2014年9月に公開された周防正行監督の最新作『舞妓はレディ』。そのBlu-ray&DVDが3月18日にリリースされることが決定。歌とダンスを兼ね備えた800人のオーディションの中から、主人公・春子役に抜擢された上白石萌音さんに、撮影のエピソードや映画の見どころについて聞きました。
友達の人数が増えました(笑)
――映画に対する周囲の評判や反響はいかがですか?
家族はもちろん、地元の友達や知り合いの方々などいろんな人に見ていただいて、「面白かった」とか、「舞妓さんの世界っていいね」「京都に行きたくなった」など、いろんなことを言ってもらえたし、何よりその反応がとてもうれしかったです。あと、学校の友達の人数が増えました(笑)。いろんな人に声かけてもらって。気の合う友達も見つけられてうれしかったです。
――劇中ではたくさん歌や踊りを披露していますが、かなり練習されたのですか?
練習はたくさんしました。もともと、歌や踊りはすごく好きなんです。でも今回、映画でいろんな人に見ていただくにあたって、今までみたいに“ただ楽しむ”だけでは駄目だと思ったんです。お稽古やボイストレーニング、ダンスのレッスンなど、半年間練習しました。一番楽しかった練習は「日本舞踊」です。今までバレエをやっていたんですが、バレエって上に上に引き上げる踊りなんですけど、日本舞踊は下に下に、地面を大事にずっと膝を曲げながらする踊りで、バレエと真逆なんです。膝を使う踊りなので次の日は筋肉痛になりました(笑)。何も知らないところからのスタートだったんですが、やっていくうちに動作の1つひとつに意味があることを知れたし、普段の所作にも生かせて本当によかったです。
――ミュージカル曲で一番好きな曲は?
この作品のメインテーマである「舞妓はレディ」です。もしかしたら100回以上歌ったんじゃないかってくらいずっと練習した曲なので、その分体にしみついているのでとても歌いやすかったです。あと、自然と口ずさんでしまうんですよ。「試写会から出てきた人とかもみんな歌ってたよ!」っていう声も聞いて(笑)。すごくうれしかったですね。
監督が作り出した言葉って本当に温かいんです
――1番好きなのはどのシーンですか?
春子のお母さん(富司純子演じる女将)が春子の部屋に来て、昔の思い出話をするシーンがすごく好きです。撮影中も心が温かくなって勇気づけられたし、なによりお母さん役の富司さんが語るその姿がとてもすてきで、この場にいられて本当に幸せだな、私もこんなお芝居がしたいって思いました。そのくらい本当にすてきなシーンですね。
――苦労したシーンはありますか?
春子が泣くシーンです。映画の撮影って何回も同じことを繰り返さなきゃいけないっていうのがあるんですけど、私はこのシーンを1回しかできなかったんです。本当に悔しかったし、あらためてお芝居って難しいなと痛感しました。これが私の“壁”なんだなって思いましたね。次、周防監督にお会いする時までに、成長していたいです。
――最も印象に残ったせりふは?
女将さんが思い出話をするシーンです。おかみさんが春子に、「もうこの商売も終わりかなって思ったときにあんた来たんえ」と、言うせりふに、春子のことを認めているっていう、やさしさに包みこまれている感じがして、泣きそうになったのを覚えています。
あとは、先生(長谷川博己演じる言語学者の京野)が京ことばのレッスン中、「ちゃんと自信をもってしゃべらなあきまへん」って勇気づけてくれるセリフです。演技で京ことばを言うときの心の支えになりました。周防監督が作り出した言葉って本当に温かいんです。私にとっても支えてくれる言葉がたくさんあるので、名言集みたいなのが出たら買いたいくらい(笑)。撮影を振り返った時や、普段の生活の中でもその言葉を思い出したりして、そのたびに頑張ろうって思います。
舞妓さんは“夢の世界”に連れて行ってくれるんです
――舞妓を演じてみての感想は?
舞妓さんは、私と同世代の方が多いんですが、同じ歳に、あの厳しい世界に飛び込んで、大人相手に所作やおもてなしを披露していて…そういう毎日ってとても大変だと思うんですけど、その大変さを顔に一切出さず、笑顔でこなしているのを見て、本当にすごいなと思いました。春子のように、普段の厳しいお稽古とかでたくさん叱られたりするかもしれないんですけど、一緒にいるときは全然相手にそんなことを感じさせず、逆に楽しませてくれて。これこそがおもてなしのプロなんだなと思いました。
たくさんお話を聞いてくうちに、仲良くなった舞妓さんがいるんですが、私と歳が一つしか変わらないのにすごく大人びていて、すてきな方なんです。でも、どこか同じ同世代の女の子と同じ面も持っていて。そういう方たちがプロの世界で活躍している姿を見ると、私自身、とても励みになりますし、“ああいう女性になりたい”って憧れますね。
――上白石さんが思う舞妓の魅力は?
