監督・白石和彌×脚本・髙橋泉の「凶悪」スタッフが仕掛ける衝撃作「サニー/32」公開前トークイベント開催

エンタメ総合
2018年01月24日

156028_01_R NGT48・AKB48グループからの今春での卒業が決定し、卒業後の女優としての活躍を誓った北原里英が女優業を本格始動する第一弾作品、映画「サニー/32」が2月17日(土)より全国公開される。

 本作は、日本映画界を席巻した白石和彌監督の「凶悪」から5年、ピエール瀧とリリー・フランキーの“凶悪”コンビが現役国民的アイドル・北原里英を拉致・監禁する、予測不能のジェットコースタームービー。そんな本作のメガホンを取った白石和彌監督と、本作で3度目となる白石監督とのタッグを組んだ脚本家の髙橋泉が登壇する公開前トークイベントが開催された。MCに本作を「今年一番レベル!」と絶賛する映画ジャーナリストの宇野維雅を迎えたイベントは、本作の製作裏話から今後の展望まで語る、濃密なものとなった。

 上映終了後、興奮冷めやらぬ場内に、盛大な拍手で迎えられた白石監督、髙橋、MCの宇野。本作の企画スタートについて白石監督は、AKB48グループのプロデューサーである秋元康から「北原里英を主演に映画を撮ってほしい」というオファーを、日活のプロデューサーを通じて受けたところから始まったと明かす。いっぽうで、高橋と共に小学6年生の女児が同級生を殺害し、世間に大きな衝撃を与えた「ネバダ事件」をベースにした作品を構想していた白石監督は、「師匠である若松孝二監督が作っていた60~70年代のアングラな映画に、AKB48の現役アイドルを使ったら面白いことになるのではと思った」と振り返ると、宇野が作品について「アングラでありながら、過去に起こった実事件からSNSやネットメディアの在り方など、極めて現代的な要素まで詰め込んでもエンタメ作品として一切破たんしなかった」と評価。続く「いろいろな要素が入った作品は破たんしがちなことがおおいが?」との問いに、髙橋が「一つのテーマ以外のことを膨らませると主題がぼやけることが多いのですが、そこは白石監督への信頼があるのですべての要素のボリュームを上げきった」と返答し、宇野は感服した様子だった。

「凶悪」以降、日本映画界を代表する俳優として確固たる地位を築いたピエール瀧とリリー・フランキーの2人について話が及ぶと、「あの2人をある種のコンビ関係で映画に登場させられるのは僕らの特権」と胸を張り、髙橋も静かにうなずいた。さらに「このコンビ的な関係性で登場させるパターンはもう何回かいける」と、すっかり味をしめた様子の白石監督の発言に、場内からは笑いが。いっぽう、本作は昨今のネットメディアを反映した作品でもあり、特定のネットメディアを意識した演出について、北原里英が出演するライブでの演出を見たことがきっかけだったことも語られた。

観客からの質問コーナーでは、白石組常連で高校の後輩でもある音尾琢真について、本作の役柄がなぜ22歳の設定なのかという質問が。「役に関係なく先輩の映画には出させて!」との音尾の猛アピールに、「スケジュールがなかなか合わない中、22歳の役でよければ」と出演が決まったいきさつが語られ、「まぁ、映画ですし」との白石節に、質問者も思わず笑ってしまうひと幕も。

今後の展望について髙橋は、「女子高生がキャーキャー言いながら、『サニー/32』みたいな映画を見れるような世界にしたい、この作品を見て何か感じてくれれば」と。白石監督は「映画の作り方は若松監督に叩き込まれたが、常にハリウッド映画を意識している。実際、マーベル映画も大好きですし」と前置きしながら、「今は、監督として恵まれているので勝負したい。日本の映画で育っているので時代劇だったり、それこそ『ゴジラ』を撮ってみたい!」と野望を口にした。そして、「今作は“祈り”が一つのテーマ。これまで道を外れた大人の話が多かったが、今回は教える作品になっています」と新境地となった本作をアピールし、盛り上がりを見せたトークイベントは終了した。

映画「サニー/32」は、2月9日(金)新潟・長岡先行公開、2月17日(土)より全国公開。

<作品情報>
映画「サニー/32」
■出演
北原里英 ピエール瀧 門脇麦 リリー・フランキー
駿河太郎 音尾琢真(特別出演) 山崎銀之丞 カトウシンスケ 奥村佳恵 大津尋葵 加部亜門 松野拓野 蔵下穂波 蒼波純
■スタッフ
スーパーバイザー:秋元康
脚本:髙橋泉
音楽:牛尾憲輔
監督:白石和彌
主題歌:「pray」牛尾憲輔+田渕ひさ子

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