松本穂香が主演を務める中川龍太郎監督の最新作「わたしは光をにぎっている」の公開が決定し、第41回モスクワ国際映画祭の特別招待作品として正式出品されることが発表された。
本作のメガホンをとった中川龍太郎監督は、1990年生まれの弱冠29歳の新進気鋭監督。東京国際映画祭の公式部門の1つである日本のインディペンデント映画を積極的に紹介する「日本映画スプラッシュ」で、『愛の小さな歴史』(14)、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(15)と2年連続の出品を最年少で果たし、注目を集めた。
今回は、第39回モスクワ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した前作『四月の永い夢』(17)に続いて、2作品連続で同映画祭への出品となる。
松本が演じるのは両親を早くに亡くし、長野・野尻湖のほとりのこぢんまりした民宿を祖母と2人で切り盛りしている宮川澪。澪は祖母の入院を機に、父の親友であった京介を頼って上京することになり、徐々に銭湯の仕事を手伝うようになる。銭湯にたむろする常連客たちと次第に親密になり、東京での日々が少しずつ楽しくなっていたが、区画整理のため銭湯が近いうちに閉店する運命にあることを知り、ある決断をする――。
<松本穂香 コメント>
◆映画化にあたって
私たちの暮らす世界はとても儚くて、だからこそ美しいのだと、映画を通してあらためて感じました。
中川監督が紡ぐセリフは優しくて、映画の中にあふれる光はとても美しいです。
いろんな視点から楽しんでもらえる映画になっていると思います。
◆モスクワ国際映画祭出品について
海外での上映はひとつの目標でもあったので、とてもうれしくもあり、海外の人に受け入れてもらえるのかという不安もあり、ドキドキでいっぱいです。堂々と自信を持って参加したいと思います。
<中川龍太郎監督 コメント>
◆映画化にあたって
祖母の代からずっと通っていた近所のお豆腐屋さんが潰れた。学生時代にいつも通っていた銭湯も潰れた。伝統的なものが高級な文化としてしか残らないのだとしたら、日本に暮らしている多くの高級なものとは無縁の僕たちは、この国で生まれ、生きていることの思い入れをどうやって守ったらいいのでしょうか。そんな想いをきっかけに、「子供のまんまでいたい」女の子が、自分の力でどうやって新しい居場所をつかみとるのかを描きました。この小さな物語が現代日本を舞台にした、ささやかな『魔女の宅急便』になっていますように。
◆モスクワ国際映画祭出品について
前作『四月の永い夢』を温かく受け入れてくださったモスクワの皆さんと再会できることが楽しみです。今の日本以上に先の見えない世情にあって、ロシアは街の様相も刻々と変わっていると聞きます。この映画が、まさに激動の隣国・ロシアの人々にどう受け止められるのか、ドキドキしています。モスクワに限らず、この映画が、これまでの映画のように一つでも多くの文化で生きる人々に届きますように。そして、その声を養分にして、日本の観客の皆様と豊かなコミュニケーションがとれたらうれしいです。
「わたしは光をにぎっている」
2019年、全国ロードショー
監督:中川龍太郎
脚本:末木はるみ 中川龍太郎 佐近圭太郎
脚本協力:石井将 角屋拓海
出演:松本穂香
配給:ファントム・フィルム
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