中村倫也インタビュー「永遠の命題は“体の大きい赤ちゃん”を笑わせること」ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』

特集・インタビュー
2017年03月10日

堤真一演じる冴えない会社員が、突然スーパーヒーローに任命され世界平和と家庭問題の狭間で奮闘する『スーパーサラリーマン左江内氏』。藤子・F・不二雄のSF漫画を原作に、福田雄一の脚本・演出で実写化された今作で、刑事・小池(ムロツヨシ)の相棒・刈野をコミカルに演じる中村倫也さんに、ドラマについて、そして自身の役者としての思いを語ってもらった。

娯楽として一番上質なのは“笑い”だと思う

中村倫也インタビュー

◆いよいよ最終回も間近な『~左江内氏』。ここまで演じられていかがですか?

スーパーマンという大きなものを扱ってるのに、めちゃくちゃささやかなところで汗をかき、振り回されているというこの作品。僕らは視聴者にとって安心できる“お約束”というか、ちょっとした箸休め的な部分を担えればいいなと思って演じています。僕自身、コミカルな役を演じることは決して得意ではありませんが、「笑い」は大好き。娯楽として一番上質なものは「笑い」だとずっと思っているので、それを提供すること、そういう作品に関われるっていうのがすごくうれしいです。でも笑いって、受け手の反応が分かりやすいので、実は毎回びくびくしながらやってるんですよ。自分の色を出し過ぎることや、無理はしちゃいけないなと思っていて。無理して、頑張って笑いをとろうとすると「あの人、頑張ってるな~」になっちゃうし、それだと笑いは生まれない。頑張ってるのをいかに、さも肩の力が抜けてるかのように見せられるかが意外とシビアというか、怖いところではあります。

◆ムロさんのお芝居を近くで見ていていかがですか?

もちろんすごい人だなと思わされる場面はたくさんありますが、あの人を褒めるのは、あの人の営業妨害になるので褒めません(笑)。小池がいかに事件を解決したかを話すお約束の場面は、毎回完全にアドリブ。僕もそれに合わせてその場で合いの手を入れるんですが、何か最近「育っていってるな」と感じてます。その他の場面でも、福田さんの書いた台本に沿いながらも、ちょいちょい勝手にアドリブが入って来たりするんです。見る方でいたら楽しいと思うんですが、やってるこちらは毎回何が来るか分からないので、必死なんですよ。そんな中での僕らの永遠の命題は“体の大きい赤ちゃん=福田さん”を笑わせること(笑)。福田さんってうれしい笑い方をしてくれるんですよ。ちゃんと大声で笑ってくれるというか…。本番中でも笑っちゃったりして、そのせいで「カット! ちょっと監督!!」なんてことも以前ありました(笑)。そんな福田さんを始め、キャストスタッフ全員が心から楽しんでいて、楽しいことを期待している現場にいられることがうれしいし、その空気感は見ている人達にもきっと伝わっていると思うので、是非最終回まで楽しんでいただきたいです。

生田斗真君は“お兄ちゃん”。去年は「生田元年」です(笑)

中村倫也インタビュー

◆昨年の『闇金ウシジマくん Season3』などでの過激な役柄から、今作のようなコメディまで、さまざまな役柄を高い演技力でやってのけている中村さん。最近の活動を通して、充実感のようなものは感じますか?

充実…というか、年々密度が上がってるという感覚の方が近いかな。特に去年から今年にかけては、デビューする前からずっと出たいと思っていた劇団新感線の公演(「Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!」)にも出させていただいたり、ウシジマくんのような役や、念願だったナレーションの仕事も出来たりと特に密度が濃かったかもしれない。でも、それに充実感を感じたり、満足したりっていう感じではないですね。僕、もしかしたら一つネジが飛んでるのかもしれなくて(笑)。普通、何か目標を掴もうとして努力して、そのチャンスがあったら、そこで一度そのことに対する振り返りというか、感情的な「一件落着」があってからまた次のことを始めると思うんですけど、その「一件落着」の部分が多分抜けてて…。何かを始めた瞬間にもう次のことを考え始めちゃうというか。満足、充足、ってことができない人間なのかもしれません(笑)。

◆そんな中で、印象的な出会いはありましたか?

最近で言うと生田斗真君ですね。去年は新感線の舞台と映画「先生!」の撮影もあって、半年ぐらい一緒で。だから去年は「生田元年」というか(笑)。今もちょいちょい飲みに行ったりしますし、僕にとってはお兄ちゃんみたいな存在。実際に“お兄ちゃん”って呼んでます(笑)。お兄ちゃんって何かいい感じじゃないですか? とはいえ実の兄のことは“兄貴”って呼んでるので、“お兄ちゃん”って生まれて一回も言ったことなかったんですけどね(笑)。もちろん彼が人としてお兄ちゃんみたいな存在という意味でもありますが、一番は「“お兄ちゃん”って呼んだらあの人照れるかな?」みたいな気持ちから。ただただ生田斗真を照れさせたいし困らせたい、それに尽きます(笑)。

◆ほほ笑ましいですね(笑)。それでは最後に、今後の目標をお聞かせください。

これまで通りの活動はもちろん、ナレーションの仕事も今後もっとやって行けたらなと思ってます。元々ドキュメンタリーとかを見るのが好きっていうのもあるし、先輩に声を褒めてもらえることが多かったので、興味がずっとあって、かれこれ5年位やりたいと言い続けていて。それがやっと最近実現したんです。声だけで表現するって難しいことでもあるし、役者として一個、自分の“表現”にプラスできる何かがあるんじゃないかなという思いもあるので、頑張って行きたいです。

 

■番組情報

『スーパーサラリーマン左江内氏』
日本テレビ系
毎週(土) 後9・00~9・54

http://www.ntv.co.jp/saenai/

※Huluオリジナルストーリー『ラーメン小池の鬼の取調室(仮題)』の配信も決定!
出演:ムロツヨシ 中村倫也
3月18日(土)本編最終回の地上波放送後より配信開始
※全3話

http://www.ntv.co.jp/saenai/spinoff/

 

■PROFILE

中村倫也インタビュー中村倫也
なかむら・ともや…1986年12月24日生まれ。東京都出身。A型。映画「愚行録」が公開中。「3月のライオン」【前篇】が3月18日(土)、【後篇】が4月22日(土)、「先生!」が今秋公開。主演舞台「怒りをこめてふり返れ」が7月12日(水)よりスタート。



●photo/中田智章