丸くてかわいい見た目からは想像もつかないほど多彩な音色を出すインドの打楽器・タブラ奏者のU-zhaan(ユザーン)がタブラ歴19年目にして待望の初ソロ名義アルバム「Tabla Rock Mountain」をリリース!!
地元・川越のデパートでなんとなくおしゃれインテリアとして購入したというタブラをきっかけに本場インドまでタブラを習いに行くほどのめりこみ、世界的に有名なオニンド・チャタルジー、ザキール・フセイン両氏に師事するなど今や日本を代表するタブラ奏者に。これまでASA-CHANG&巡礼メンバーとしての活動や、レイ・ハラカミとの共作をはじめ、2013年には社会現象を巻き起こしたNHK朝ドラ『あまちゃん』の音楽に参加するなど独自の演奏法でさまざまなアーティストの音源やライブに広く活躍している。本作にもかねてから親交の深い超豪華ミュージシャンの名前がずらり。ユザーンとそれぞれ1曲ずつコラボしたバラエティに富んだ全9曲が収録されている。
さらに初回限定盤のジャケットは構想6年、実製作2年をかけたという誰にも真似できない特殊ジャケット仕様!“ジャケットが飛び出す3D印刷!?”“カレーの匂いがする!?”“アルバム製作が手作業満載ってどういうこと!?”“突然現れたイメージキャラクター「タブラマン」って何!?”など…これらのもやもやした疑問を直接確かめるべく、ユザーンにインタビューを敢行しました!
――アルバム完成おめでとうございます! 完成した今の感想を聞かせてください。
リリースに向けて直前までいろいろあって。通常盤用の帯を作ったのも先週とかですからね。プロモーションもあるし、まだリリースもされてないし、完成したっていう強い実感はまだないですね。
――今回、ソロ名義でアルバムを出そうと思ったきっかけは?
ソロで出したほうがいいよって言ってくれた人がいたから「じゃあ出してみようかな」って思ったのがきっかけです。
――これまでの参加作品では無茶ぶりをされている印象が強いユザーンさんですが、今回ソロとして主導権を握ってみてコラボ作品との違いはありますか?
今までの参加作品での無茶ぶりって、それレキシぐらいでしょ(笑)。まあ、あとはASA-CHANG&巡礼でホルンを吹けとかそういうのはあったかもしれないけど。
自分のアルバム、ということでの変化と言えば、最終的に「これでOK」っていうGOサインを自分で出せるっていうところかな。CMの音楽制作現場等でディレクションをやったことはあるけど、CDとして出るもので自分に決定権があるっていうのは初めてだったので、すごく新鮮で面白かったですね。
――1曲目にソロ曲「Getting Ready」を持ってきた狙いは?
あの曲はタブラをチューニングしてるだけなんです。本当は1曲目はHIFANAの曲「Chicken Masala Bomb」で始めようかなと思ったんだけど、ちょっと不自然に感じて…。タブラは叩く前にチューニングするよな、と思って、チューニングしてるのを入れてみたって感じです。
――ユザーンさんのタブラチューニングのファンは多いですよね。
そんな人はいないですよ(笑)。共演者の人たちみんな困ってると思うな。曲が1曲終わるたびに毎回ハンマー持ち出してさ。
――演奏中でもリズミカルにチューニングしている姿はパフォーマンスとしてすごくかっこいいですよ。
そうかなー?こっちは「早く終わらせなきゃ」っていう気持ちでいっぱいですよ。
――バラエティに富んだ作品が9曲並んでいますが、曲順のこだわりは?
曲順は昔から決めるのが好きで。ASA-CHANG&巡礼の頃も、アルバムの曲順やライブの曲順は僕が決定することが多かったですね。並べ方によって印象が全然変わるからいつも結構悩むんだけど、今回はこれ以外に考えつきませんでした。あ、最初は小山田(圭吾)さんの曲を最後にしようかなって思った瞬間もあったな。でもやっぱりインド音楽が最後のほうがいいかなと思って、今の曲順になった感じです。
――今作でコラボできなかったミュージシャンも多いのでは? セカンドアルバムへの布石ですか?
いやいや!今はまっったく考えてないです。一生に1度のアルバムだと思って作りましたから。というよりも、次作のことを考えながら制作する人ってあんまりいないんじゃないですかね。みんな“今できる”とか、“今やりたいこと”を全部入れ込もうとするんじゃないのかな。
――それでは、次回作は後々新たにやりたいことが増えてきたら…という感じでしょうか?
そうですね……。先のことは、ちょっとわからないですけど。
――ジャケットもやりすぎぐらいの工夫が満載ですね。初回限定の秋色バージョンも追加発表されましたが。
突然、4日くらい前にデザイナーから「秋の新色の赤盤、っていうのを作ってきたよー!」って連絡があって。「このタイミングになって、いったい何を考えているんですか」っていうやりとりがありました。それ(秋色)が357分の1くらいの確率で流通に入っているはずです。あと、中にチューニング用のハンマーがあしらわれてるんだけど、その銀のハンマーも100枚に1枚、金になってるらしいんですよ。
――(笑)。某お菓子みたいですね!
