有村架純インタビュー「自分の中で固まっていたものが解けていった気がした」『有村架純 カナダ大自然の旅』

特集・インタビュー
2017年12月13日

連続テレビ小説『ひよっこ』や映画「ナラタージュ」など話題作に次々と出演し、年末には『第68回NHK紅白歌合戦』で2年連続の紅組司会が控えるなど、全速力で2017年を駆け抜けている有村架純さん。そんな有村さんが、カナダの大自然を味わう紀行エンターテインメント番組『有村架純 カナダ大自然の旅』(NHK総合 12月16日(土)後7・30)で“自分を見つめ直す旅”へ。つかの間の休息で有村さんが再発見した自分の姿とは?


自分の中で固まっていたものが解けていったような気がしました

有村架純インタビュー

◆旅を終えての率直な感想をお願いします。

お仕事で海外に行かせていただいても長くて5日間とかで、10日間も海外に行ったのは今回が初めてなんです。20歳を超えてずっとお仕事させていただく中で、自分の気持ちを開放的にすることが難しくなってきていて、カナダに行った時も最初は開放の仕方を忘れていて、見たもの、感じるものを言葉にするのがすごく難しかったんです。でも、10日間も時間があったので、1日1日過ごしているうちにだんだんと解けてきて、自分の中で固まっていたものが柔らかく解けていった気がして、自分の中の毒素を出してデトックスできた旅でした。

◆出発は、約10か月にわたる『ひよっこ』の撮影直後だったそうですね。

10月末だったので、クランクアップから1か月ちょっと後ですね。『ひよっこ』が終わって3か月たったんですけど、それがはるか昔のことのように感じるぐらい、終わったのってつい最近なんだっていつも思うぐらい、時の過ぎるスピードの速さを感じています。

◆初めて訪れたカナダはどんな国でしたか?

すごく広い国ですし、国籍関係なくいろんな国の人が住まれていることもあって、本当に寛大な人が多い印象を受けました。どんな人種の人でも優しく接してくれるし、街も自然も両方楽しめるような、そんな国だなと思いました。

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◆10日間の旅の中で、世界三大瀑布に数えられる「ナイアガラの滝」、世界一美しい島と呼ばれる「プリンス・エドワード島」、フランス情緒のある「ケベック地方」などを訪れたそうですね。

「ナイアガラの滝」は本当に迫力があって、湖も海のように広いんです。1日に一体どれぐらいの水が流れているんだろうとか、そういうことを考え始めたら地球のあまりの壮大さに何が何だか分からなくなってしまって(笑)。それぐらい、自分はすごい星に生きているんだなと肌で感じました。滝の近くまで行くアトラクションの船にも乗ったんですけど、水の流れる音を間近で聞けて迫力がありましたね。
「プリンス・エドワード島」は、「ナイアガラの滝」とは景色が打って変わって、紅葉を見たり、キツネを発見したり馬に乗ったり…。あとは海もあるのでシーフードもおいしかったですし、クランベリー畑に行って収穫のお手伝いもしました。本当に優しい島、という印象です。
「ケベック地方」は元々フランス領だったということもあってフランス語がたくさん飛び交う都市だったので、ここだけ雰囲気が違うというか、異国情緒を感じられて楽しかったです。

◆「ナイアガラの滝」のアトラクションではカッパを着られたそうですが、「カッパ姿には自信があります!」と語っていたそうですね。

はい(笑)。『ひよっこ』でもカッパを着ていたりしていたので。作業着とか、そういう姿はわりとなじむタイプじゃないかなと思ってます(笑)。

◆カナダは寛大な人が多いとおっしゃっていましたが、特に印象的な出会いがあれば教えてください。

クランベリー農家のフランクさん。自分のやりたいことを生き生きとされているような方で、72歳なんですけどすごく元気なんです。軽やかに生きてる感じといいますか。奥さんもすごくスタイリッシュでカッコいい素敵な人なんです。フランクさんは別のお仕事を突然辞めてクランベリー畑を始められたそうなのですが、奥さんは「それでも自分は夫についていこうと思えた」とおっしゃっていて、その関係性を聞いたりするのも楽しかったです。

