【インタビュー】映画「風邪(ふうじゃ)」主演 小西真奈美インタビュー

特集・インタビュー
2014年09月26日

9月27日(土)に公開される、特効ワクチン開発と医療利権を巡るウィルスハザード・サスペンス「風邪(ふうじゃ)」。本作でスナックのママ、息子を持つ母、スパイなど、様々な面を持つ女性・桜子を演じた小西真奈美さんに共演者との関係や、撮影エピソードなどを聞きました!

――本作に出演された感想をお願いします。

すごく斬新な作品になりそうだと思っていました。特に私の中では、オープニングでものすごく心を揺さぶられましたね。「こんな入り口になるんだ!そしてこの入り口に八代亜紀さんの声が入るんだ!」と感じました。八代さんの曲は、インパクトはありますけど、すごくマッチしていたと思います。

――スナックのママ、息子を持つ母、スパイなど、様々な面を持つ女性、桜子を演じられて、いかがでしたか。

最初はそれぞれ役柄的に演じ分けていく必要があるのかなと思っていましたし、そこに難しさを感じました。でも、台本を読むと、桜子の行動は全て息子のためで、息子の病気を治したい一心がそうさせているんだなと思いましたね。そして、彼女はすごく不器用な人でもあるので、組織にいいように使われたり、スナックのママとして生計を立てていかなければならなかったりしてしまう。そういう女性なんだと自分の中で納得できたので、逆に、役を演じ分けない方がいいんだろうなと思いました。
例えば、組織の人と会うときに、かっこいい白のパンツスーツを着るんですが、全然着慣れていない感じがあるんですよ。颯爽と歩くのではなく、ちょっとおどおどしているんです。組織の人に会うから、スーツを新調したんだなっていう感じが出たと思います。

――桜子に共感できる部分はありましたか。

私は子どもがいないんですが、一人の女性として、“子供のためならなんでもする”ということは、こういうことなんだろうなと感じました。自分が悪いことに手を染めていくことを気にせず、息子を助けることに盲目になっていく。本当は彼女も多分、スナックのママをやりたいわけじゃないけど、そういう生活をせざるを得ない。
そんな中でも、彼女は決して、自分が不幸だとは思っていないと思うんです。自分の人生や生きがいを求めて“私が○○○をしたい”と思うのではなく、“息子のために○○したい”という気持ちが強いんだろうなと感じました。その部分がすごく、いち女性として共感する部分でしたね。

――桜子を演じるうえで難しかった点はありますか。

紀久生との関係ですね。紀久生との間に芽生える感情が、恋なのか愛なのか、それともよりどころなのか、というのが脚本の段階でもあやふやだったんです。私もあまり明確にしてはいけないと思いました。そのバランスは、毎回、シーンごとに監督と話し合いましたね。

――窪塚さんとの微妙な間柄を演じられたとのことですが、窪塚さんとの4年ぶりの共演はいかがでしたか。

実は4年前は、“共演している”という感じではなかったんです。“同じ作品に出た”という感じだったので、今回はすごくフレッシュな気持ちでご一緒しました。
窪塚さんは、とにかく役に対してまっすぐでした。自分なりのビジョンや考えを持っていらっしゃって、全部でぶつかってきてくださる方ですね。そういう意味では、引っ張っていただいた部分もあったし、どこか“お兄さん”的な存在でした。全部でぶつかってきてくれるんだけど、どこか受け止めてるところがある方なので、こっちも安心してぶつかっていけたんだと思います。
桜子は紀久生に対して感情を出すことがないんですが、それでも二人が共鳴していたということを、すっと納得させてもらえるような、ある種のあたたかさのようなものがあるんですよね。撮影中もそうでした。雨のシーンでも、震えながらロケバスに戻ると、窪塚さんが「がんばって!応援してるよ!」「寒いよね!俺もそのうちずぶぬれになるから!」と声を掛けてくれました。朝方まで撮影していたんですが、受け止めてくれる窪塚さんだからこそがんばれたと思います。

――大変な撮影もあったと思いますが、撮影中のエピソードをお聞かせください。

撮影は、すごい大変でしたよ!雨のシーンでは、こんなにぬれるの!?というくらいぬれました。最後の方のカットは明け方近くなんですが、「早く撮らないと、夜が明けるぞー!!」っていう感じだったので、ガタガタ震えながら撮影していましたね。みんなで「映画って過酷なんだね」と笑っていました(笑)。そのことを改めて実感しましたね。
あと、閉じ込められるシーンも大変でした!セットではなく地方の山奥で撮影したんです。本当に暗くて、入った瞬間に気がめいるような場所だったんですよ。そこでも長時間の撮影で、暗いとか、かび臭いとか、虫がいっぱいとか、外的要因がたくさんありましたね。精神的に疲れてしまうとテンションを保てないので、撮影の合間には明るいところに行っていました。みんなでお菓子を食べて、一回新鮮な気持ちになってもう一回戻る、という感じで。窪塚さん柄本さんと3人で、「この休憩を大事にしよう!」と言い合っていましたね。テンションを3人で保ちながら撮影をする、助け合いの日々でした!

