事なかれ主義で古い体質の総合商社・五木商事に起こるさまざまな問題を主人公・海原晴が痛快に解決するビジネスドラマ『ハル ~総合商社の女~』(テレビ東京系)。11月11日(月)放送の第4話に、映画会社スターバレーの社員・若林隼人役でゲスト出演する満島真之介さんに、ドラマの印象や役柄のほか、仕事観について聞きました。
若林を通じて、働く人たちへエールを送りたい
◆ドラマの印象を教えてください。
プロデューサー・栗原美和子さんの実体験を含めたオリジナル作品と伺って、今、オリジナルで作品を作るのが難しい中、連続ドラマで描かれるのはすごいなと。さらに、オファーを頂く直前に「最近、会社がベースで女性が主人公で描かれる作品が多くなったよね」というのを話していたのと、主演が中谷美紀さんだと聞き、以前、テレビ東京さんのスペシャルドラマ『模倣犯』(2016年)でご一緒させていただいているので、中谷さんのお役に立てるのであれば、という思いがあり参加させていただきました。僕も絶賛放送中のドラマを拝見していて。ドラマを通して、いろんな仕事・職業について知れるので、いいドラマだなと思います。
◆そんな印象を持った作品に参加してみていかがでしたか?
中谷さんをはじめ、藤木直人さんや(白洲)迅君も共演経験がありましたし、監督の都築(淳一)さんやスタッフさんも僕がテレビドラマに出始めたころにお世話になっていた方ばかりで。久しぶりに会う方が多く、撮影1日目から「レギュラーキャストなの!?」っていうぐらい皆さんと話させていただきました。もしかしたら、演じた若林のせりふより(カメラが)回っていないときのほうがしゃべっていたかもしれない(笑)。個人的に、どの作品においてもキャスト・スタッフ全員が明るく元気に撮影しているほうが作品が良くなると考えていて。雰囲気を良くするためには、撮影の合間にコミュニケーションをとって、どこまで心を通わせられるか…というのが大事だと思っているので、短い時間で現場の皆さんの人となりを聞きまくり、しゃべりまくり(笑)。本番直前まで話しているときもありました。
◆それはすごいですね!
アウェーの空気感を作ってしまうとダメだなと思い、逆に自分のホームにようこそ!っていうぐらいの気持ちでいました。…ゲスト出演なのに、完全に爪痕を残しにいきましたよ(笑)。そういう空気を作ることで、新しい方が来たときに変な緊張感が現場に流れるよりも、「お、違う色が入って来たぞ」というワクワク感に変わっていたらいいなって。でも、『ハル~』の現場は僕がおじゃまする前から和やかな現場だったので、ずっと撮影していたいぐらいすごく楽しかった。
◆満島さん演じる若林は、儲け第一気質の社長・飯島率いる映画会社スターバレーの社員ですが、役柄をどう捉えていましたか?
台本を読んだときに、今の映画業界の象徴のような役だなと思いました。それに、僕は助監督をやっていたこともあるので、その時代の記憶や大変さを思い出しました。助監督時代はプロデューサーや先輩の助監督たちなど、いろんなスタッフさんから作品作りの現状を聞いていましたし、裏側の大変さや企画が通ったときの喜びなどを知っていたので、経験がある分、より若林の人柄を深くできるんじゃないかなと。この役を通して、視聴者の皆さんに映画などの映像作品が作られる裏側もそうですが、“熱意を持って仕事をすればいつか実を結ぶ”とか、“熱い心を持っていれば必ず助けてくれる人が現れてくれるよ!”というようなエールや背中を押すきっかけになればうれしいなと思い演じましたので、ぜひ見ていただきたいです。
◆主人公・晴は「楽しく仕事をする!」がモットーですが、満島さんがお仕事をされる上で意識していることはありますか?
なかなか難しいですが、楽しく仕事をするのが一番ですよね。僕は、どれだけ落ち込んでいようが、不安だろうが、現場に行けば共演者やスタッフさんたちと「この場に居られて幸せだね」という気持ちを共有したいし、その空気が画面にハッピーなオーラを映しだし、見てくださる方にも伝わって明るくなるんじゃないかなと思っています。つらいな、とか大変だなと思う前に、その場を思いっきり楽しむことにしています。
◆働く人の中には“仕事=つらい、大変”と感じている方も多いと思います。満島さんなりの仕事の楽しみ方や、つらい時の乗り越え方を教えてください。
何かに悩んだりつまずいたりしたときは、勇気を出して年上の方に「こういうとき、どう乗り越えていましたか?」って聞くといいと思います。ひと言質問したら、先輩たちは経験談をたくさん話してくれると思うし、その中で自分の悩みが解決しそうな言葉などのヒントが得られるはず。僕もそうですけど、若い世代はなかなか自分からコミュニケーションを取りにいかない人が多いと思うんです。でも待っていても何も解決しないので、そこは一歩踏み出して、周りの人に頼りましょう!人生の先輩の言葉をもらうことで、あらためて仕事や自分自身と向き合うきっかけになります。また、自分と向き合うことで純粋に好きなもの・ことを知ることができるし、その好きなものが仕事になれば、なおいいですよね。
◆なるほど、勉強になります!
僕も先輩たちに悩みを相談した時に“つらいことや大変な仕事や悩みがあるっていうのは、その人が乗り越えられる力を持っているからだよ”ってよく言われます。考えてみると、壁にぶつかっても、「僕にはこれを乗り越えられる力があるんだ。だから進み続けよう!」って思えるし、そのきつい時期を乗り越えられる日が必ず来ると信じています。今、大変だな、つらいなと感じている皆さん、安心してください!必ず乗り越えられますよ、大丈夫!僕でも乗り越えることができたので。あと、ある程度年齢を重ねたときに、20代や30代を振り返るとつらい時期も含め楽しかったなって思えるようになるはず。毎日を存分に楽しんで!そして、自分を愛して生きていきましょう!
■プロフィール
●みつしま・しんのすけ…1989年5月30日生まれ。沖縄県出身。最近の主な出演作は、『5夜連続ドラマスペシャル「白い巨塔」』、『いだてん~東京オリムピック噺~』、『愛なき森で叫べ』、『全裸監督』、オペラ「四次元の賢治」ほか。
■ドラマ情報
ドラマBiz『ハル ~総合商社の女~ 』
テレビ東京系
毎週(月)後10・00~10・54
BSテレ東
毎週(金)後9・00~9・54
出演:中谷美紀、藤木直人、白洲迅、忍成修吾、山中崇、加治将樹、渡辺邦斗、寺田心、奥田瑛二ほか
<第4話STORY>
海原晴(中谷美紀)は新たな案件として、和田寿史(藤木直人)から映画会社スターバレーの経営問題を持ち掛けられる。2年前から五木商事の完全子会社になり、五木商事から飯島利彦(宮川一朗太)が社長に就任している。だが和田の後輩で社員の若林隼人(満島真之介)いわく、飯島が儲け第一主義の商社気質で、裏付けデータがないと企画が何も通らないという。「映画作りには感性も必要だ」と怒りをあらわにする和田。晴は、いつもと様子が違う和田が気になるが…。
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●photo/金井尭子 text/宮西由加