現在公開中の映画『君が君で君だ』に出演する池松壮亮と松居大悟監督が上映後トークイベントに登場した。
池松は企画を初めて聞いた時の感想について「松居監督とはドラマや舞台などいろんな仕事を共にしてきて、お互いのキャリアが一周してもう一度しっかりと組めてよかったです。ただ、非常に難しい戦いになるなとは思いました。誰も踏み入れていないところに踏み入れようとしていましたし、大げさな言い方をすると、人類が答えを出していないものにシンボリックな表現を含めて挑もうとしていたので、しかもこんな時代に。どれだけ説得力を持たせるか企画を頂いてから今日まで考えていました」と語った。
尾崎豊役については「最近、いろいろな映画があって、いろいろな表現があって、自分もその中の一人ではあるのですが、あまりにもごちゃごちゃしていると思っていて、なんかここら辺で一つ、かっ飛ばしてみようかなと思いました。映画とか、人とか、表現とかものすごく気を遣う時代になってしまっていて、そういうものを超えたくて、宇宙人みたいになって、銀河みたいなところに行ってみようと思いました。伝わると思って表現していたものを一度爆発させて、この作品に乗せて演じさせていただいたように思います」と尾崎を演じるにあたっての熱い想いを語った。
撮影現場でのお互いについて、松居監督は「プロとして正しい正しくないというものを超えてモノづくりをやる仲間としてすごく脚本について話しました。映画というものにも向かって前向きにやっていった時間は生産的というか正しかったなと思います」と語り、池松も「熱い中、朦朧としながらも針の穴に糸を通すようにやっていた気がします」と撮影を振り返った。
質疑応答では「好きにもいろいろあるんだなと思いました。好きだとこんなに人っておかしくなってしまうんだなと思ったのですが、客観的この映画を見てどう思いましたか」という質問が。池松は「最近、人の感情をたやすいものとされがちだと思う。すごくいろいろなものがシステム化されて、言葉にされて、みんなの中で同じベクトルになっている。この映画は人間の本物の感情の強さみたいなものは見せられるような気がしていて、本当に誰かを想うとか、本当に人とけんかするとか人間の感情のすごさを見せられる映画だなと思います」と語った。
最後に池松は「ありがたいことに好評をいただいておりまして、僕たちにできることは映画を作り上げてスクリーンに流すことだけなので、あとは皆さんの生活とか人生とかに意味があって、この映画が何か与えられた分からないけど、ほんの1ミリでも豊かになればうれしいなと思います」とメッセージを送った。
『君が君で君だ』
公開中
<ストーリー>
大好きな子が好きな「尾崎豊」「ブラピ」「坂本龍馬」になりきり、自分の名前を捨て、10年間ただひたすら好きな子を見守ってきた3人の男たちを描いた恋愛譚。触れ合うことも告白することもなく、ただ見守り続けてきた3人が、執拗な借金の取り立てから好きな子を守るべく立ち上がるも返り討ちに!物語は大いなる騒動へと発展していく。
監督・原作・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮 キム・コッピ 満島真之介 大倉孝二
制作:レスパスフィルム
配給:ティ・ジョイ
公式サイト:https://kimikimikimi.jp
©2018「君が君で君だ」製作委員会