山本耕史&J・C・ミッチェルの生歌に会場大興奮『パーティで女の子に話しかけるには』プレミア上映

映画
2017年10月20日

『パーティで女の子に話しかけるには』プレミア上映 12月1日(金)公開の『パーティで女の子に話しかけるには』のプレミア上映が都内で行われ、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督と山本耕史が登壇した。

 ミッチェル監督は「15年ぶりに日本の映画館に戻ってこられてうれしいです。(『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』劇場公開時のメイン館である)シネマライズがもうなくなってしまったのは残念ですが、この映画は日本の観客の心に残るものになることを願っていますし、そうなる予感がしています。なぜならこの映画は初恋についての映画だからです。パンク少年とエイリアンによるものだけどね(笑)」とあいさつ。

 本作は、ニール・ゲイマンの短編が基になっているが、本作を手掛けることになった経緯についてミッチェル監督は、「もともとは気心の知れているプロデューサーが開発していた企画ですが、何年もかけて僕のことを口説いて引っ張りこんでくれたんです。原作ではワンシーンしか描かれていなかった物語を、時間をかけて膨らませて、より豊かな世界に広げていきました」と説明した。

 遠い惑星からやってきた女の子ザンを演じたエル・ファニングについては、「一緒に仕事をしてきた中で、今までで一番楽しいと思わせてくれた女優です。スターであると同時に女優であるというのは難しいことだと思うのですが、彼女はその両方を兼ね備えていて、この映画は彼女にとってそれを両立させた初めての作品ではないかと思います」と絶賛。

 また、ニコール・キッドマンが、パンクのゴッドマザー的存在であるボディシーア役として出演していることについて、「今回は、いつも彼女が演じるような役とは全く違う、汚れた役をやってもらいました。実は、あるシーンの撮影中、パンク少年が彼女の顔につばを吐き続けたり、ギターの角が頭に当たってしまうような場面があって、僕はそれを見て、これこそ“パンク”だなと思いました(笑)。彼女は、“ジョン、こんな目に遭って全然居心地いい現場じゃないけど、サイコーよ!”と言ってくれたんです」と語った。

 さらに、「この映画を観て皆さんにも感じてもらえると思いますが、僕はいつかニコールとエルは母娘の役を演じるべきだと思っています」と2人への思いも明かした。

 ミッチェル監督の作品では“音楽”が重要なカギを握ってきたが、今回パンクを選んだことについて、「今の若い人たちは、親から手渡されたこの世界をどこか奇妙で怖いものであると感じているんじゃないかと思います。反対に、上の世代の人たちは色んなことに対して怒りを持っているけど、それがどこか偏ったものになってしまっている。だからこそ若い人たちには新しい形でのパンク・スピリットを持ってほしいんです。なぜならパンクが持つ反抗心とは、抑圧するものやさまざまなことに問いかけをすること、自分とは違う多様なものを受け入れていくこと…そんな、すごく健康的なものだから。すべてをきれいなものに変えてしまうような怒りの力で、愛を探していってほしい。この映画は、そんなクリエイティブなパンク・スピリットを思い出させてくれるものになっています」と語った。

 ここで、ゲストとして山本耕史が登場。山本は、久しぶりの再会となるミッチェル監督の印象について、「最初に会ったときから優しい人で、今日はジョンの友達ということで呼んでいただきました」とあいさつ。

 2008年には舞台で共演を果たしている2人だが、山本は今あらためてヘドウィグという役どころについて、「いでたち含めてジョンの演じたヘドウィグになるべく近づけようと思いながらやっていました。いろんな方が演じている作品だけど、僕は常にジョンのヘドウィグを意識していたから、彼には勝手に同志のような気持ちを抱いています」と。

 それに対してミッチェル監督は、「ヘドウィグを演じたすべての人が兄弟であり姉妹なんです。役者人生の中で最も大変な役柄でもあるから、これを演じ切ることができればどんな役も恐れることはないと思います」と語った。

 いち早く『パーティで女の子に話しかけるには』を鑑賞した山本は、映画について、「ジョンらしい、すごく素敵なパッションを受け取りました。青春時代を思い出して懐かしいというのもあるし、僕はファンタジーが好きなんですが、ジョンがここまで直接的にファンタジーを描いたのはこれが初めてになります。彼の心の中にあるファンタジーが、はっきりとした表現やアートになって、彼の子供のような存在としてわかりやすく前面に出てきたように感じました。そのことに僕はキュンとしてしまったんです(笑)。もちろん音楽も素晴らしいですよ」と見どころを語った。

 また、ミッチェル監督が映画の序盤のとあるシーンで少しだけ出演していることに触れ、「ジョン、この映画に出てたよね…?」とさすがの観察眼も披露した。

 さらに、2人は「ヘドウィグ・アングリーインチ」劇中曲の1つである名曲「The Origin Of Love」を即興で歌い上げ、会場は大興奮に包まれた。

『パーティで女の子に話しかけるには』
12月1日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル(『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』)
原作:ニール・ゲイマン「パーティで女の子に話しかけるには」
衣装:サンディ・パウエル(『キャロル』『ベルベット・ゴールドマイン』)
出演:エル・ファニング(『20センチュリー・ウーマン』)、アレックス・シャープ(「夜中に犬に起こった奇妙な事件」)
ニコール・キッドマン(『LION/ライオン ~25年目のただいま~』)

<STORY>
パンクなのに内気な少年エンは、偶然もぐりこんだパーティで、反抗的な瞳が美しい少女ザンと出会う。大好きなセックス・ピストルズやパンク・ファッションの話に共感してくれるザンと、たちまち恋におちるエン。だが、ふたりに許された自由時間は48時間。彼女は遠い惑星へと帰らなければならないのだ。大人たちが決めたルールに反発したふたりは、危険で大胆な逃避行に出るのだが──。

配給:ギャガ

公式サイト:gaga.ne.jp/girlsatparties

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