渡辺大知&工藤遥が語る『ロマンス暴風域』実写ドラマ化で大切にしたいもの

特集・インタビュー
2022年07月01日
『ロマンス暴風域』
『ロマンス暴風域』©「ロマンス暴風域」 製作委員会・MBS

7月5日(火)からスタートする『ロマンス暴風域』(MBS/TBS ドラマイズム枠)に出演する渡辺大知さんと工藤遥さんにインタビュー。作品に対する思いや、それぞれの役について聞きました。

本作は、アラサー男性と風俗嬢の運命の恋とその後を描いた鳥飼茜の同名漫画をドラマ化。私立高校で非正規美術講師として働き、非モテの人生を歩む自分にコンプレックスを抱えながら生きていた主人公・佐藤民生役を渡辺大知、民夫がふと入った風俗店で出会い、ひと目で恋に落ちる女性・せりか役を工藤遥が演じる。そのほか、風俗嬢・なっちゃん役で小野花梨、民生の友人・芝内理加役で内田理央が出演する。

◆ご自身が演じられている役柄について教えてください。

渡辺:僕は、孤独を抱えながら日々生活していく中で、自分にとっての運命の相手を心のどこかで常に探しているような佐藤民生を演じています。

工藤:私は、田舎から東京に出てきて、風俗店で働いているせりかを演じています。とらえどころのない性格をしている女の子ですが、うそのない子で、本能的に生きているところが魅力的だと思っています。

◆お二人は今回が初共演ですが、お互いの印象はいかがですか?

渡辺:工藤さんはたくましい方だなと思います。緊張感のあるシーンが多い中、最後まで役のことを考えながら、一つ一つ丁寧にやられている印象です。

工藤:私は、頼もしい方だなと思いながら最初からずっと現場にいます。今回私自身、初めてのことが多くて。迷いもある中で、いろいろな提案を頂いたり、お芝居に関して助けていただいたりもしているので、すごく頼りにさせていただいています。

◆最近は恋愛しづらい世の中だと言われていますが、その中で今回の作品にどのような印象を受けましたか?

渡辺:僕は、生涯結婚しないという選択も間違っていないと思うし、全然悪いことでもないと思っています。ただ、人は1人でも物理的に生きていくことはできるかもしれないけど、やっぱりそれでは果たせない気持ち、得られない感情があると思っています。誰かに支えられたり、誰かの支えになることで自分を保てる、生きる原動力になる部分も大きいと思うので。そんな中、人と共存していく上でみんなは何を得られるのか、何を求めているのか…ということを考えさせてくれる作品だと思います。恋愛をすること自体がゴールではなくて、1人で生きていくだけでは得られない何かを追い求めていくことが重要。そのために恋愛が必要なのかな、と思わせてくれました。

工藤:最初に台本を読んだ時の印象は、常に誰かを求めている人たちのお話だな、ということでした。自分の役を踏まえた上で読んでいくと、すごく苦しくなるというか…。あまり詳しくは言えませんが(笑)。せりかはいろいろなことを抱えた登場人物ではありますが、同じように寂しくて、パズルのピースのようにぴったりはまる誰かを求めて生きている女の子なんだなと思いながら台本を読ませていただきました。民生がかわいそうでした(笑)。

渡辺:この作品では男性はほとんど民生しか出てこなくて。主人公を取り囲む女性たち、という構造ではあるけど、みんなそれぞれに不安や求めたい何かがあって、そこでもがいている人々が映し出されていると思います。主人公はいるけど、群像劇のような、みんなそれぞれストーリーがある台本だなと思います。

『ロマンス暴風域』
『ロマンス暴風域』©「ロマンス暴風域」 製作委員会・MBS

◆工藤さんは風俗嬢の役で、挑戦だとコメントされていましたが、どのような思いで挑まれていますか?

工藤:そのあたりを避けて通る必要はないと思っていましたし、遅かれ早かれきっとタイミングが来る、というのは役者になりたいと思った時からずっと考えていて、それが今だったんだなと思いました。私以外のキャストの皆さん、監督、チームの皆さんとご一緒したいなという気持ちが先行して、センシティブなシーンがあるとか、風俗嬢だとか、そういうことは後から思ったことでした。そこに対するためらいはなかったですね。

◆この作品をきっかけに、女優として一歩先に進みたい、みたいな思いはありますか?

