10月24日(土)放送の『世界ふしぎ発見!』(TBS系)で、20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライトの足跡をたどるミステリーハンターに名乗りを上げたモーリー・ロバートソンさん。ロケの感想や、見どころを伺いました。
◆ミステリーハンターに名乗りを上げたきっかけは何でしょう。
ライトさんの建築は、アメリカでは観光や修学旅行のお約束ルートに含まれているほどなじみ深いものです。大学時代、建築や芸術を学べる学部だったので、その授業や友人たちの話で知ってはいましたが、ライトさんについて詳しく調べるきっかけには至らなかったんです。今回、日本にあるライトさんの建築作品を見て回ることのほかに、日本と深い関わりを持っていたと聞き、ぜひと思って名乗り出ました。設計図だけ送って「あとはよろしく」で、帝国ホテルが建ったのではないかと甘く考えていたので、大きく覆されました。
◆実際にライトさんと深い関わりがある東京、愛知の犬山、神戸、宇都宮を回ったそうですが、いかがでしたか?
「映像で伝わるのか!?」というくらいすさまじさがありました。現代には3Dプリンターという、どんな型でも作れる機械がありますが、当時はそういったものがない中で、石工さんの高度な技術でライトさんの注文に応えていったんだなと。とても精密で細かい模様ばかりで、間近だからこそ感じ取れると思うんです。この番組をきっかけに、なるべく実物を見に行ってほしいと思います。謙虚な気持ちを抱かせてもらったと同時に、日本の建築様式を保存しなくてはいけないと危機感も感じました。このコロナ禍を乗り越えて生きていくためにも、日本の知恵や美意識をもっと大事にしていかなくてはいけないなと。
◆今行くべき場所だったと感じられたということですね。
これまで高層ビルなど密閉した環境で人間は自然から守られていましたが、今はその密閉という環境が感染拡大につながっている。これからはもっと自然と向き合って、オープンに生きていかなくてはいけない。自然を否定して、個々が自分の快適さを追及するという小さな幸せはもう成り立たないよというメッセージだと思います。
◆今後ライトさんの作品を見る心持ちが変わりそうですね。
そうですね。ライトさんという人がどういう人間だったのかを感じ取ることができたので、今後は違う気持ちで見られると思います。それと同時にライトさんが刺激を受けたという、10円玉に載っている平等院鳳凰堂にも興味が湧きました。
◆ライトさんの建築から、モーリーさんにも関わりの深い音楽性を感じられたとか。
旧帝国ホテルで見た大谷石を使った柱など、デザインが繰り返されているところを見て、音楽を作成するソフトの画面に似ているなと感じました。採石場では、人間の聞くことができる領域の中で大体おなかや腰で感じる40~80Hzの間の周波数の“ボコッ”と言う音を地底の岩から感じられて「うわー、キックドラムと同じだ!」と。低周波を感じて興奮してしまいました(笑)。
◆視聴者にぜひ行ってほしいというところはありますか?
愛知県にある明治村には行ってほしいですね。旧帝国ホテルの中央玄関が移築されていたり、“映える”スポットがたくさんあります。旧帝国ホテルはぜひスマホなしで体験してほしいかな。100年前の、あまり電気が通っていない状態とかを考えて追体験したほうが感動が深いと思うんです。そういう時代の人たちが石をノミだけで掘っていたというすごさを体感して、僕が学んだ謙虚さを感じてほしいです。不平等や理不尽なことも多かった時代に、それでも生命力を持って人が生きていたということは、時代を超えて尊敬できるところだと思います。
PROFILE
モーリー・ロバートソン
●1963年1月12日生まれ。アメリカ・ニューヨーク出身。コメンテーターや、DJ、ラジオパーソナリティ、ミュージシャンとして幅広く活躍中。
番組情報
『世界ふしぎ発見!』
TBS系
毎週土曜 後9・00~9・54
©TBS