5月5日(金・祝)より全国公開される、ナホス・キュアロン監督作、アメリカとメキシコの国境を舞台に繰り広げられるサバイバル・エンタテインメント映画「ノー・エスケープ 自由への国境」。
製作プロデューサーのアルフォンソ・キュアロンが、息子ナホス・キュアロンの脚本に瞠目し「とても面白いコンセプトだ。私もこんな映画を作りたい」と告げて作られたのが、第86回アカデミー賞を受賞した「ゼロ・グラビティ」。本作「ノー・エスケープ 自由への国境」は、傑作「ゼロ・グラビティ」の原点といえる作品だ。
映画公開を前に、放送作家の倉本美津留と映画評論家の松崎健夫という異色の顔合わせによるトークイベントが開催された。
試写会後に行われたトークイベントで、本作を見終えたばかりの観客に向けて松崎は「親子で映画制作を手掛けていて、ここまでがっつり二人で作るというのはなかなかない」と述べ、出演者のガエル・ガルシア・ベルナルとジェフリー・ディーン・モーガンの共演については「南米のスターと北米のスターが出演ということで、本来だったら一緒の映画に出るはずもない二人が共演しているというのもポイントだと思う」と語った。倉本は本作について「非常にインパクトがある作品だと思ったのと、映画でもなんでもそうなんですけど、自然の流れに任せて、見るべきタイミングで見るものに出くわすんだなと思いましたね」とコメント。
また、松崎は「最近、壁や国境など巨壁のようなものを舞台にした映画が多い。『メイズ・ランナー』『ダイバージェント』『グレート・ウォール』など日本では『進撃の巨人』などもあり、しかも今年はアカデミー賞候補作品で『フェンシズ(原題)』という映画もある。これも『ノー・エスケープ 自由への国境』と一緒で、この作品が2年前3年前に公開されていたら何も思わないだろうが、今見るとみんなトランプ政権に結び付けると思うんですよ」と本作が今上映される意味について力説した。
松崎は続けて「僕らがどうこう言うんじゃなくて、10年20年先にこの作品を見た人が、この2017年のころを思い返したときに、こういう共通点がある映画が上映されていたんだな、と研究してくれるんじゃないかな」と分析。倉本は松崎の解説に頷きながら「優れた作品や表現は“予知ったり”するんですよね」と同意した。続けて倉本は「実は今絵本を作っていて、3年ぐらい前から描き始めているんですけど、壁がテーマなんですよ」と語り、会場を驚かせていた。
また、本作の驚いた点について倉本は「88分がこんなに早く感じことに驚いた。早!と思いました。こんなに短く感じるのかって。シンプルだからこそのリアリティがあって。演出が優れている証拠ですよね。あと一番驚いたのは犬ですね!なんじゃあいつ、あんな演技する!?って思いました。あそこまでできますか?犬って(笑)」と襲撃者サム(ジェフリー・ディーン・モーガン)の相棒の犬の演技と演出について唸らされた様子。
松崎は「この映画は、移民の人たちが必ずしも善として描かれていない。面白いところは、狙撃するアメリカ人も悪いんですけど、移民たちも悪いんじゃないかと思えるんですよ。別の角度から見ると、トランプ大統領が言っている“不法移民の排除”がちょっとわかる映画になっているのが面白いところですね」とさまざまな視点から見るといろいろな見え方・感じ方が出来る作品になっていると解説した。
最後に倉本は、「日本にいても、いまや遠い国の関係のない話ではなく、身近に感じてしまう時代ですけども、これを見た日本人がどう思うのかというのは非常に重要だと思います」と締めくくった。 倉本は自身の体験と笑いを交えながら本作について語り尽くし、松崎は過去の作品と比較しながら、本作が<今公開される意味>を力説した。
映画「ノー・エスケープ 自由への国境」は、5月5日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー。
<作品情報>
正体不明の襲撃者。水なし、武器なし、逃げ場なし。希望はあるか―。
メキシコ=アメリカ間の砂漠の国境で、不法入国を試みるモイセスと15人の移民たち。そんな彼らに突如襲い掛かる糾弾。襲撃者は正体不明。
“自由の国”を目指す命懸けの逃走劇が始まる。
■CAST&STAFF
監督:ナホス・キュアロン
プロデューサー:アルフォンソ・キュアロン
脚本:ナホス・キュアロン、マテオ・ガルシア
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガン
©2016 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.