テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第21回は映画「ひらいて」に出演する山田杏奈さんが登場です!
「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」山田杏奈
◆映画「ひらいて」で演じた愛は、非常に難しい役どころだったと思いますが、演じていて悩むことはなかったですか?
“好きな人を振り向かせたい、自分のものにしたい”という感情は誰もが持っているものだと思うんですが、愛自身が100%理屈で“私はこういう気持ちだからこうしてます”と行動しているかと言われるとそうじゃないのかなと思っていて。正直撮影を終えた今でも正解が分からないですし、演じる中でずっと悩んでいた部分でもありました。小さい目みたいなところを突き進んでどんどん形にしていく愛の行動力は私にはない部分だったのですが、どこか自分と似ている部分がないかを模索して。どんな些細な内容でも通ずるところを見つけたら、それをもとに自分の中で膨らませながら演じていきましたね。
◆役作りに関して特に意識していたことはありましたか?
瞬きを減らして目力を力強くするように心掛けたり、目線をキョロキョロと動かさないようにしていました。あと、周りへの配慮をしないのが愛らしいなと感じた部分でもあったので、歩き方や動きも意識していましたね。例えば椅子を動かす時も、あえてバーンと物音を立ててみたり。普段の自分とは真逆の行動なので、役を通して思いきりやれて楽しかったです(笑)。
◆本作の公開が決まった当初「私は彼女が嫌いですが、彼女を愛さずにはいられませんでした」とコメントされていました。愛のどのあたりが嫌いで、なぜ愛さずにいられなかったのでしょうか?
正直、愛を演じていた時は彼女のことが一番嫌いでした。何と言うか近くにいてほしくないし、友達にはなれない存在だなって(笑)。でも試写で初めて客観的に見た時に「こういう部分って自分にもあるな」ってやっと思えたところもあって。コメントを出した時は、まだ全てがつながった完成形の状態を見れていなかったので、あらためて気付かされることがたくさんありました。愛のやり方は人として正しいとは言えませんが、逆に言えば、普段私が猫を被っているだけなのかもしれないなとか。そう思うと、彼女には彼女の生き方があるし、正直なところはすごくすてきで、愛さずにはいられないなと思いましたね。
◆劇中では愛をとりまく環境はとても歪でした。現場はどのような雰囲気だったのでしょうか?
私はひたすら愛との戦いの日々でしたし、劇中での間柄は一言では言い表せないぐらい複雑な関係性だったんですけど、撮影の合間は終始和やかでした。みんなが同世代だったこともあり、普通に世間話をしたりして。みんなそれぞれ自分のペースがあって、まったりとした人たちだったので、とてもいい距離感で撮影に臨むことができました。個人的にうれしかったのは、美雪役の芋生(悠)ちゃんの撮影が先に終わったときに、「残り頑張ってね。美雪」みたいな感じで私が座っていたところにお手紙を置いてくれたこと。それを見つけた時に本当の美雪みたいでかわいいなって思いました。
◆では本作のキャッチコピー「入り込めない なら、奪えばいい」にちなんで、山田さんが奪いたいほど好きなものはありますか?
う~ん……なんだろう? 例えば、撮影現場にお弁当が2種類あったとして、自分の好きなエビチリやお肉系のおかず入っているお弁当が残り2個で、もう1種類が魚系で残り5個だったとしたら、迷わず残り2個のほうを取っちゃいます(笑)。お肉でも揚げ物だったら魚を食べるようにしたり、選ぶ時の細かい判断基準はあるんですけど、数が限られていてもできるだけ好きな物を食べたいなって(笑)。でももし、エビチリ系が残り1つだったら絶対にとらないです。小心者なので…(笑)。
◆カロリーを意識して選んだりは?
もちろんまったく気にしないわけではないんですけど、仕事を頑張っている日のお昼ごはんに好きなものが出たら、それぐらい食べてもいいかなっていう甘さはとっておきたいなと(笑)。食べることが好きなので、食べた分頑張ろうという方向に持っていくようにしていますね。
◆最近では数々のドラマ、映画に立て続けに出演されていますが、ご自身の中でのターニングポイントとなった作品をあげるとしたら?
映画「ミスミソウ」です。16歳ぐらいの時に初めて映画の主演をさせていただいたんですが、オーディションで選んでいただけたことがすごく自信になりましたし、映画を見た方に「雰囲気がある」「存在感がある」などと言っていただけたことがすごくうれしくて。正直、この作品と出会えなかったら、今回の「ひらいて」や今のお仕事につながってなかったのかもしれないと思うほど、自分の中でもすごく大事な作品です。
◆本作でまた新たな山田さんの魅力が開花されたように思いますが、ご自身ではどんな一面が見られる作品になったと思いますか?
これまで人を殺してしまうようなサスペンス要素の強い作品には出させていただいていたんですが、そうじゃない部分での暴力的な感じは今までやったことがなかったですし、初めてお見せする姿だと思います。体当たりでぶつかるシーンも多く、いろいろと驚かれると思いますが、きれいごとだけではなく、モヤモヤした感情やドロドロした部分も含め、すごく人間らしい一面が見られる作品に仕上がりました。人間の深層心理が浮彫になっていて、私自身も「実はこんな一面があったのかも?」と気づかされた作品だったので、ぜひたくさんの人に見ていただいて、何かを感じていただけたらうれしいです。
PROFILE
●やまだ・あんな…2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。A型。近年の出演作に映画「樹海村」(W主演)、「名も無き世界のエンドロール」など。映画「彼女が好きなものは」が12/3(金)公開予定。
映画情報
「ひらいて」
現在公開中
原作:綿矢りさ
監督、脚本、編集:首藤凛
出演:山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、芋生悠、山本浩司、河井青葉、木下あかり、板谷由夏、田中美佐子、萩原聖人
<STORY>
高校三年生の愛(山田)は同じクラスのたとえ(作間)に片思いをしていた。どこか謎めいた影を持つたとえの魅力は自分だけが知っていると思っていた愛だったが、ある日たとえが誰かからの手紙を大事そうに読む姿を目撃したことで事態は一変。手紙の差出人が糖尿病の持病を抱える地味な少女・美雪(芋生)であり、二人が付き合っていることを知った愛は、美雪に近づき思わぬ形で感情を爆発させる。
©綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会
●photo/中村 功 text/星野彩乃 hair&make/菅長ふみ(Lila Management) styling/中井彩乃