6月30日(土)からスタートする土曜ドラマ『バカボンのパパよりバカなパパ』(NHK総合)で主人公・赤塚不二夫役を演じる玉山鉄二さん。ハチャメチャな漫画以上に、実生活がハチャメチャでダメな父親だったという赤塚不二夫をどう演じたのか聞きました。
赤塚不二夫が考える笑いを表現したい
「これは自分ではないんじゃないか?」って、すぐに首を縦に振ることができませんでした(笑)。赤塚不二夫のイメージは“ガムシャラにギャグ漫画を描いて、バカをやり続けた人”。お話を頂いてから、不二夫さんについて調べたり、ドキュメンタリーや生前の映像を拝見したんです。そしたら、僕が抱いていたイメージだけではなく、赤塚不二夫の笑いの奥には大切なものや、残したかったものが詰まっていました。戦争も体験されていて、だからこそ笑いの素晴らしさを伝えたかったのかなとも感じて。そして、赤塚不二夫が大事にされていた、博愛の精神。どんな人とでも垣根を取っ払って、バカやって笑いに包まれれば、自然と手をつなげるという考え方。そこにとても共感しました。
◆実在する人物を演じる難しさは感じられていましたか?
常に責任感を持って演じていますが、この作品ではそういう凝り固まった考えではいけないと思っていて。赤塚不二夫が伝えたかったセオリーに背かないように、気負いすぎてもいけない。自分が持っている理性的な部分のブレーキを外して、暴れ回るのも必要だなと思いました。
◆原作者の赤塚りえ子さんとは、お話されましたか?
漫画のレッスンを受けにフジオプロへ行った時に、お会いしました。そこで「本当にうちの家族は変なんです。でも愛情に包まれて、私はパパもママも2人いますけど、胸を張って他の家族より幸せだって言える自信があります」とご家族のことについて教えていただいて。「玉山さんが感じたように、自由にやってください」と言っていただけたので、演じる上で自信につながりました。
◆連続テレビ小説『マッサン』(14年)以来となるNHKドラマでの主演ですが、感慨などは?
肉体的なキツさはありますけど、主演だからとか主演じゃないからとかはあまり思わないですね。今回もキャストの方に恵まれ、助けられた部分が多いです。長谷川(京子)さん、比嘉(愛未)さん、(森川)葵ちゃん、馬場(徹)君と、家族がみんな不二夫さんの考え方を表現できるように助け合った撮影でした。特別何かしたといえば、多めに差し入れをしたぐらいかな(笑)。
クランクアップした日の夜に家族だけで集まって、焼き肉を食べに行きました。最後にみんなへ感謝の気持ちを込めて、僕が考えるそれぞれをイメージしたプレゼントを渡しました。その後はみんなでグループチャットを作って、近況なんかを話しています。
◆劇中で“シェー”のポーズをされていますが、気恥ずかしさなどはありましたか?
普段は恥ずかしがり屋で内気な性格なんですが、現場に入ると求められることは何でもできます。だから“シェー”もやり切りました。ただ、女装をするシーンも何度かあるんですが、その撮影よりも衣装合わせの時のほうが恥ずかしかったです(笑)。
◆最後に手応えを聞かせてください
不二夫さんを描いた映画やドラマはたくさんあります。でも、せっかくやるからには、その中でもNo.1にしたいと思っていて。撮影を終えた今、この作品なら、No.1になれるんじゃないかと手応えを感じています。
■PROFILE
●たまやま・てつじ…1980年4月7日生まれ、京都府出身。連続テレビ小説『マッサン』では主人公:亀山政春を熱演。Netflixオリジナルドラマ『Jimmy‐アホみたいなホンマの話‐』が7月20日(金)より配信、大河ドラマ『西郷どん』では桂小五郎を演じる。
■ドラマ情報
土曜ドラマ『バカボンのパパよりバカなパパ』
NHK総合
6月30日スタート
毎週土曜 後8・15~8・43
(初回拡大版 後7・30~8・43)
●text/田中ほのか