いろんなことを知っているから会話が尽きませんし、相手の話を聞くのも上手だから一緒にいると、いろんな悩んでいることがなくなってしまうくらい…!私も舞妓さんと一緒に話していると自然とたくさん喋ったりしています。舞妓さんって遠い存在だと今まで思ってたんですが、嘘のように親しみやすくって。私みたいな同世代はもちろん、大人の人も楽しませることができる、なんていうか、夢の世界に連れて行ってくれるんです。同じ女性としてお仕事に真摯に向き合う姿にもすごいなと思います。
“新しい発見”をノートに書き留めていました
――春子を演じる時に気を付けたところや、心掛けたところはありますか?
春子が舞妓さんとして成長していくんですが、春子の素朴さも忘れちゃいけないと思うので、そこに気をつけて演じました。あとは周防監督に、「新しい驚きを忘れないで」って言われたので、新しい発見があったら、そのときの驚きを忘れないようノートに書き留めていました。1冊分は書きましたね。今でも見返したりしています。宝物です!
――よかったら、ノートに書かれた新しい発見を一部分だけ教えてください。
そうですね、一番驚いた発見は、舞妓さんの「髪型」についてです。舞妓さんの髪型って毎日結うわけにもいかないので、一週間に1回しかほどかないんですよ。当然、お風呂に入る時も体しか洗えないですし、寝る時も固い枕で寝ないといけなくて。あとは、出張行くときもあの髪型のままで新幹線や飛行機に乗るんです。それを初めて聞いた時は「ええ!?」ってびっくりしました(笑)。絶対、私には耐えられないって思いましたね。
映画館では気付けなかった新しい発見があると思います
――最後に映画の見どころを教えてください。
とにかく歌って踊る華やかで楽しい作品です。京都を旅行しているような気分で楽しんでいただけたらなと思います。DVDになることで、映画館では気付けなかった新しい発見とかもたくさんあると思いますし、周防監督の細かいこだわりとかまで注意して見ていただきたいです。特典映像もたくさん付いていますので(「スペシャル・エディションに収録)、この作品をまた違った見方で見ることができるんじゃないかなと思います。家族みんなで映画館に行くことはなかなか難しいかもしれませんが、DVDになったことで家族みんなで集まって見てもらえたらうれしいです!
PROFILE
上白石萌音
●かみしらいし・もね…1998年1月27日生まれ。鹿児島県出身。
2011年 、第7回「東宝シンデレラ」でオーディション審査員特別賞を受賞。『舞妓はレディ』では800人のオーディションの中から主役に抜擢され、その瑞々しい演技で注目を集めた。昨年末には「みえない雲」で舞台初主演を果たすなど活躍の幅を広げている。
Blu-ray&DVD情報
「舞妓はレディ」Blu-ray&DVD
2015年3月18日(水)発売
3月4日(水)レンタル開始
スペシャル・エディション(Blu-ray 2枚組)
¥6,700+税
■映像特典
・メイキング「舞妓はレディができるまで。」【完全版】
・劇場未公開ミュージカル・シーン
きついっしょ(歌:上白石萌音/松井珠理奈/武藤十夢)
うちはかいらしい舞妓どす(歌:渡辺えり)
・初日舞台挨拶
・特別番組「はんなり京都旅~上白石萌音が訪ねる 舞妓おもてなしの世界~」
・4K番組「世界の名匠を訪ねて 周防正行監督」
・美術監督 磯田典宏の「下八軒」全部見せます!
・劇場特報・劇場予告篇・TVスポット
■封入特典
ブックレット
スタンダード・エディション(DVD 1枚組)
¥3,800+税
映像特典
・劇場特報・劇場予告篇・TVスポット
※仕様等は変更になる場合があります。
発売元:フジテレビジョン
販売元:東宝
■スタッフ&キャスト
上白石萌音 長谷川博己 富司純子
田畑智子 草刈民代 渡辺えり 竹中直人/高嶋政宏 濱田岳
中村久美 岩本多代 高橋長英 草村礼子/岸部一徳
小日向文世 妻夫木聡/松井珠理奈(SKE48) 武藤十夢(AKB48) 大原櫻子
徳井優 田口浩正 彦摩呂/津川雅彦
監督・脚本:周防正行
公式サイト(http://www.maiko-lady.jp/)
(C)フジテレビジョン 東宝 関西テレビ放送 電通 京都新聞 KBS京都 アルタミラピクチャーズ
●取材/松岡美代子