8月5日(土)公開の映画『スターシップ9』のトークイベント付先行上映会が行われ、アテム・クライチェ監督、入江悠監督が登壇した。
本作は、『ザ・マシーン』『インターステラー』『エクス・マキナ』『オディッセイ』といった本格SF作品の系譜を継ぐ興奮の近未来アクションドラマ。メガホンを取ったのは、映画専門誌VARIETYにて「注目すべきスペインの若手映画製作者の一人」に選ばれ、多くの国際映画祭から注目を浴びるアテム・クライチェ監督だ。
イベントには、アテム・クライチェ監督のほかに、映画『22年目の告白 私が殺人犯です』が大ヒット中の入江悠監督が登場。スペインと日本の映画界を担っていくであろう若き監督同士による貴重なトークイベントとなった。
映画を観終わった観客の大きな拍手に迎えられたアテム・クライチェ監督は「(ヨーロッパ人にとっては)近未来の象徴であるような日本で、こうして映画を公開してもらえてありがたい。初めて来日することができて非常にうれしい」とあいさつ。
入江監督は「ハリウッド以外のSF映画を観られる機会は貴重。(本作は)本当にシャープでコンパクトで凝縮されていた。僕が撮った『太陽』のスケールを大きくした感じ。とにかくアイデアが素晴らしかった。とても面白かった」と作品を絶賛した。
入江の絶賛コメントに笑顔を見せながら、アテム・クライチェ監督は「この映画はSFという感じで始まるが、SFの部分がテーマではなくSF自体がこの映画の文脈というか背景という形で私は描きました。ジャンルに関してはアメリカでは“グランドサイファイ”という現実や地上の世界に根差したSFというジャンルになるかと思います。宇宙船の世界がテーマではなくて、その後に続く物語がこの映画のメインテーマになるのです」と映画のコンセプトについて熱く語った。
また、SF映画について入江監督は「一番難しいのは、SF映画はハリウッドが多いのでどうしても比較で見られてしまう。特に美術面ですよね。本作みたいなものを日本で作ろうとするのは不可能だと思うんです。世界と日本のSFっていうのは実写の世界で言うとそれだけ差ができてしまっている」と語ると、アテム・クライチェ監督も「スペインも同じ状況です」と、日本や小さな国での映画環境とハリウッドや中国映画との違いを嘆く場面も。
しかし、入江監督からの「これからもSFを作るのか?」との問いに、アテム・クライチェ監督は「これからもこういった形でのSF、あるいはSFを使ったアプローチで映画を作っていきたい。SFは僕も大好きなジャンルですし、SFの要素を取り入れて現実味のあるストーリーを語りたい。楽しみです」と目を輝かせていた。
『スターシップ9』
8月5日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:アテム・クライチェ
プロデューサー:クリスチャン・クンティ、ミゲル・メネンデス・デ・スビリャガ
出演:クララ・ラゴ、アレックス・ゴンザレス、ベレン・エルダ、アンドレス・パラ
配給:熱帯美術館
<ストーリー>
エレナはまだ見ぬ未知の星を目指して、一人恒星間飛行を続けていた。一緒に飛び立った両親は既にいない。近未来、過度の公害に汚染された地球には未来はなく、人類は新しい星への移住を必要としていた。ある日、スペースシップの給気系統が故障し、エレナは近隣のスペースシップに救援信号を送る。その呼びかけに応えて姿を現したのが、エンジニアの青年アレックスだった。一目見て、互いに恋に陥る二人。しかし、エレナはこの飛行に隠された秘密を知らなかった。それは、人類の未来を賭けた高度な実験だった。二人はなぜ出会ったのか――。
©2016 Mono Films, S.L./ Cactus Flower, S.L. / Movistar +/ Órbita 9 Films, A.I.E.