レビー小体型認知症をモチーフとした人間賛歌ムービー「話す犬を、放す」(公開中)の初日舞台あいさつが行われ、出演者のつみきみほ、田島令子と熊谷まどか監督が登壇した。
パーキンソン病のような症状や幻覚・幻視を見るなどの症状が出る“レビー小体型認知症”をモチーフに夢を追求すること、介護問題を絡めて“生きる”ということをコミカルかつリリカルに描いた本作。母が同病を患ってしまう売れない女優の主人公・レイコを演じたつみきは、本作への出演について「現在、福祉の勉強や介護ヘルパーをしていて、脚本を読んだ時、あまりにも自分にぴったりだと感じ、進んで参加させていただいた」と。いっぽう自身の母親が“レビ-小体型認知症”を患ったことがきっかけで本作を書いたという熊谷監督は「つみきさんが介護の勉強をしていることは知らなかった。つみきさんと言えば『櫻の園』のイメージが強烈で、ずっとお芝居が大好きな演劇少女のまま、成長した女優さんというイメージでお願いをした」とつみきのキャスティングの理由を明かす。
つみきいわく、撮影中は監督が大阪出身ということもあり、常に“大阪のお笑いのノリ”であまりちゃんとしたアドバイスを貰えなかったそう。しかし、つみきにとって重要なシーンで演技に悩んでいると「『レイコならいまどんな気持ちだと思う?』と一言投げかけてくれたおかげで自分の中で再確認し、演技に臨めた。ただの大阪のお笑いのノリなだけではないのだなと心強く思えた」と監督にツッコミをいれながら撮影を振り返り、会場を沸かせた。
また、つみきとの共演について田島が「とてもピュア!でも思い詰めすぎて、じっとしていなくて、いつもどこかに行っちゃったりする」と話すと、つみきは「田島さんの娘役、そして田島さんの若い頃の2役を演じるということで、食事のシーンでは左利きの私に合わせて利き手を変えてくれた。言葉に尽くせないくらい感謝している」と感謝の言葉を伝えるひと幕も。
続けて、劇中で医師が認知症について簡単なクイズを用いて診断するシーンが登場することにちなんで、舞台上で“認知症テスト”が行われることに。1問目の「今日の日付は?」という質問に声を合わせて正解した2人はその後も見事に正解をぴたりと言い当て、全問正解し会場、MCを驚かせる。そんな様子を見た田島から「本当に失礼だわ!」と茶目っ気たっぷりなツッコミが入るなど、終始大盛り上がりの一同。最後に熊谷監督が「コメディとして作りました。クスッと笑って元気になっていただけたらと思います。是非、ご覧になった感想を周りの方に伝えていただき、『話す犬を、放す』が皆さんの元に放たれていけばうれしいです」と熱いメッセージを送り、イベントを締めくくった。
「話す犬を、放す」
有楽町 スバル座 ほかにて公開中
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