シカゴを舞台に、消防士たちが命を懸けて人命救助に当たる姿とともに、人間模様も巧みに織り交ぜて描いたレスキューアクションドラマ「シカゴ・ファイア」。同じシカゴを舞台にした「シカゴ・P.D.」「シカゴ・メッド」などスピンオフも生まれる人気シリーズとなっている。日本では現在、AXNでシーズン3が放送中。DVDはシーズン2のDVD-BOXが7月5日(水)に発売。本作で救助第3小隊の小隊長、ケリー・セブライド役を演じるテイラー・キニーにインタビュー。
俳優をしていなかったらそれこそ消防士をしていたかもしれない
◆レスキューアクションということで人命救助のシーンなどハードなシーンもたくさんあります。精神的にも体力的にも演じる上での苦労などはありますか?
「このドラマに出演するにあたり、むしろ精神的にも肉体的にも大変タフな役柄ということに惹かれて、このセブライド役を受けたので、あまり苦労とは感じていません。肉体的な部分でいうと僕は動き回ることが好きなので、俳優をしていなかったらそれこそ消防士をしていたかもしれない。それぐらい想像に難くない仕事だったのでこれは自分にとっていい役でした。演じるセブライドは、単純な男ではなくていろんな暗部というか、欠点がある役なので、それのほうが俳優としてのぞむところで、例えば家族劇でずっと家にいるようなお父さんを演じるよりも、セブライドのようにいろんなところで活躍している役のほうがエキサイティングに感じます。その分精神的な大変さはありますが、セブライドはワクワクして取り組める役だと思っていますよ」
◆セブライドを演じるに当たり役作りや消防士役ということで何か特別なトレーニングなどはされているのでしょうか?
「トレーニングに関して言うと、ドラマの放送開始の前にパイロット版の撮影をしました。2012年3月だったかな。その2週間ぐらい前に訓練に入ったんです。シカゴ消防訓練学校に行って、いろんな火災現場のシミュレーションをしたり、コンテナの中に煙を焚いてその中に入ったりとか、ギアの取り外し方、言葉の使い方、専門用語の使い方だとかを学びました。シカゴには6つの消防署があるんですけど、皆さんに協力を頂いて、出動があれば一緒に帯同することもありました。僕は第2救助隊と一緒に帯同して見学させていただいたんですが、彼らの会話を聞きながら、ニュアンスを拾ったり。消防士だけではなくて、警察官や事故現場に最初に駆け付ける作業員たち、彼らから学んだ数々のものをスクリーンに生かしています。現場で働いている人たちと友情をはぐくめたので、今でもどうしたらいいのか分からないときは彼らに聞いて参考にしています」
◆演じるセブライドとご自身で似ている部分と、また『シカゴ・ファイア』にはさまざまな登場人物がいます。テイラーさんが尊敬する人物はいますか?
「セブライドを人間性のあるキャラクターにしたいのでどちらかというと自分の要素を取り入れています、例えばスタントもなるべく自分でやるようにしています。炎の中をかけまわったりビルの屋上から降りたりするところはできる限り自分で演じています。プロデューサーに止められるときもありますが、自分でしたほうが楽しくて充実感もあるので。尊敬するキャラクターをあげるなら、やっぱりボーデンかな。知恵があって、身のこなしが立派で、大の大人の男女を仕切っているわけですから、リーダーとしての資質もあり、頼りになる尊敬する人物だと思います」
◆現在アメリカではシーズン6の放送も決まりました。シーズンを通じて登場人物たちの成長も見どころになると思いますが、セブライドの成長した部分はどこだと思いますか。
「6シーズンのゴーサインが出ました。通算100エピソード以上、足かけ5年ほどセブライドと付き合っているんですけど、成長に関して言いますと、これは仕事をしている方ならば誰しもがそうだと思うんですけど、経験を積んで成長を遂げ、それが人間としても成長していく、それはセブライドも例外ではないと思います。やる気のある人であればより仕事の成果を発揮していく、彼もまたしかりだと思います。仕事が大好きな人間であること、一緒に働いている人たちが大好きであること、ということも変わらない。同僚との関係性は成長を遂げたり発展したりしていますよね。それとある程度自信を身に着けた男になっていると思います。消防活動においてはより力量を発揮するようになっていると思います。ただ恋愛に関してはあまり学んでいなくて、まだ不器用ですが、それでも頑張って前へ前へ進もうとしています」
日本では東京以外のいろんな街も見てみたい
◆今回、初来日と伺いました。日本はいかがですか?
