市川美織インタビュー「瀬名の成長物語でもあり、私の成長物語です」映画「放課後戦記」

特集・インタビュー
2018年04月14日

2016年10月に初演を迎えた「放課後戦記」が映画化。本作の主演で主人公・門脇瀬名を演じる市川美織さんに、作品の魅力や撮影中のエピソードについて。また、市川さんの今後の目標についてお伺いしました。


演じた瀬名の成長物語でもあり、私の成長物語です

市川美織インタビュー◆2016年10月に初演を迎えた作品の映画化です。映画化のオファーがあった時の感想を教えてください。

実はオーディションを受けた時から、舞台と映画を並行してやるというお話を聞いていたんです。舞台と映画の両方をやらせていただくことはうれしかったんですが、舞台をやりながら、この作品がどうやって映画に展開していくのかなとか、映画は舞台では描かれなかったような1人ひとりのキャラクターがより深く描かれるんじゃないかなと思って、すごく楽しみにしていました!

◆舞台で一度、1つの作品として終えられてから、映画の撮影がスタートしたと思いますが、舞台と映画では演じられる上で何か違いはありましたか?

舞台も映画も、私が演じる門脇瀬名が放課後の学校に閉じ込められてしまうところから物語は始まります。そこで現実世界に戻るには、戦い合わないといけないと知った瀬名が、自分の命を守るために奮闘していく…という、物語は変わってはいないです。また、土田監督からも「門脇瀬名を演じるんじゃなくて、そのままの市川さんの感情を出せば自然と瀬名になるので、自分の感情を思うように表現してください」と言っていただいて。演じるというよりも自分をそのまま出しているので、瀬名を演じる上での違いもありません。唯一、違うところで舞台は、ステージ上も広いので大きい動きでキャラクターの感情を伝えなければいけなかったのが難しかったんですが、映画の場合は、カメラの枠や撮られる部分も決まっていて。舞台と違って感情を画面を通して伝えないといけないので、自分の心の中から感情を表情で描くように意識していました。

◆なるほど。劇中の瀬名は市川さんの感情がそのまま詰まっているんですね。

そうなんです。なので、撮影していてもふとした瞬間に、思わぬところで涙してしまった時もあって。あまり自分の感情を出すのは得意ではないので、涙が流れた時は自分の感情の広さにビックリしました(笑)。こんなはずじゃなかったっていうぐらい涙が出てきちゃって…。自分でも抱え切れないものがあふれ出るぐらい瀬名に入り込んでいたんだなって思います。それが画面を通して伝わったらうれしいです。

◆役に入り込んでしまって日常生活やアイドルとしての活動に影響はありませんでしたか?

市川美織インタビューすごく引っ張られました!撮影中にNMB48のシングル「ワロタピーポー」の制作期間で、舞台から映画までずっと“門脇瀬名”になっていた時期だったので、なかなかアイドルの“市川美織”に戻れなくて。感情も全然「ワロタ」じゃなかったんですよ(笑)。当時は、何とか自分で切り替えていたつもりだったんですが、メンバーから「大丈夫?」って心配されちゃって。それぐらい瀬名に集中していたんだなって思いました。

◆そんな瀬名の好きな部分や魅力はどういったところだと思いますか?

友達や親などの周りの人の機嫌をうかがうじゃないですけど、自分の意思と反対に笑顔を振りまいたりする瀬名が「このままじゃいけない、人に頼ってばかりでは前に進めない」というのを知って1人で頑張ろうと決断する姿がいいなって思いました。私も瀬名と同じように、周りの人に相談したり弱い部分を見せたりするのが苦手で。映画を通して瀬名になったことで、自分自身も「ダメなことはダメ」とちゃんと言える大人に成長できたらいいなって思います。本当にたくさんのことを学ばせていただきました。

