現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合ほか)で、渋沢栄一(吉沢亮)の従兄・尾高長七郎役を演じる満島真之介さん。長身で堂々たる体躯を持つ長七郎は、神道無念流の剣豪として名をとどろかせるようになり、栄一にとって憧れの存在に。やがて兄の惇忠(田辺誠一)に代わって江戸や京へ遊学に行き、世情を栄一や喜作(高良健吾)に伝えていく。
なにより、5月2日(日)放送の第12回でも描かれるよう、栄一らのある計画を命懸けで阻止し、彼らの命を救ったとても重要な人物だ。吉沢さんと偶然会った際に「涙が出そうだった」というエピソードからも、その絆の深さが伺えるだろう。
満島真之介インタビュー
◆長七郎は、栄一や喜作たちにとっての兄貴的存在ですが、これまで演じてきた印象はいかがでしょうか?
栄一と喜作、平九郎、惇忠兄達と長い時間を共にしてきたことで愛情も深まり、顔を合わせると嬉しくて心穏やかになるような方々とご一緒させていただいていることへの感謝で溢れています。
ですが今、撮影が進んでいくにつれて、ちょっとずつ皆さんと会えなくなっているんです。長七郎は攘夷志士になりますが、栄一と喜作はこれから一橋家に仕えることになります。生きる道が分かれ、お互い環境が大きく変わっていく中で、実際に撮影現場で会えない時間が長くなり、「彼らはこんなにも離れていたんだな」と実感しているところです。これも長い期間撮影を行う大河ドラマでしか味わうことのできない感情でしょうね。
先日、僕が別番組の収録でNHKに行ったとき、武士の姿をした吉沢(亮)くんに偶然会ったのですが、それがもう美しくて、凛々しくて、涙が出そうでした(いや、ちょっと出てました。笑)。
久しぶりに会えた喜びと、役と本人が時間をかけて重なり合い生きているということを心から感じられた瞬間でした。「長七郎と栄一はもう全然違うところで生きている」と肌で実感できたことが、これからの撮影の力になると思います。
離れていても心の奥底でお互いのことを信頼し、想い合って演じているからこそ、物語に深みと奥行きを与えてくれるのではないでしょうか。
◆江戸に行ったことで大きく変わった長七郎について教えて下さい。
長七郎は江戸に武者修行に行ったことで顔つきも佇まいも大きく変わりました。全国あらゆるところから思誠塾に集まった志士たちと剣を交え、語り合い、寝食を共にすることで、心身共に大きな刺激を受け、変化していったのだと思います。
現代で例えると、田舎から東京の大学に行った同級生が夏休みに帰省した時に、何に影響されたのかすごく変わってしまったみたいな…(笑)。そういう経験は遠からずみなさまにもあるはずです。しかしそうは言っても当時は、今とは比べものにならないほど江戸の影響力は凄まじかったと思います。
これまで約半年間にわたって長七郎を演じていますが、ずっと出ずっぱりの役ではないので、描かれていない部分もたくさんあります。「長七郎は何を感じ、何をどう考えて行動したのか」そういう空白の部分を、少ないシーンの中で埋めていけるように視野を広く持ち、凛々しくも心優しい長七郎にするための身体や心づくりを日々怠らずやることに集中しています。
そして、5月2日(日)放送の第12回では、栄一たちの“横濱焼き討ち”“高崎城乗っ取り”計画を長七郎が命懸けで阻止するシーンが描かれます。これは史実として渋沢栄一さんご自身の年表にも必ず入っている、とても重要な出来事であります。
栄一と“命のやり取り”をするのはここだ! と、撮影に入る前から非常に楽しみにしていました。長七郎は結婚もしていなければ写真も残っていなかったりと、歴史上ほぼ知られていないような謎の多い人物ではありますが、この計画実行を彼が止めたからこそ、みなが生き残り、そしてその命が現代の日本に繋がっているんです。
役をいただいた当初からこの場面は非常に意識していましたし、そこに至るまでに栄一や喜作、惇忠兄との関係性をどれだけ深めていけるかが大きな課題でした。命を懸けて仲間と向き合うその姿は、尾高長七郎自身の魂が時を超えて、未来に向かう私たちに向けたメッセージでもあるはずです。
この作品は単なる歴史ドラマではなく、今を生きる我々にとって大いなる勇気を与えてくれる貴重な作品だと思います。視聴者の方々に彼らの想いが届くことを切に願っています。
番組情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合ほか
毎週日曜日 後8・00〜8・45ほか
WEB
番組HP:https://www.nhk.or.jp/seiten/
番組Twitter:https://twitter.com/nhk_seiten
番組Instagram:https://www.instagram.com/nhk_seiten/
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