「まず最初にびっくりしたのは東京って広いなって(笑)。とても1週間では吸収しきれないなと思いました。日本に来る前から、いろんな田舎に行ってみたい、それと食事を楽しみたい、友達と一緒にひとときを楽しみたいと考えていました。また次来ることがあれば、やっぱり東京以外のいろんな街も見てみたいですね」
◆東京以外の街というのは歴史や風景などに興味があるのですか?
「僕は趣味で写真を撮るんですね、デジタルじゃなくてフィルムで撮るのが好きなんです。だからいろんな風景やものを撮影しているので、帰ったら写真の現像するのが楽しみで仕方がないんです。それを現像して額縁に飾りたいと思っています。やっぱり日本の伝統的なところ、それともともと田舎育ちなので風景を見たり、寺院を見たり、あるいは日本の歴史的建造物を見てみたいですね、これぞ日本というところを見てみたいですね」
◆シカゴシリーズが作られている、シカゴの街の魅力を教えてください。
「シカゴは重要な登場人物の1つです。シカゴシリーズは基本的にロケが多いので、背景の中に必ずシカゴがいるんですが、その姿が細部まで拾えているんですね、エルドレインがあるなとかウェルスタワーがあるなとかミシガン湖があるとか。あの船があるとか。L.A.のスタジオで撮影しているだけでは描けないようなシカゴが描けています。クロスオーバーしているので『シカゴ・P.D.』では夜のシカゴが映し出されます。そうすると新たな発見もあるんですよ、夜のシカゴは美しいんです。スタッフが全員そろっている中で、夜野外で撮影していると、外にはトレーラーが立ち並ぶ中でいろんな照明とか輝いていて、まるでサーカスのような、その光景がとっても僕は好きなんですよね」
◆『シカゴ・P.D.』をはじめスピンオフが増えていますが、増えることにうれしい気持ちのほうが大きいですか?それともやはり大変って気持ちのほうが…?
「クロスオーバーって非常に楽しいし、ほかの作品のキャストと仲良くなれるのも楽しいですよ。いろんなシリーズをやっているとスタッフの成長も見られるのが楽しいんです。ほかのシリーズでは偉くなっていたり、それを見届けるのは楽しいです。でもその代わり宿題は大変ですけどね。例えばシーズン5ではセブライドは交通事故に遭うんですよね。警察に届けなきゃいけない、これは『シカゴ・P.D.』の世界ですよね、そして今後は弁護士に合わないといけない、となると『シカゴ・ジャスティス』の世界。となると3つのストーリーラインを追っていかないといけない。どこかに矛盾が起きないようにしないといけないのでそのトラッキングが大変ですね。1エピソードで大体55ページぐらいの台本だからそれが3つのエピソードだと165ページ分を押さえないといけないという大変さはありますけど、やるだけの価値はあります。アメリカでは非常にクロスオーバーのエピソードに対して反響がいいので、『P.D. 』で活躍する彼が好きならば、彼が『ファイア』で活躍するのを楽しみにしてくれたり、客層が増えていくんです。今回は実験例だったと思うんですけど、成功だと思います」
■作品情報
『シカゴ・ファイア シーズン2』
DVD-BOX 7月5日(水)発売
価格:¥9,500(税抜)
VOL.1~6レンタル中、VOL.7~11レンタル 7月5日(水)レンタル開始
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
『シカゴ・ファイア シーズン3』
海外ドラマ専門チャンネルAXNで日本独占初放送
毎週(木)後10・00~
●photo/金井堯子