4月13日(金)からスタートする金曜8時のドラマ『執事 西園寺の名推理』。伊集院家の奥様・百合子(八千草薫)に仕える、主人公で執事・西園寺一を演じる上川隆也さんにインタビュー。初めて挑戦する執事役や撮影中のエピソードを聞きました。
執事が事件を解決するというのは今までにない形のドラマだと思います
実際、執事という方にお会いしたことがございませんでしたし、さらに執事が殺人事件に遭遇して、事件を解決していく……というシチュエーションも含めて、頭の中でドラマとしての像を結ばなかったんです。でもその像を結ばない感じが、今までにない形のドラマになりそうな気配も感じましたので、面白いと思いました。
◆クランクイン前には、執事カフェに行かれたと伺いました。執事カフェはいかがでしたか?
プロの執事の方々のご指導を受けた後に、まるでツアーのように、プロデューサーの方々に連れられて赴いたんです。ツアーには僕を含めて男性も女性もいましたが、我々オッサンにとっては実に身の置き場に困る時間でした(笑)。一方で、カフェ内では女性が「プリンセス」と呼ばれ、執事たちが傅(かしず)いてくれるんですが、執事カフェというのは実は女性のためのアミューズメントエリアなんだと感じました。その時、最初に像を結ばなかった、執事が主人公として殺人事件に立ち向かうドラマが、もしかしたら何がしかのニーズを持ち得ているのではと思えたんです。ならば、演じる甲斐もあるのかも知れないと思いながら、身を小さくしておりました(笑)。
◆西園寺一を演じる上で気をつけていることはありますか?
指導をしていただきながら、積極的に取り入れている執事としての仕草はいくつもあります。一つ申し上げると、「ながら動作をしないこと」です。誰かと出会って「おはようございます」と挨拶しながら頭を下げるのは、執事としてはNG。挨拶してから頭を下げるのが、執事としての正しい振る舞いなんです。サーブ(食事の配膳など)をするときも、持っている器を置いてから「○○でございます」とお伝えするなど、行動と言動が必ず分かれているんです。それは演じている間も意識しています。
◆上川さんご自身の描く理想の執事が演技に反映されているんでしょうか。
そういうわけではありません。いるであろう人を想定してしまうと、どこか限界値が見えてしまいそうな気がします。むしろ「こんな人は世間にいないだろう」と思い切ったほうが無理がきくというか、パーフェクトな執事を意図的に作っていけるんだと思います。
◆特に演じていて難しいシーンはございますか?
手袋をしたままスマホを使うとことでしょうか。肌が画面に触れていないから、なかなか反応してくれないので。最初は苦心したんですが、反応させるコツがある様で。だから、諦めがつかない時があります(笑)。
◆西園寺はどういった人物だと思いますか?
タイトルにもなっておりますし、この物語の中で西園寺一という男は主役ですが、しかし執事は職務上、その立ち位置は決して主役的ではなく、本来的には下支えなんだと思うんです。奥様のご要望があるからこそ、事件解決のために動くわけで、主人の要望がなければ極端な話、傍にナイフで胸を刺された人がいても、一顧だにしないのが彼の本来の立ち位置だと思うんです。そこがなかなか興味深い部分でもあります。一歩引いている存在であり、決して最前線に立たない、執事という職務を貫こうとしている男が、どう事件に相対していくのか。今回の面白みの一つだと思っています。
◆西園寺が仕える奥様・百合子役を八千草薫さんが演じていらっしゃいます。印象を教えてください。
八千草さんは、その場にいらっしゃるだけで、百合子様の生きてこられた時間がさまざまに想像できるように思います。伊集院家に輿入れした経緯などが、台本に細かく書かれているわけではないのに、どんなお嬢様だったのか想像できるような佇まいはまさに奥様にふさわしいという思いで拝見してます。さらに、八千草さんのかわいらしさに現場の男性陣はやられてしまっています。あるシーンで西園寺に「お薬忘れないようにしてください」と言われて、台本に書かれてないんですが、アドリブで「ありがとう」とおっしゃったその一言があまりにも愛おしく、カットがかかった瞬間、男衆からどよめきが起こりました(笑)。アイドルのような清楚さや可憐さを変わらずお持ち続けている方です。そんな奥様だからこそ、西園寺は本来、手掛けるべきではない殺人事件の解決に乗り出すんでしょう。「畏(かしこ)まりました」という一言が無理なく言える八千草さんが主人に来てくださって、本当に幸せだなと思います。
◆撮影現場の雰囲気はいかがですか。
とてもいいと思います。伊集院家のメイド・前田美佳役の岡本玲さんや新米執事・澤田慎次役の浅利陽介君など、若い方もいますが、肩肘張った空気もありませんし、撮影以外での皆さんとの会話も、世代からのギャップなども感じません。なかなかに大人な現場で、非常に落ち着いた和やかさに包まれています。また、どなたもお芝居に味のある方ばかりで、カメラが回っている時も含めて、楽しい現場です。
◆最後にドラマの見どころを教えてください。
監督の橋本一さんは、これまでスペシャルドラマで2本ご一緒していますが、今回のドラマに関しては、以前に監督が駆使してらした手法とは、また違う撮影をなさっている様に思います。それは、とても新鮮な体験でしたし「橋本さんならこう撮られるのかな」と思っていた部分を大きく裏切られて、むしろ刺激的な現場になっています。正直、今の段階でも完成品がどうなっているのか読めません。でも、佐藤二朗さん率いる警察チームや、西園寺との関わりが読めない古谷一行さん演じる元警察庁長官、亡くなった主の里見浩太朗さんなど、素敵な方々ばかりで、仕上がりが楽しみでしかたないですし、見てくださる方にも楽しんでいただけると思います。
■PROFILE
●かみかわ・たかや…1965年5月7日生まれ。東京都出身。A型。最近の主な出演作は、ドラマ『遺留捜査』『アキラとあきら』『BG~身辺警護人~』、映画「犬に名前をつける日」、舞台「シェイクスピア物語」ほか。
公式サイト:https://kamikawatakaya.com/
■ドラマ情報
金曜8時のドラマ『執事 西園寺の名推理』
テレビ東京系
4月13日スタート
毎週(金)後8・00~8・54
取材/宮西由加