――撮影中に楽しかったエピソードはありましたか?

撮影中は色々楽しかったなあ!窪塚さんとのことだと、社交ダンスを踊るシーンですね。劇中だと一瞬しか使われていないんですが、実際はフルで一曲踊っていたんですよ。練習中は、お互いの足踏んでしまっていたんですが、本番は、どっちも足を踏まずにできたので、盛り上がりましたね。
クリス・ぺプラーさんとは初めて共演したんですが、「役者って大変だね」って仰られていました(笑)。私は私で、「いつもラジオ聞いてます!!」みたいな感じで話しましたね。
柄本さんとも、他愛もないおしゃべりで盛り上がったり、窪塚さんと3人でお菓子食べながら、それぞれ世代が違うお菓子のマイブームを話し合ったりしました。撮影中はすごく楽しかったです。

――作品中でセーラー服を着られていましたね。

はい。監督になるべくブサイクになってくださいと言われました。ブサイクで冴えない女の子だったという雰囲気を出したかったんですが、すっぴんで眼鏡をかけただけだと、そういう格好が好きな人からすると、イケてると思われちゃうんですって。
だからみんなで、ブサイクにするにはどうしたらいいんだろうと考えましたね。眉毛をすごいゲジゲジにして、「これないよね~」と言って笑っていました。

――柄本さんとの共演はいかがでしたか。

共演できてよかったです!本当に素晴らしかったです。普段はすごくユーモアがある、優しい方なんですよ。今回の作品では、柄本さんの少しクレイジーなシーンがあったんですが、テストのときから演技がすごかったです。テストなのに、役者もスタッフも、まわりのみんなが引き込まれてしまって。そのシーンは、正直、脚本だけ読むと、成立するのが難しそうな場面だなと思っていました。
でも、脚本を読んだ役者やスタッフの、それぞれの頭の中の想像の世界でしかなかったものが、柄本さんが現場に入られた瞬間に、形になったんだと思います。現場の空気と、お芝居全てを成立させられるのは、役者としてというより、人としての力がすごく素晴らしい方だからなんだろうなと思いました。


――今回の作品では、シリアスな役を演じられましたね。今後も様々な役を演じられる予定ですか。

年齢を重ねるごとに、この役は自分に合ってるとか、これはやりたくない、というものを分ける方もいると思います。でも私は、どんな役が来ても、“やりたい!チャレンジしてみたい!”と思える精神状態と体力でありたいな、と常に思っていますね。
私自身色んな役を楽しめて、見る人に“この人こんな役もやるんだ!おもしろい!”と思ってもらえたら良いです。そのためには、気持ちも頭も柔軟じゃなきゃいけないし、体力もなきゃいけないと思っています。

――どんな役が来てもチャレンジできるようにしたい、とのことですが、何か努力されていることはありますか。

日々感じることを大切にしたいなと思っているので、日常生活を大事にすることを心がけています。例えば映画をたくさん観たり、ファッションを勉強したりということも大事だと思うんですが、役者って結局、人を演じるものなんですよね。
例えば、お皿洗わない人に主婦の役が来たとして、見ている人からすると、普段料理しないでしょ!って絶対ばれちゃいますよね。何気ないことにおいてもそれが言えると思います。四季を感じる気持ちがなかったら、桜を見て『きれい』という台詞は絶対言えないと思いますし、誰かに何かをいただいたときに、嬉しいと感じなかったら、『ありがとう』という台詞は言えないと思います。
だから、何気ないことですが、日常生活において自分で出来ることは自分することと、季節を感じたり、人とのコミュニケーションで感じる感情を大事にすることを、心がけていますね。

――今回出演されたのは「風邪(ふうじゃ)」という作品でしたが、何か「風邪」の思い出はありますか。

子どもの頃に、風邪を引いたなと思ったら実はインフルエンザで、もう少ししたら手遅れだった、という事件がありました。熱が測れないくらい高かったんです。それからは、風邪は怖いものなんだという意識がありますね。特に仕事を始めてからは、風邪だからといって仕事を休めないので、気をつけています。普段から風邪引いたかもと思ったらすぐ、ありとあらゆる民間療法を行うようにしていますね。
今回の作品では雨のシーンがあり、寒いだろうということがわかっていたので、体を温めておこうと思いました。体を温めるグッズとか、食べ物・飲み物を色々聞いて、現場にも持っていきましたね。あと、行き帰りには全身にカイロをつけて、生姜のドリンクを飲んだり、体を冷やすものはその日は食べないようにしたりもしました。
最近のおすすめ風邪対処法は、足湯ですね。風邪の引きはじめや引いている最中は、体力がないから、長くお風呂に入るのは良くないそうなんです。だからそういうときは、足だけすごく熱いお湯におくといいそうですよ。それを聞いて、ちょっと寒いかも、喉がイガイガするかも、というときに、足湯を何日か試してみたら、平気になりましたね。

 

トップス(aimo・richly)、スカート(EDWARD ACHOUR)
styling:西 ゆり子

 

作品情報

風邪(ふうじゃ)

