お金にまつわる人間模様を生々しく描く映画「ゼニガタ」が、5月26日(土)に公開される。表向きは居酒屋経営、裏では超暴利で金を貸し付ける闇金業者の“銭形兄弟”を演じる大谷亮平さんと小林且弥さんにインタビュー。2人の金銭感覚や、お互いへの意外なクレーム(?)も明らかに。
“闇金”がテーマですが、敬遠せず気軽に見てほしい(大谷)
大谷:初主演、そして日本では映画初出演でもあるので、俳優としてまた格別の思いです。これまで闇金のお話ってあまり触れる機会のなかったジャンルなので、最初はどうなんだろうっていうのが正直あったんですけど、ホン(台本)がとにかく面白かったんですよね。いわゆる闇金業者と借り手だけのお話だけではなく、エンターテイメントとしてストーリー性があったので、こんな闇金のお話もあったんだと自分の中で大きな発見でした。
小林:お金というフィルターを通して人間ドラマを描いているのが面白いですよね。あとはやっぱり大谷さんが映画の真ん中に立つ画がいいなと思いました。なかなか同世代にこういう骨太な役者さんっていないので、唯一無二の大谷亮平という人のたたずまいがあって、肉体と言葉で表現して、というのが役がどうこうよりも最初にありましたね。
◆それぞれ演じられているキャラクターについてはいかがですか。
大谷:富男については、富男が物語の柱になるようなブレない演技を心掛けたつもりです。“鉄の男”といいますか、プロデューサーや監督からも「鉄の柱のように、何が起ころうと、そこをしっかり守るような男でいてほしい」ということだったので、それをベースに肉付けしていく感じでした。自分の中では、明るくソフトな役よりも、富男のような、あまり感情を表に出さない役が好きなのかな。こういう役が合ってると言われることも多いので、それを信じてやりました。
小林:弟の静香は富男との関係性が基盤にあって、何かする時の動機っていつも富男なんですよね。生のリアリティーを出しつつ、キャラとしても立たせたい。その答えって現場にしかないと思ったので、あまり作り込まずに臨みました。
大谷:終盤、2人が地面に並んで座ってるシーンがあるんですけど、この映画を象徴するような、2人の関係性がにじみ出てるシーンで一番印象に残ってます。何より小林さんの表情がすごくよかったんですよね。
小林:視覚的にもそうですけど、ストーリー的にもものすごく大事なシーンですよね。2人にとって始まりなのか終わりなのか再生なのか、いろんな捉え方ができるんじゃないかなと思います。
◆過去に共演経験もあるお2人ですが、兄弟役として向き合われていかがですか?
大谷:クランクインの時点で、ある程度お互い分かっている上で兄弟役をガッツリ演じられるのはうれしかったです。
小林:演じるうちに気づいたんですけど、実は静香より富男のほうが苦しいんだなって。その苦しさをたたずまいだけで見せられるところが、やっぱり大谷亮平という人の持って生まれたものなんだろうとはすごく思います。大谷亮平という役者が「ゼニガタ」の中でホロッと出る瞬間がすごく素敵だなと思っていて。
大谷:それこそ小林さんは現場で全くブレる感じがなくて、本当に演技に迷いがあったのかなってぐらい見事に演じ切っていらっしゃいました。僕なんてフワフワしてるので(笑)。
小林:いやでもそう言っていただけてありがたいですよね。(インタビュアーに)僕らがほめ合うというめちゃくちゃ気持ち悪いインタビューになってますけど大丈夫ですか?(笑)
◆(笑)。いや、リスペクトし合う関係が素敵だなと!
大谷:そっちは分からないですけど、僕は本音ですよ。
小林:(爆笑しながら)聞こえが悪いですな~!!