もうね、意味が分からないんだよ(笑)。昔から僕のライブセットだったり、衣装だったりを作ってくれている「Vender Woh!」っていうデザインチームにアートワーク全般をお願いしたんだけど、「やりたいこと全部やっていい! 予算のこととか何も考えずにすべてやっていいから」って伝えたんですよ。そうしたら、本当にやりやがったって感じですね(笑)。予算度外視にもほどがあるだろっていう。普通、アルバムって飛び出さないからね。(3D印刷加工)
――ユザーンさんのアイデアも盛り込まれているんですか?
僕のアイデアは、強いて言えば“Vender Woh!の福山さんという人に全てを託した”というところですかね。できるだけストップをかけたりせずに、自由にやってもらうようにして。でも絶対にやめたほうがいいっていうことは止めたりするよ! 例えば「ジャケットの中にクミンシードを入れておきたいんだけど」って言われて「いや、それ食品衛生法とかが不安だからやめてくれない?」とか。
――ジャケットの工夫の中で一番気に入っている部分はどこですか?
そういえば、限定盤だけじゃなく通常盤もかなり好きなんだよね。紙ジャケット仕様のデジパックになってるんだけど、初回限定盤のイメージがすごくいい雰囲気に通常盤にも活かされてて。あ、初回盤のほうならいま持っているんで中を見てみます?(包装をバリバリ開ける)
それぞれ曲ごとにイメージしたものになっていて、8曲目は切手になってたりとか、1曲目のイメージのスタンプを作って手作業で押したりとか。あ、さっき言ってたハンマーはこれです。この銀のハンマーが、100分の1で金色になってるらしいです。小さな歌詞カードがここに入ってて、この部分はターメリックとパプリカで染めてあって……。
――すごい!
うまく伝わらないかもしれないけど、これは異常に作業量が多いんだよね。
――クミンシードのほかに、やりすぎだと感じたものは何かありますか?
やりすぎなのは、まずこの人(タブラマン)だよね(笑)。このタブラマンは、ここのブックレットに入れるために等身大のを作って中に人が入れるようになってるんだけど(9/10~22まで新宿・伊勢丹メンズ館に展示)。作った理由としては、ブックレットに入れたりとか、あとはPVを作ろうかと思ったりとか。
――ユザーンさんは中に入ったんですか?
いや、まだ入ってない。
――今後のライブで着て登場することがあったり?
だいぶ暑くて、めちゃくちゃ重いらしいんですよね(笑)。
――アルバムタイトル「Tabla Rock Mountain」以外に、ボツタイトルはどんなものがありましたか?
これは絶対ダメだろ、と思ったのは「タブラリゾート湯沢」っていうやつ。「タブラダ・ファミリア」ってのもひどかったな。さっきから話に出てるVender Woh!の福山さんに「何かいいタイトル思いつかない?」って聞くと大量に送ってくれるんだけど、全部ダジャレなんだよね。
――レコ発ライブツアーの予定は?
レコ発ライブの予定は今のところないです。どういう形でやるのがいいのか、まだ思いつかなくて。まあ、アルバムとは関係ないけど月末からROVOの勝井祐二さんとツアーに行くので、それをレコ発だと思ってもらえたら。仙台、秋田、山形、福島、京都、岡山、神戸、名古屋、津、浜松だったかな。まあアルバムとは全然関係ない即興ライブのツアーなんですけどね(笑)。各会場でCDも販売できると思うので、よかったらいらしてください。
プロフィール
U-zhaan(ユザーン)…1977年10月14日生まれ。埼玉県川越市出身。
現在、ユザーン公式ホームページにてアルバム発売を記念した特別企画「ユザーンのカレーばっか食べる会。」を掲載中。アルバムに参加したアーティストたちとユザーンがおいしいカレー店を訪れて紹介するという、見ると必ずカレーが食べたくなる連載企画が8の付く日に更新されている。さらに、LINEクリエーターズスタンプから「ユザーンとインドのゆかいな なかまたち」が発売中。
アルバム情報
「Tabla Rock Mountain」は初回限定盤価格3240円、通常盤価格2700円(いずれも税込)で10月8日(水)Golden Harvest Recordingより発売。
「Tabla Rock Mountain」収録曲
1)Getting Ready / U-zhaan
2)Chicken Masala Bomb / U-zhaan×HIFANA
3)Tabla’n’Rap / U-zhaan×KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)
4)Welcome Rain / U-zhaan×Ametsub
5)俺の小宇宙 / U-zhaan×ハナレグミ
6)Flying Nimbus / U-zhaan×DE DE MOUSE
7)Technopolis / U-zhaan×坂本龍一
8)Homesick in Calcutta / U-zhaan×Cornelius
9)Raga Mishra Kafi / U-zhaan×Babui×agraph
U-zhaan オフィシャルサイト(http://www.u-zhaan.com/)
●取材/鈴木身和