5月25日(金)公開の山田洋次監督最新作「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」の完成披露試写会が行われ、橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、山田監督が登壇した。
山田監督は「『東京家族』を5年前に作った時にこの4組のカップルとこんなに長く仕事をするとは予想していませんでした。今回で4回目の作品。こうして何度も同じカップルでアンサンブルが生まれてくることはとても素敵なことでした。どうぞ今日は楽しんでください」とあいさつ。
橋爪は「そちらの列の方は薔薇がなくて申し訳ありません、あとで余ってたら差し上げます(笑)。家族のチームワーク、アンサンブルができていたので楽しかったです。同じ人たちとの座組でやるのは本当にいいものだなと思います」、吉行は「久しぶりにみんなに会って本当にうれしくて。家族という感じでウキウキしています。楽しく、考えさせられる映画です」、西村は「昨日雪が振り、今日も降るのではないのか、出足が鈍るんではないかと思ったりしてました。最後まで観ていってください!」とちゃめっけたっぷりに語った。
夏川は「こうやって皆さんに観ていただける日が来て本当にうれしいです。皆さんとの出会いに感謝しています。いろいろ考えさせられて、身につまされてほろっとしたり、とても素敵な作品です」、正蔵は「この作品とかけまして、お刺身の盛り付けととく。その心は、どちらも妻(ツマ)の大切さが身にしみる。どうもありがとうございます!」と落語家ならではの謎かけを披露した。
妻夫木は「喜劇ではありますが、今回はうっかりほろっとしちゃうと思います。凸凹さがあるんですが、それが本当に家族って素晴らしいなと思わせてくれて。家族の絆を味わわせていただききました」、蒼井は「このような映画が日本にあって本当に良かったと、これからもこういった作品が上映され続けられるといいなと思っています。皆さん、素晴らしい方々で普段は家族みたいな感じでやっているんですが、あらためて幸せだなと思いました。皆さんにも伝わるといいなと思います」と語った。
シリーズ第3弾となる今回、「主婦への讃歌」をテーマにしようと思ったきっかけについて、山田監督は「それまでのシリーズを作りながら、西村・夏川夫婦には何か問題があるなと思い(笑)そのためにも第3弾を作らなければと。結果として主婦の抱えている悩みや日本の矛盾でもある女性差別を念頭に置き作ることとなりました」とその経緯を説明した。
夏川は「初めて台本を読んだ時、『フラメンコ?家出?』うれしいんだけれども、これは大変なことになるぞ、と思った次第です」と告白。西村は「幸之助は怒ってばっかりだよね。最後の史枝とのやりとり、そのシーンの前の弟・庄太(妻夫木)とのやりとりが僕の中ですごく残っていますね。お2人に助けられました」と撮影を振り返った。
橋爪は第3弾の予想がついていたそうで、「1、2作は史枝さんがじっと我慢している役だったので、これはいずれ爆発するだろうなと思っていまして。撮影終了後に、夏川さんの正直な演技をしていない、という不満な顔があってね(笑)これは爆発しとかないといけない、と監督も思ったんでしょう。そして、問題が起きるとしたら、長男夫婦しかないんですよ。今回も僕たち夫婦は本格的にすれ違っているので」と冗談を交えてを話すと、吉行は「でも今回演じて、やっぱりこの人が旦那さんでよかったって思いましたよ。私の役は今回も随分勝手だなと思いましたし、それを受け止めてくれる旦那さんも立派だなと思いました」と話し、会場から拍手が送られた。しかしこれに対して、妻夫木、蒼井は「そんなに褒めるところあったっけ?(笑)」とツッコミを入れ、笑いを誘った。
妻夫木は「西村さんと『東京家族』から長い間、お芝居をさせていただいていて、時間に助けられたなと思いました。頭で考えるというより、役として兄貴に関われた」、蒼井は「今回、シャツの第1ボタンを開けてたり、来てすぐに焼きそばを食べ始めたり、家族にどんどん入り込んでいく感じで、シリーズだからこそできることだなと思いました」とシリーズ作ならではの体験を明かした。
同じ落語家である立川志らくとの共演シーンについて聞かれた正蔵は「志らくさんは、普段は辛口なコメントなんですが、目がかわいくて、例えるとペットショップで売れ残ったプードルみたいでした」と話し、会場を笑わせた。
そして一家の家事をすべて支えている史枝の姿について、吉行は「このままじゃ終わらないな、史江さんがなにかやりだすに違いないとハラハラしながら台本を読みました。作品を観ると本当に主婦が大変だということが分かりますね。頭が下がります」と。
夏川は「それぞれのメニューが違う朝ごはんを作ったりスーパーウーマンだな。お金にしたらすごい額をもらえる仕事をされてますよね」、蒼井も「うちの母もこういうふうに客観的に見るとこうなんだなと。母にありがとうございました、って伝えたい」と主婦のありがたさについて話した。
そんな中、普段は家事をするか聞かれた夫役の俳優陣。西村は「食事は簡単なものだったら作ります。でも奥様は24時間休みなしですから、スイッチがONのままですから大変だと思いますよ」と。橋爪は「するわけないじゃないですか(笑)でも、男性陣も暗くなることないです(笑)。男としても女性を笑い飛ばし、胸を張って観てください!(笑)」と話し、妻夫木は「皿を洗ったり、御飯を作ったり結構しますね」、正蔵は「うちは女性陣が強いので言いなりの人生を歩んでます!(笑)」とそれぞれ明かした。
そして本作の完成披露を記念し、西村から日本全国の主婦であり、妻である女性たちを讃え、「年を重ねても100%の愛」という意味を持つ100本の薔薇の花が夏川に贈られた。最後に山田監督は「いま日本映画が10代、20代と出演者の年齢が低くなってきているような気がします。そういう意味でこの作品は幅広い世代の方が出演し、幅広い世代を描いたつもりです。日本中の主婦、主婦であった方、これから主婦になろうという方、その方を妻にしている、これからする人たちに心を込めて、たくさんの方に観てくださいますように願っています」と呼びかけた。
「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」
5月25日(金)全国公開
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 平松恵美子
音楽:久石譲
出演:橋爪功 吉行和子/西村まさ彦 夏川結衣/中嶋朋子 林家正蔵/妻夫木聡 蒼井優
制作・配給:松竹株式会社
<ストーリー>
史枝(夏川結衣)は、育ち盛りの息子ふたりと夫・幸之助(西村まさ彦)、その両親3世代で暮らす主婦。ある日、家事の合間にうとうとしていた昼下がり、泥棒に入られ、冷蔵庫に隠しておいたへそくりを盗まれた!!夫から「俺の稼いだ金でへそくりをしていたのか!」と嫌味を言われ、余りに気遣いの無い言葉にそれまでたまっていた不満が爆発した史枝は、家を飛び出してしまう。
一家の主婦が不在となった平田家は大混乱!身体の具合の悪い富子(幸之助の母/吉行和子)に代わり周造(幸之助の父/橋爪功)が掃除、洗濯、食事の準備と慣れない家事に挑戦するがそんなこと続くわけがない。家族揃って史枝の存在のありがたみをつくづく実感するのだが、史枝が戻ってくる気配は一向にない。
家族会議、緊急召集!平田家崩壊の危機か!?
ダメ夫を持つ全ての女性が笑って共感し、しみじみ泣けて励まされる。
映画界の巨匠・山田洋次監督が贈る、新・国民的喜劇シリーズ第3弾。
公式サイト:http://kazoku-tsuraiyo.jp/
©2018「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」製作委員会