アダルト業界の風雲児・村西とおるが仲間と新たな時代を創り上げた波乱万丈の半生をドラマ化。村西役の山田孝之さんと、彼と運命的な出会いを果たす恵美(後の黒木香)役の森田望智さんに撮影裏話を伺いました。
海外で「ムラニシ!」と呼ばれたい!(山田)
役者として一歩を踏み出せた作品に!(森田)
◆実際に村西とおるさんにお会いした時の感想は?
森田:独特な口調で次々と言葉があふれ出る方だったことは覚えているのですが、私が緊張しすぎていたこともあってあまり記憶がないんです。
山田:ずっとしゃべられている方なので圧倒されちゃいますよね(笑)。僕は直接お話ししたというより、プロデューサーたちとの会話をずっと聞いていました。「どう話されるのか?」「どう相手に伝えるのか?」。そのことを自分が村西さんを演じる上で取り入れさせてもらいました。
◆かなり意欲的な作品に対して、どのように向き合い、どのようにキャラクターを演じようと思われましたか?
森田:今まで憧れてきた俳優さんにはお芝居の技術や巧さでは到底かなわないので、私にできることを1つひとつ読み解いていこう。気持ちの面ではさらけ出していこうという思いで臨みました。
山田:日本だけでなく、人種も宗教も違う世界190か国に配信される作品なので、全力で楽しいエンターテインメント作品を作ることだけを心掛けました。村西さんの人生そのものが刺激的で面白いですから、リスペクトをしながら、全力で向き合って作っていけば確実に面白いものになるだろうという感覚はありましたね。
◆初共演となるお二人ですが、お互いに共演した印象や感想は?
山田:森田さんは、とにかく真面目!自分の出番がない時もずっと僕たちの芝居を見ていて。しかも、森田さんの芝居を見た瞬間、キャストみんなが「本物の黒木さんじゃん!こりゃ、本気出さないとヤバいぞ!」と思ってしまうぐらいすごかったんです。
森田:それは山田さんも同じで、私はずっと「村西さんだ!」って思っていました。私にとって撮影現場に行くだけで刺激的だったんですが、山田さんとの初めてのシーンは長回しということもあって、とにかく必死でした!
◆現場の雰囲気はいかがでしたか?
山田:いやぁ不思議な現場だったよね!役者って、役を作ってカメラの前に立ったら、今日始めた人も50年やっている人も一緒。芸歴なんか関係ない中、森田さん全力で来るからもちろん全力で受け止めたけど、あそこまでやられた経験がなかったから、正直怖かったかも。頭のてっぺんから指先まで全部くい尽くされる感覚だったから(笑)。
森田:私、そんな怖くは全然ないですよ。私もやったことなかったですし(笑)。ただ、私がどう動いても山田さんが村西さんとして受け止めてくれるというか、同じ目線で戦ってくださっていることをずっと感じていて、そういう安心感に助けられました。
◆満島真之介さんや玉山鉄二さんら共演者の方とのチーム感は?
山田:村西軍団は楽しかったです。事務所内のシーンは楽しすぎてずっとカメラが回っていてもいいぐらい(笑)。常に感覚が研ぎ澄まされている感じ。でも、アドリブを足していこうという感じでもないのが面白かった。
森田:実は私、現場では村西役の山田さん以外、何も見えてなかったんです。作品を見て皆さんの動きに気づいたぐらいで、村西軍団のチーム感みたいなものは分からないぐらい役に入り込んでいたのかもしれません。
山田:みんな独特なしゃべり口調だったり、確かにキャラが立っていたりするんですが、めちゃくちゃ役を作り込んでいるという感覚がないんですよ。僕も含めて、わりとフラットにやっていましたね。
◆ハワイロケでの印象的なエピソードは?
山田:撮影後に(メイクの順子役を演じる)伊藤沙莉にヴィクトリアズ・シークレットの下着をプレゼントすることになったんです。それで何も違和感なく、村西軍団の男性陣と沙莉で、普通に店内に入って普通に選んであげて試着してもらっていました。撮影の勢いもあってかどこか感覚が麻痺していたのかもしれません。
森田:(笑)。私はハワイロケには参加していなんですが、伊藤さんは村西軍団唯一の女性スタッフ役なので、私にとって心の拠りどころのようでもありました。伊藤さんとの共演シーンも楽しかったです。
◆この作品はお二人の役者人生においてどんな作品になったと思われますか?
森田:間違いなく、私の人生において一番大きな役で懸けた思いも大きくて、周りの方がどう思われるか分かりませんが、私としては役者として一歩を踏み出せた作品になったと思います。「今日が最後かもしれない」という覚悟で受けたオーディションが懐かしいと思うぐらい今の自分にびっくりしているんですけれど、その時の自分の気持ちに恥じないように頑張っていきたいと思います。
山田:森田さんのお芝居、スタッフ、キャスト全員大絶賛ですから!今回は間違いなく、僕の中で他の作品と違う意識もありまして。12年前に「クローズZERO」で芹沢という役をやらせてもらい、SNSだけでなく、旅行先で、世界中の方から「セリザワ!」と呼ばれることが多いんです。それを世界配信される『全裸監督』をきっかけに「ムラニシ!」に変わるんじゃないかと思っています!
■PROFILE
山田孝之
●やまだ・たかゆき…1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。A型。主な出演作にドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、「クローズZERO」シリーズ、「闇金ウシジマくん」シリーズ、「50回目のファーストキス」など。映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」が現在公開中。舞台「ペテン師と詐欺師」が9月1日(日)より新橋演舞場にて上演。
森田望智
●もりた・みさと…1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。O型。主な主演作にドラマ『パパ活』、映画「キスは命がけ!」「生贄のジレンマ」「一週間フレンズ。」「世界でいちばん長い写真」などドラマ、映画、CMで活躍。現在、ドラマ『Iターン』(テレビ東京系)に出演中。
■作品紹介
Netflixオリジナルシリーズ
『全裸監督』
Netflixにて全世界独占配信中
<STAFF&CAST>
総監督:武正晴
監督:河合勇人、内田英治
原作:本橋信宏 脚本:山田能龍、内田英治、仁志光佑、山田佳奈
出演:山田孝之、満島真之介、森田望智、柄本時生、伊藤沙莉、冨手麻妙、後藤剛範、吉田鋼太郎、板尾創路、余貴美子、小雪、國村隼、玉山鉄二、リリー・フランキー、石橋凌
<STORY>
1980年、北海道。会社の倒産や妻の浮気で、失意のどん底にいた営業マンの村西(山田)は、チンピラのトシ(満島)と出版社社長の川田(玉山)らと、アダルト業界に進出。その後、ビデオ業界に新風を巻き起こす中、女子大生・恵美(森田)が現れる。
●photo/干川修 text/くれい響 hair&make/灯(Rooster)(山田)、遠藤真稀子(UM)(森田) styling/澤田石和寛(山田)、木村舞子(森田)