アイヌの歴史を継ぐ木彫家・貝澤徹の新たな挑戦を追う『情熱大陸』5・31放送

エンタメ総合
2020年05月30日
『情熱大陸』

 5月31日(日)放送の『情熱大陸』(MBS/TBS系)は、木彫家の貝澤徹の新たな挑戦を追う。

 今、先住民アイヌが注目を集めている。いわゆる「アイヌ新法」の成立だけでなく、直木賞受賞作『熱源』や漫画『ゴールデンカムイ』により、多くの人がその文化の多様さや親しみやすさ、そして自然との共存を模索するその精神性に魅せられている。

 北海道、日高地方平取町に位置する二風谷でコツコツと木を彫り続ける貝澤徹はそんなアイヌの歴史を継ぐ一人。家業として子熊の世話と土産物の制作に励んでいた貝澤の人生は、曽祖父ウトレントクや、アメリカンポリス姿とハーレー・ダビッドソンで貝澤の前に現れた木彫家・藤戸竹喜ら、独創的な先人との出会いを機に変化し始めた。

 その出会い以降、それまで正面から取り組むことのなかった自らのアイデンティティと向き合い始めた貝澤は、伝統工芸技術を駆使しつつ民族や故郷に対する愛着と葛藤を現代的な感性で形にする表現者へと進化してきた。

 貝澤の技術的洗練と精神性の融合から生まれた作品群は、今や大英博物館をはじめ、カナダ、スコットランド、アメリカなど世界各地で人々を魅了している。

 マイケル・ジャクソンやクイーン、イーグルスを愛し、冗談好きな貝澤は「僕、アイヌ語分からないんです」とあっけらかんと言う。アイヌが食べた「いなきび」の調理方法も、詳しくはよく分からない。貝澤にとって、「アイヌ」は、家族の歴史と生活の一部でありながら、その複雑な歴史の中で完全な形では伝えられてこなかった「自分の中に潜む他者」でもある。だからこそ貝澤は、この現代においてアイヌとは何なのかと問い続けている。

 北海道白老町で2020年春にオープンが予定されていた「ウポポイ(民族共生象徴空間)」のために依頼された大作、火の神「アペフチカムイ」の像は、貝澤にとって初の人物造形の挑戦。

「いつになったら“アイヌ木彫家”じゃなく、(ただの)“木彫家”って呼ばれるんだろう」と語る一人のアイヌ(=人間)、貝澤の迷いと格闘の日々を追う。

<木彫家/貝澤徹 プロフィール>
1958年、北海道平取町二風谷で三人兄弟の長男として生まれる。
高校を卒業後に家業の木彫りを始め、アイヌの伝統的技法を取り入れながら、木彫りによってアイヌ民族としての現代的意識や葛藤を表現。
代表作『アイデンティティ』シリーズや『ウコウク/輪唱』では伝統工芸にとどまらない表現にも挑戦し、
2018年フクロウの卵からの孵化を型取り、次世代への想いを託した『ケウトゥムカンナスイ/精神再び』が大英博物館に常設展示されるなど、今、国内外から大きな注目を浴びている。

©MBS

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