人気漫画家・五十嵐大介の同名コミックを、映画「鉄コン筋クリート」で第31回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞したSTUDIO4℃が映像化した映画「海獣の子供」が6月7日(金)に公開。本作で主人公・琉花を演じた芦田愛菜さんにインタビュー!
自分に素直になれない琉花にすごく共感しました
◆芦田さんご自身と同じ14歳の琉花を演じましたが、どんな女の子ですか?
心の中では思っていることがたくさんあって、いろんなことを感じているのに、なかなかうまく言葉にして表せなかったりとか、誰かに自分の気持ちを分かってほしいのに、分かってほしいって言えないとか、自分に素直になれないところがあって、でもそれがもどかしいと思っている、そういう女の子ですね。
私自身も自分に素直になれない瞬間はあったりするので(笑)、すごく共感できました。
◆同世代のキャラクターを演じるのと、世代が違うキャラクターを演じるのとで違いはありますか?
やっぱり同世代のほうが演じやすいというか、琉花ちゃんは私と同じ14歳で、けっこう共通するというか、共感できるところもたくさんあったので、演じやすかったです。
でも、世代が違う役を演じるっていうのも、どうやったら幼く見えるんだろうとか、そういうふうに考えていくのも楽しいので、どちらを演じるのも好きです。
◆女優としての普段のお芝居と声のお芝居は違いますか?
普段のお芝居だと、ちょっとした目線の動きだったり、動作だったりで表せる部分もあるんです。でも声のお芝居は、声だけでそのキャラクターのすべてを語らなけらばいけないというか、声だけでどういう気持ちなのかを伝えなければいけないので、そういうところは難しかったというか、ちょっと普段とは違う部分でした。
◆今回、特に意識したことはありますか?
琉花はモノローグ、心の声が多かったんです。心の中で思っていることをうまく言葉にできないっていう女の子だったので、心の中はすごく感情を入れて豊かに雄弁に、でも言葉にするとうまく言えないっていうのが伝わるように工夫しました。
◆確かにモノローグのせりふが印象に残っています。そういう工夫があったんですね。では、演じる上で難しかったシーンはありましたか?
ラストの20~30分というのはとても難しいテーマで、圧倒されていました。琉花がその場面で感じたり、思ったりした迷いとか悩みとかがたくさんあると思うんです。私も琉花に寄り添って演じていく上で、分からないこともあるし、たくさん感じることもある。そこは琉花と一緒になのかなって思って、寄り添って同じ14歳として演じられたかなと思います。
◆渡辺歩監督や原作者の五十嵐さんとはどんなお話をされましたか?
監督は私が声を録音するいるブースの中に一緒にいてくださって、直接お話を伺うことができたんです。作品に対しての想いとか、そのシーンの琉花の気持ちとか、こういう意味なんだよっていう説明とかをすごく近くでしてくださって、たくさんお話を伺うことができました。
あと、何回かチェックをしたりして、ここはもう少しこうしたほうがよかったかなっていうのを私から監督に伝えて、そうだねって言っていただいたり、ここはこれでいいんじゃないかなとか、コミュニケーションがたくさんとれて、こだわってやらせていただけてうれしかったです。
◆五十嵐さんとはどんなお話を?
漫画の大きな1コマがあって、そこの声をどうするかっていうことについて、どういうイメージでこのコマを描かれたのかという話を伺ったりしました。
◆芦田さんはこの作品からどんなものを受け取りましたか?
私はやっぱり生きることと死ぬことについて考えました。空君や海君は自分の命が長くはないことを知っていて、死の方向から生きることってどんなことだろうって見ているんです。逆に琉花は、自分が生きているっていうことを実感しながら、死ぬってどういうことだろうって見ていると思うので、生きることと死ぬことは、正反対なんじゃなくて隣り合わせにあるのかなって感じました。
◆好きなシーンを挙げるとしたら?
海君と最初に水槽の中で出会うシーンがすごく好きです。音楽がすごく盛り上がっていって、キラキラしていてすごくきれいですよね。波の表現など、すごく水がきれいだったなって思います。
◆それでは、これから映画を見る方にメッセージをお願いします。
明確な答えが出るものではなくて、皆さんそれぞれ感じ方だったり、考え方だったりは違うと思うんです。それは違っていていいのかなって思っていて、明確な答えとか、言葉にしなきゃとか、そういうものを求めるのではなくて、そのときに感じたことを大切にして観ていただけたらうれしいです。
◆ちなみに、お仕事でもプライベートでも、これから挑戦したいことはありますか?
二重人格の役とかやってみたいですね(笑)
◆芦田さんが演じる二重人格…それは期待しちゃいますね。
すごく演じがいがありそうだなって思います。
あと、私けっこう悪い人も嫌いじゃないんです(笑)。ちょっといじめっ子とか影がある役とかすごく好きです。
◆プライベートではいかがですか?
いま友達との時間がすごく楽しくて、何をするっていうわけじゃないんですけど、たわいのないお話をしたりするのがすごく楽しいので、友達とたくさん思い出を作りたいです。
◆では、水族館なんていいんじゃないでしょうか?この映画を見ると水族館や海に行きたくなりますよね。
そうですね。水族館や海って、近いようでなかなか行けてないっていうことに気づきますよね。友達と行ってみたいですね(笑)
■PROFILE
●あしだ・まな…2004年6月23日生まれ。2010年の『Mother』(日本テレビ系)でドラマデビュー。以降、大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』(NHK総合)の出演を皮切りに、翌2011年の『さよならぼくたちのようちえん』(日本テレビ系)では日本のドラマ史上最年少主演を果たし、続く『マルモのおきて』(フジテレビ系)に主演、主題歌の「マル・マル・モリ・モリ!」で『第62回NHK紅白歌合戦』に史上最年少で出場する。
2013年には映画「パシフィック・リム」でハリウッドデビューし、現在ではドラマやCMなどに多数出演。連続テレビ小説「まんぷく」(NHK総合)では、史上最年少の“語り”を担当し、さらなる活躍の場を広げている。「第34回 日本アカデミー賞 新人俳優賞」他、多数受賞。
■映画情報
原作:五十嵐大介「海獣の子供」(小学館 IKKICOMIX刊)
<キャスト>
芦田愛菜 石橋陽彩 浦上晟周 森崎ウィン
稲垣吾郎 蒼井優 渡辺徹/田中泯 富司純子
<スタッフ>
監督:渡辺歩 音楽:久石譲 キャラクターデザイン・総作画監督・演出:小西賢一 美術監督:木村真二 CGI監督:秋本賢一郎 色彩設計:伊東美由樹 音響監督:笠松広司 プロデューサー:田中栄子
アニメーション制作:STUDIO4℃
製作:「海獣の子供」製作委員会
配給:東宝映像事業部
公式サイト:www.kaijunokodomo.com
公式twitter:@kaiju_no_kodomo
©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会
●photo/中村圭吾 hair&make/久慈拓路 styling/浜松あゆみ