工藤:そうですね。やっぱりどうしても経歴上いろいろな先入観や今までのイメージが先行しがちではあったので、こういう機会が頂けたことは本当にありがたいことだと思います。さらに一皮むけるために、頑張りたいなと思って参加させていただきました。

◆渡辺さんは本作の主演ですが、主演として意識していることや、現場での振る舞いなどはいかがですか?

渡辺:主演っていうのはあんまり考えたことがなかったですね…。この作品をより良くしよう、自分に与えていただいた役を全うしよう、ということをいつも思っています。単独では連続ドラマで初めて主演をやらせていただくのですが、台本を見ていると全部のシーンに出てるな…と思います(笑)。

工藤:スケジュールを見ていても、ずっといるから本当にすごいなと思って(笑)。

渡辺:光栄なことですね。現場の全てを知れる、ということはすごく貴重な経験をさせてもらえているなと思います。連続ドラマで長く撮っていくものに対して、現場の移り変わり、いろいろなドラマを目撃できているのは貴重です。

◆工藤さんから見た座長ぶりはいかがですか?

工藤:私は助けてもらってばかりなので…。

渡辺:いやいや、それはお互いです。

工藤:渡辺さんで良かったなと思う場面がいっぱいあります。

渡辺:他の人のほうが良かったなって思われてないかなって…。

工藤:思わないです(笑)。思わないですし、本当に渡辺さんで良かったなって思っていて。お芝居の面でもそうですけど、普段いろいろお話させていただく中でも、すごく居心地がいいというか。撮影でも2人の時間が長いですけど、ご一緒できてうれしいです。

渡辺:ありがとうございます。

『ロマンス暴風域』
『ロマンス暴風域』©「ロマンス暴風域」 製作委員会・MBS

◆それぞれの役とご自身が似ていると思う部分はありますか?

渡辺:僕は、台本を読むときに自分とどう違うかを考えて読んでいて。僕が大事にしたいのは、語尾や細かいところも含めて、自分と違う言い方をするのはなぜか、どういう気持ちがそこに込められているか、ということで。なんでこういう言い方じゃなくてこういうふうに言っているんだろう、というのを考えているので、似ている部分っていうのはあんまりないというか…(笑)。共感はできないけど理解はできる、という部分はあります。

工藤:私はせりかに対して、気持ちは分かる、という部分があって。隣に誰かがいても、その人では埋まらないところを他に求める感じというか…。1人の人で全てが埋まるわけではなくて、その人たち1人ひとりがパズルのピースのような感じというか。自分がそうしたいとは思わないけど、分からなくはないなと思いますね。

◆原作がある作品を演じる上で、どういうふうに意識して演じられていますか?

渡辺:今回の作品の場合は漫画が原作ですけど、ここはうつむき加減で…とか、全てのコマにかなり細かく意味があって描かれていると思います。僕は、それを全てコピーすることが正しいとは思っていなくて、作者の方がどういう思いでこのコマを描いたのか、このコマがどういう役割だったのか、その気持ちをなるべくすくい取りたいというか。ここは大事なシーンだと思っている部分などに対するリスペクトは最大限込めて。何を描きたくてこのシーンを作ったか、を考えることを大事にしています。その上で演じ方が変わるかもしれませんが、作者の方へのリスペクトは残した上で演じたいなと思っています。

工藤:原作がある作品だと姿かたちが描かれているので、そのイメージがあって、似ている・似ていないと判断されがちではあると思います。でも、監督も含めて、原作をコピーすることだけを目標にしているわけでもなく、忠実にするわけでもなく、原作のイメージを人間がやる、という上手な擦り合わせで撮影をしています。最初から監督にもそれを言っていただいていたので、そのつもりで原作を再度読み直したりしていました。私は、せりかの圧倒的な儚さをすごく大事にしたいなと思っていて、その雰囲気だけはなくさないように演じています。

PROFILE

渡辺大知
●わたなべ・だいち…1990年8月8日生まれ。兵庫県出身。O型。

工藤遥
●くどう・はるか…1999年10月27日生まれ。埼玉県出身。A型。

番組情報

ドラマイズム『ロマンス暴風域』
MBS:毎週火曜 深夜0時59分~(※初回は深夜1時19分~)
TBS:毎週火曜 深夜1時28分~(※初回は深夜1時50分~)

TBS放送後、TVer、GYAO!、MBS動画イズムにて見逃し配信1週間あり

この記事の写真

©「ロマンス暴風域」製作委員会・MBS

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