小西真奈美 窪塚洋介
和田哲史 SHOGO 勝矢 クリス・ペプラー 高橋洋
秋吉 久美子
柄本 明

製作:CAJ/企画・制作プロダクション:小椋事務所
エグゼクティブ・プロデューサー:高木”Rosa”裕/アソシエイト・プロデューサー:久保田健司
プロデューサー:小椋悟/ラインプロディーサー:江良圭

監督:橋本以蔵
脚本:木田薫子 橋本以蔵 三上幸四郎
撮影監督:藤石修/照明:武山弘道/美術:山下修侍/装飾:松本良二/キャスティング:木滝和幸
ヘアメイク:坂本美由紀/衣装:加藤みゆき/編集:上野聡一/録音・整音:高木創/音響効果:鈴木修二
VFXスーパーバイザー:石井教雄/助監督:石川浩之/制作担当:木村和弘/音楽:蓜島邦明

主題歌:「五月雨の道」
八代 亜紀
YUKI appears by the courtesy of Epic Records Japan Inc.

2013年/日本/96分/ビスタ/ドルビーデジタル/デジタル上映
(C)2013「風邪」製作委員会 配給:チャンスイン
fuja-movie.com

9月27日(土)シネマート六本木ほか全国ロードショー

 
INTRODUCTION

特効薬開発と医療利権を巡る陰謀をサスペンスフルに描いた問題作、『風邪(ふうじゃ)』。主人公桜子役は『のんちゃんのり弁』で第31回ヨコハマ映画祭や第64回毎日映画コンクールなど数々の映画賞で主演女優賞を受賞、現在も映画やドラマなどで幅広く活躍中の小西真奈美が、スナックのママ、一児の母、そしてある組織のスパイと、いくつもの顔を持つ謎の女という難役を熱演した。そして、奇跡の特効薬“風邪(ふうじゃ)ワクチン”を作り出した天才科学者・紀久生を、『GO』で数々の新人賞を総なめにし、近年では『ヘルタースケルター』『サンブンノイチ』での演技も記憶に新しい窪塚洋介が演じる。このほか、
柄本明、秋吉久美子、クリス・ペプラー、アジアを拠点に俳優として活躍している和田哲史ら豪華キャストが脇を固め、監督・脚本には『アキラ』『スケバン刑事』をはじめ数々の作品を手掛けてきた橋本以蔵、さらに主題歌は八代亜紀がという、これまでにない贅沢なメンバーが揃った。豪華キャストと実力派スタッフのエネルギーが見事な化学反応を引き起こし、新たな傑作が完成した。

 
STORY

地球上に存在する200種類にも及ぶ風邪ウイルス。その特効薬が開発されれば世界を揺るがす大発明と言われる。
風邪をこじらせた工事現場の作業員・紀久生(窪塚洋介)は、スナックのママ桜子(小西真奈美)に連れられ、ウイルス学の権威である一ノ瀬医師(柄本明)の診察を受け大学病院に入院する。夜中に病室を抜け出した紀久生は、慣れた手つきで自分の唾液や血液を検査し始めた。実は、紀久生の正体は、すべての風邪を完治させる特効薬“風邪(ふうじゃ)ワクチン”の開発に成功した天才科学者で、全てのデータを持って失踪していたのだ。桜子は、ワクチンを手に入れようと暗躍する組織の幹部・道元(クリス・ペプラー)とその右腕・寺子田(和田哲史)の指示で紀久生に近づいていた。一方、紀久生の頭脳に嫉妬し、特効薬発明の名声が欲しい一ノ瀬もワクチンを狙っていた。そして桜子にも、組織のためではなくワクチンを手に入れなければならない理由があった。ワクチンを狙う人々と逃げる紀久生。それぞれの思惑が交差し、夢の特効薬をめぐる攻防の末に待ち受けていた衝撃の真実とは?

 
登場人物

鮎川桜子/小西真奈美
「スナックいそしぎ」のママ。風邪をひいた紀久生を看病し病院に連れて行く。実は、ある組織に仕え、道元の指示で紀久生に近づいている。別れた夫と息子の親権で調停中。

日村紀久生/窪塚洋介
工事現場の作業員。風邪をこじらせ桜子の世話になる。実は、全ての風邪を完治させる特効薬“風邪(ふうじゃ)ワクチン”を開発した天才科学者。ワクチンのデータを持って失踪した。

道元紀夫/クリス・ペプラー
“風邪(ふうじゃ)ワクチン”の利権を狙う組織の幹部。桜子、寺子田を送り込むだけでなく、一ノ瀬ともつながっている。

寺子田達彦/和田哲史
工事現場の現場監督。紀久生を桜子のスナックに連れて行く。実は、道元が送りこんだ紀久生の監視役。

一ノ瀬 迅/柄本 明
大学病院に勤務しウイルス学を研究している医師。紀久生の才能と特効薬開発の名声に嫉妬している。

日村百合子/秋吉久美子
紀久生の母。紀久生を励まし “風邪(ふうじゃ)ワクチン”の開発を応援する。紀久生のためであれば、どんな犠牲もいとわない深い愛情を持っている。

 

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