◆有村さんといえばお料理上手としても知られていますが、カナダ料理の感想や、現地でのお料理エピソードがあれば教えてください。

本当に全部おいしかったんですけど、甘いものとお肉のコラボが新鮮でした。カナダの方はクランベリーソースをターキーや燻製にしたハムにつけて召し上がるんですが、甘いソースとお肉ってなかなか食べたことなかったんですけど、すごくおいしくて。あとはメープルシロップを使ったお肉の煮込み料理もすごくおいしかったです。メープルシロップと煮込むことでお肉が柔らかくなるし、うまさが引き立つというのは初めて知りました。


カナダにいた時と普段とでは温度差がすごいかも(笑)

有村架純インタビュー

◆今回は、「自分を見つめ直す旅」というのがコンセプトになっています。

そうですね。旅番組は五感をフル活用して伝えなきゃいけないという義務があると思います。ただ、今の自分には“感じる時間”が必要だなと思っていて…。うわべだけの言葉はいくらでも言えるんですけど、ただしゃべればいい、というものでもないのかなと思ったり。自分を見つめ直したり、向き合っている感覚はすごくありましたね。

◆旅を通して、ご自身の意外な一面に気づいたりはしましたか?

見知らぬ方に、しかも英語で話しかけられるか不安もあったんですけど、意外とたくさん話せたというのが驚きました。普段は探り探りというか、どうしても距離を測ってしまうじゃないですか。だから遠慮してしまうんですけど、向こうの方って1つの質問に対して多く返してくれたりして会話が楽しいし、「話してもいいんだな」と思わせてくれる方たちばかりで。その雰囲気に甘えさせてもらっていたのかもしれません(笑)。

◆大みそかには『紅白歌合戦』の司会という大役が待っていますが、今回の旅がパワーにつながりますね。

そうですね。自分の毒素をカナダに置いていくのはどうかと思うんですけど(笑)、でも日本にはもう絶対持って帰らないと思っていて。いろんな人としゃべってコミュニケーションを取って毒素を出すことができたので、すごくリフレッシュできました。

◆海外を旅行されて、逆に日本のよさを再発見されたことはありますか?

『ひよっこ』でも稲刈りをして感じたものはあったんですけど、カナダでもクランベリーの収穫などの農作業を体験して、あらためて農作物や食物に対するありがたみを感じました。作り手の愛情とか手間とか、そこにかける時間があるわけですよね。それから、メープルシロップも手間暇かけて商品にされているのを目の当たりにして、ポリシーやプライドを持って商品を作る姿勢は素晴らしいと思いましたし、これからはスーパーでメープルシロップを見かけてもただのメープルシロップじゃなくなったので、ものづくりに対しての気持ちはちょっと変わりました。日本で大事にしたいものって何だろうとか、日本の食べ物を海外の人に伝える前にまず自分が愛したいなというのはすごくあります。

◆カナダの絶景や人々との出会いはもちろんですが、ホテルでムービーの自撮りに挑戦されたりと、見どころが盛りだくさんです。有村さんご自身の注目ポイントを教えてください。

とにかく本当に素でいると思います。なのでカナダにいた時と普段の自分とで温度差がかなりあると思うんですけど(笑)、「楽しい」「うれしい」だったりいろんな表情を見せられたと思いますし、「私って楽しかったらこんな顔するんだ!」とか、客観的に見ても面白かったです。それから自撮りで日記のように1日を締めくくるのも初めての経験だったのですごく新鮮でしたし、とにかくいろんな表情を切り取ってくださったので楽しみにしていただけたらいいなと思います。

 

■PROFILE

●ありむら・かすみ…1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。B型。連続テレビ小説『ひよっこ』でヒロインを務める。映画「かぞくいろ RAILWAYS」が2018年公開。

 

■放送情報

『有村架純 カナダ大自然の旅』
NHK総合
12月16日(土)後7・30~8・45

●text/金沢優里
 
©NHK

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