小林:う~ん。…あ、ありました。
大谷:僕はないけど。
小林:ははははは!(爆笑) あ、でも1つだけ言わせていただくと、大谷さんすごくピュアなんですよ。年齢は1つしか違わないんですけど、失礼ながら軽くイジったりする時があるんですね。例えば僕が「大谷さん、人間興味ないですよね?」って言うと、「興味あるから!」って本気で言うので、そういうセンシティブな部分はちょっと改善してほしいなってマネージャーさんが言ってました(笑)。
一同:(爆笑)
大谷:(「言ってない!」と否定するマネージャーに)そういうのあんまりよくないよ?(笑)。でも僕、本当に(小林さんに直してほしいところは)ないもんな~。う~ん。あ、お酒飲みに行ったら、僕を置いて先に帰る。どうですか?これ。
小林:いやいやいや、大谷さん強いんですよ!「俺もう飲めないよ」って言ってるんですけど、大谷さんは顔色変わらずずーっと飲んでるから。
大谷:そういう日だったから(笑)。そういうゾーンに入って。でもそんなに遅くなかったですよね?
小林:いやでも、あれ5時回ってなかったでしたっけ?
大谷:そうでしたっけ(笑)。
◆(笑)。作品のお話に戻りますが、本作のテーマは“お金”です。作品に携わってから金銭感覚に変化はありましたか?
大谷:この映画でもそうでしたけど、闇金とはいえ何かを救う使い方も希望を見いだす使い方もあったし、当たり前の話ですけど、お金って使い方ですよね。それ次第でいい方にも悪い方にも転じるというのは映画を通してあらためて感じたので、僕自身も自分で稼いだお金はいいほうに使える人生にしていきたいなと思いました。
小林:お金って物質的なだけではなくて、その先に何があるのかっていう、それも含めて“お金”なんじゃないですかね。今大谷さんが言った使い方という意味では、保身のためにお金を使うことが、世の中では案外多いのかなと役柄を通して再認識させられました。
大谷:闇金と聞くと特に女性は敬遠する方も多いと思いますが、それ以上に物語やキャラが魅力的なんです。お金をめぐる人間関係の面白さ、滑稽さが盛り込まれているので、ぜひ気楽に見てほしいです。
小林:人間ドラマっていろんな人のコミュニケーションを描いているものじゃないですか。それと相反するディスコミュニケーションという言葉もありますが、この映画はお金を通してディスコミュニケーションを買うのか、解消するのか、そういうことを含めて、いろんな関係性を描いた人間ドラマになっています。闇金という表題に惑わされず見ていただけたらと思います。
■PROFILE
大谷亮平
●おおたに・りょうへい…1980年10月1日生まれ。大阪府出身。韓国でモデル・俳優として活躍し、2016年に日本で活動開始。ドラマ『ラブリラン』(日本テレビ系 毎週(木)後11・59)に出演中。映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」が6月8日(金)公開。平成30年度後期 連続テレビ小説『まんぷく』に出演。
公式Twitter:https://twitter.com/ryohei_otani
公式Instagram:https://www.instagram.com/ryo.vbps/
小林且弥
●こばやし・かつや…1981年12月10日生まれ。山口県出身。映画「凶悪」「あゝ、荒野」などに出演。情報番組『猫のひたいほどワイド』(tvkほか (月)~(木)正午)に、火曜MCとしてレギュラー出演中。イベント「2018 tvk 秋じゃないけど収穫祭~ジモトイロ~」(神奈川・日本大通り&横浜公演)にて行われる、『猫のひたいほどワイド』トークショー(5月27日(日)正午)に出演。
公式Twitter:https://twitter.com/cobakatsu1210
公式Instagram:https://www.instagram.com/cobakatsu1210/
■作品情報
映画「ゼニガタ」
5月26日(土)シネマート新宿ほか全国公開
監督:綾部真弥
出演:大谷亮平、小林且弥、佐津川愛美、田中俊介、玉城裕規、安達祐実、升毅、渋川清彦 ほか
<STORY>
居酒屋経営の傍ら、闇金稼業を営む銭形兄弟の富男(大谷)と静香(小林)。ある日、彼らの元にボクサー崩れの八雲(田中)が弟子入りを申し出る。
公式HP:http://zenigata-movie.com/
「ゼニガタ」初日舞台あいさつ情報:http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/topics/20180510_15054.html
●photo/金井尭子 ●text/金沢優里
©2018「ゼニガタ」製作委員会