学ランを借りて着るんです。前髪とかも全部上げて、ポニーテールにして。そのときから似合うなと思っていました。
――楽しみです。原作ではロングヘアの設定ですが…。
前髪も後ろ髪もエクステを付けます。「百瀬、こっちを向いて」で45センチ切って、そのあとにドラマ『斎藤さん』で、人生で初めて髪を染めたのが金髪で、今回はかなり長いエクステで…。
髪の毛に対する執着心はないので、切るときは「やっちゃえ!」ってサッパリしてます。
――共演者の印象はいかがですか?
まだ撮影前なんですが、主人公の藤井流星さんとは本読みのときに席が隣だったので、少しお話しました。
私が関西でお世話になったメイクさんが、藤井さんのグループのメイクさんだったんです。なので、まだこのお話をいただいていない時からお互いに知ってはいたので、そのメイクさんの話題でちょっとお話しました。
藤井さんも人見知りで、でも打ち解けていくと扱いが適当になるらしくて。私も同じタイプなので、メイクさんの話題がなければ何もしゃべれなかったかもしれません(笑)。
――藤井さんが演じる主人公・今村金一郎は、高校時代をタイムスリップしますが、もしタイムスリップできるとしたら?
戻りたいというわけではないんですが、もしタイムスリップするのであれば、芸能生活をしていない自分がどうだったのかすごく気になります。小6で芸能界に入って、この仕事が自分にとって大きな軸になっているので、それが全くなくなったらどんな人生を歩んでいたのか気になります。
――どんな人生を歩んでいたと思いますか?
多分、ちゃんと勉強していい大学を目指していた気がします。私、1つのことに対して向ける熱はすごく熱いんですけど、2つのことに熱を向けられないんですよ。だからこの仕事を始めたときにすごく楽しくなっちゃって、勉強は“ポーイ!”と捨てちゃったんですよ(笑)。大学に行くのも夢の1つだったので、大学に入って就職してっていう人生だったんじゃないかな。
主演映画は“ちょっと出番が多い人”っていう感覚
――主演映画「百瀬、こっちを向いて」や『ウレロ☆』シリーズ(*2)などで、いろいろな経験を積んできましたが、ご自身で成長を感じる部分はありますか?
長編映画の初主演は、すごいことだと思いましたが、正直主演に対してのプレッシャーは感じてなかったんです。
「主演だから、みんなを引っ張っていくぞ!」とかもなく、“ちょっと出番が多い人”という感覚で、それまでのお仕事と同じように、全力で取り組むスタンスだったんです。だけど公開が近づくにつれて、主演にかかる期待やプレッシャーに気付いて初めて、これは“ちょっと出番が多い人”じゃなかったなと(笑)。
でも、後から気が付いたので、主演を経験したからこれを生かすというのは特にないですね。『ウレロ☆』に関しては、毎回鍛えられているというのは感じます。
――『ウレロ☆』は、日本では数少ないシットコムですし、劇団ひとりさん、バカリズムさんをはじめとするあのメンバーの中でお芝居をするのは貴重な経験ですよね。
皆さん本当に恐れ多い方ばかりで、アドリブも飛び交う中で、最初は戸惑いばかりでした。シーズン1から3、舞台をやるにつれて、ずっと同じ方々とお芝居をするので、その都度成長を感じます。自分の中でもポジションが分かるようになってきたし、オチとか大事な場面で私に振ってくれたりするので、信頼関係もできていると感じます。結構ぶっ飛んだ役を演じてきて、今回のドラマの役柄も、普通の人からすれば違和感を抱くような役だと思うので、そこは生きると思います。
「この人嫌だ」って思われるような悪役をやってみたい
――今後挑戦したい役柄はありますか?
高校生や、同世代の今しかできない役ももちろんやっていきたいですが、誰が見ても「この人嫌だ」って思われるような悪役をやってみたいです。
今すぐに悪役をやりたいわけじゃなくて、仕事でも、プライベートでもいろんな経験を積んでいって、もっとたくさんの人の気持ちが分かるようになった時に、その役を演じて、それを見た人が「早見あかり」がこの役をやっているという捉え方ではなく、「この役の人嫌い」とか「怖い」とか「気持ち悪い」って思った人が私だった、という演技のできる女優になりたいと思っています。
――お仕事ではいろいろな経験をされていますが、プライベートで何か挑戦したいことはありますか?
ひとり旅ですね。以前は一人で何かをやることが苦手だったんですが、最近はできるようになって。
何も考えずに、ぷらーっと旅をしたいです。一回、本気で試みようとしたことがあったんですが、お母さんに反対されてやめました(笑)。私がやりたいひとり旅は、スケジュールをきっちり決めて、泊まるホテルも用意して…っていうのじゃなくて。泊まるところもその場で決める行き当たりばったりの旅がしたいんです。もう少し大人になったら挑戦します!
――最後に、『アゲイン!!』への意気込みをお願いします。
宇佐美団長は、周りに何を言われようが関係なく、自分の意志を貫き通すという、今の世の中ではあまりいないタイプの人。現実では、周りの目を気にして自分のやりたいことを思うようにできないと思うんです。今回のドラマの中で、団長の周りの人たちが、彼女に影響されて一緒に仲間になっていく姿を見て、「全力で取り組む姿勢って大事だな」って見た人に思ってもらえるような、そういういいドラマになればいいなって思います!
*1『百瀬、こっちを向いて』
2014年5月に公開された恋愛映画。早見の初の長編映画初主演となった作品で、日本での公開と前後して、イタリアの第16回ウディネ・ファーイースト映画祭にて上映された。
*2『ウレロ☆』シリーズ
2011年に『ウレロ☆未確認少女』が放送され、シーズン3まで続く人気のシットコム。観客を前に実際に一発本番を演じる、というスタイルで収録する。出演は劇団ひとり、バカリズム、東京03、早見あかりほか、豪華なゲストが出演。2012年にシーズン2『ウレロ☆未完成少女』、2013年に『舞台 ウレロ☆未公開少女』、2014年1月からはシーズン3『ウレロ☆未体験少女』が放送された。
PROFILE
早見あかり
はやみ・あかり…1995年3月17日生まれ。東京都出身。A型。
『ここはグリーン・ウッド~青春男子寮日誌~』でドラマデビュー。以降、『ウレロ☆』シリーズ、『斉藤さん2』など数々のドラマに出演。映画「百瀬、こっちを向いて。」(2014)で長編映画初主演を果たす。7月から『アゲイン!!』にヒロイン宇佐美良子役で出演するほか、9月から放送の連続テレビ小説「マッサン」への出演も決まっている。また、2015年1月30日(金)から2月1日(日)まで東京・六本木ブルーシアターにて上演される「ウレロ☆」シリーズ舞台第2弾にも出演。
オフィシャルサイト(http://official.stardust.co.jp/akari/)
ドラマ情報
ドラマ『アゲイン!!』 MBS/TBS系列
MBS 7月20日(日)深0・50~1・20(予定)
TBS 7月22日(火)深1・11~1・41(予定)
原作:久保ミツロウ「アゲイン!!」(月刊少年マガジン掲載)(講談社刊)
監督:李闘士男
脚本:高山直也
出演:藤井流星(ジャニーズWEST)、早見あかり ほか
公式HP(http://www.drama-again.com)
(c)2014「アゲイン!!」製作委員会
(c)久保ミツロウ・講談社
●取材/高木祐美、田代良恵