◆思い出深い作品になりましたね。

そうですね。この映画は門脇瀬名の成長物語なんですが、私の成長物語でもあります! 最初は自分に映画の主演なんて無理だって不安になることばっかりだったんですが、撮影が進んでいくにつれて自分にでもできるかもしれない、むしろ自分にしかできないものがきっとあるんじゃないかなと思えるようになりました。

◆学生時代に誰もが感じていた悩みや人間関係の悩みが描かれていて共感する部分がたくさんありました。

そうなんです。ポスターや予告では、たくさん血が飛んでいるのでおどろおどろしい雰囲気でホラー作品だと思われるんですが、そうではなくて。誰しも抱える問題を表現しているヒューマン作品だと思います。私含め、女の子もいっぱい出てくるので顔から入るのもよしですが(笑)。見ていただいたら、皆さんの世界や考え方も変わるような素晴らしい映画だと思います!

◆さらに劇中では、アクションシーンにも挑戦されています。苦労されたところはありますか?

市川美織インタビュー刀を使うシーンがあるんですが、その刀が意外と重くて。さらに長かったので思ったよりさやから抜けなくて(笑)。刀を振り回すことなんて、人生にあると思っていなかったので何回か殺陣の練習もさせていただきました。初めての殺陣だったので、大変だったんですがすごく楽しかったですね。これを機に、もっと学んでかっこいい殺陣ができるようになったら演技の幅も広がるのかなと思うので、今後も挑戦していきたいです!

◆では、アクションシーンは見どころですね。

そうですね。あとは何と言っても初めてキスシーンにも挑戦しているので、そちらも見逃さずに見ていただけたらうれしいです!(笑)

◆作品タイトルになぞらえまして、学生時代の放課後の過ごし方を教えてください。

中学、高校と合唱部に入っていたので、放課後になると部活動のために音楽室に行っていました。放課後=音楽室ですね。部活の休憩中に外の部活動を眺めて「みんな頑張ってるな~」って思いながら涼んでいました(笑)。私の青春はすべて音楽室でした!

◆また市川さんはこの春、NMB48を卒業されます。今後の目標を教えてください。

小学生の時から女優になりたいと思って頑張ってきたので、最近お芝居をやらせていただくことが多くてすごくうれしいです。今後も女優をメインに活動をしつつも、自分の好きなことを発信できるYouTubeも変わらず挑戦していきたいです。また、モデルのお仕事もさせていただきながら、ゆくゆくはファッションなどで自分がプロデュースした商品が出せるぐらいの技量を持てるようにしたいです。自分のやりたいことを我慢せずに、チャレンジしていきたいです!

 

■PROFILE

●いちかわ・みおり…1994年2月12日生まれ。埼玉県出身。O型。NMB48のチームNのメンバーとして活動中。主な出演作は、映画「劇場版 私立バカレア高校」、ニコニコミュージカル「千本桜」、舞台「放課後戦記」、舞台「こと~築地寿司物語~」ほか。

Twitter:@miorin_lemon212
Instagram:@miori_ichikawa

 

■映画情報

映画「放課後戦記」映画「放課後戦記」
シネ・リーブル池袋ほかで公開中

監督・脚本:土田淳平
脚本:桃原秀寿
原案:オクショウ
出演:市川美織、秋月成美、りりか、小宮有紗、遠藤新菜、青島心、窪田美沙、井上美那、大野未来、小泉萌香、片岡沙耶、新田祐里子、加藤美紅、野々宮ミカほか

<ストーリー>
ある日の放課後、門脇瀬名(市川美織)はハンカチを返すため屋上で憑対弓立(りりか)を待っている間に居眠りをしてしまう。目を覚ますと暗くなった学校に閉じ込められていた。電波が届かず電話も通じない外部からシャットアウトされた校内で、瀬名の目に映ったのは手を切断されて苦しんでいる女の子だった。

©2018「放課後戦記」製作委員会
 
●photo/関根和弘 text/宮西由加

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