4月5日、12日(日)放送の『世界遺産』(TBS系)は、25年スペシャルとして、民放初撮影となる「インド洋のガラパゴス」アルダブラ環礁を放送する。
アルダブラ環礁には一般の住民は暮らしておらず、いるのは研究者30人ほどだけ。首都のあるマヘ島からはチャーター機で2時間かけて近くの島に着陸、そこからさらにボートで2時間かけないとたどり着けない海の秘境だ。
島の自然環境を守るために、撮影許可もなかなか下りず、番組では数年がかりで交渉し、ついに撮影することが認められた。1992年にNHKが取材して以来、今回が民放初撮影となる。
アルダブラ環礁は、隆起したサンゴ礁がリング状に島を作り、東西の長さは30キロに及ぶ。巨大な環礁のためドローンを駆使して空から撮影、その形やスケール感を捉えることができた。リングの内部は、干潮になると人が歩けるほどの遠浅の海。白い砂地に奇妙な形の岩が点在する不思議な景観だ。また満潮になると外海からさまざまな海の生き物が入ってきて、浅瀬をマンタやウミガメが泳ぎ回る独特の景色を見ることができる。干満が変化する時の潮の流れはきわめて強く、水中撮影中のスタッフが流されるほど。リングの外と内を海水が波を立てて移動し、それが養分を運び、環礁の豊かな生態系を育んでいる。
アルダブラゾウガメは大きいもので体長1メートル以上、体重300キロにもなる世界最大のゾウガメ。アルダブラ環礁には、この巨大なゾウガメが15万頭も生息している。
日中の気温が40℃にもなるため、ゾウガメたちは小さな洞穴に逃げ込む。ゾウガメは動きがとてもゆっくりなため、通常の撮影ではどれくらいの数が集まっているか分からないという状況に。タイムラプス撮影(低速度撮影)に切り替えたところ、ゾウガメたちが洞窟に殺到する様子を捉えることができた。何十頭ものゾウガメがすし詰め状態になっている様は、見たことのない不思議な光景だ。
このゾウガメが植物を食べ、その種子をフンと一緒に島中にばらまき、植物を増やす。さらに他の動物たちもそのフンを食べるなど、アルダブラ環礁にはゾウガメを軸とした不思議な生態系も出来上がっている。またゾウガメ以外にも、絶滅を免れたインド洋最後の飛べない鳥など、ここだけの生き物も多く見られる。
<ナレーション・杏コメント>
世界遺産「アルダブラ環礁」にナレーションをしてみて、私自身、全く知らない自然をまたひとつ知ることができ、現地に行ってみたいと思いました。想像もできない広さのラグーン(サンゴ礁が作る遠浅の海)や、15万頭もいる大きなゾウガメや独特の生態系を見てみたい。実際に行くのは難しいところなのですが、それを2週にわたる放送でたっぷりと見ることができます。
今回は25年も放送を続けてきた『世界遺産』をもってしても、2年がかりの撮影交渉だったということで、あまり観たことのない本当に貴重な映像だと思います。このように番組が25年間記録し続けてきた映像、それ自体がひとつの遺産になっていると感じます。その映像をみんなで観て楽しみながら「世界は広いな」「地球を大事にしたいな」と思いをはせていただければ良いんじゃないかなと思います。
『世界遺産』
TBS系
「インド洋の秘境!巨大なリング状の島」
4月5日(日)後6時
「インド洋のガラパゴス!ゾウガメ15万頭の島」
4月12日(日)後6時
©TBS