現在放送中の土曜ドラマ『空白を満たしなさい』(NHK総合 毎週土曜 午後10時〜10時49分)で、佐伯役を務める阿部サダヲさん。
「あなたは亡くなったんです、3年前に」。ある日突然、身に覚えのない己の死から復活した男・土屋徹生(柄本佑)。会社の屋上から転落したというが、全く思い出せない。最愛の妻・千佳(鈴木杏)と幼い息子を残して、なぜ自分は死なねばならなかったのか。答えを追い求める男がたどりつく真実とは…。
原作は、近年映像化が相次ぐ芥川賞作家・平野啓一郎が東日本大震災直後に発表した同名作。生きるとは何か、幸せとは何か。今を生きる全ての人々に本格派のヒューマン・サスペンスを届けていく。
設定こそSFでありながら、実力派キャストのリアルな演技の応酬で「いっときも目が離せない」「先が全く読めない」と話題になっている本作。中でも謎の鍵を握る不気味な男・佐伯を演じる阿部さんの怪演が大きな評判を呼んでいる。
本作で演じる佐伯について「ものすごくいろんなことを考えている人で、実は優秀で才能もあると思うんです」と語る阿部さん。撮影で印象的だったことや、本作の見どころについて語ってくださいました。
阿部サダヲ コメント
◆今回演じた「佐伯」にどんな印象を持ちましたか。
怖いですよね…。こういう役はなかなかやったことがなかったので、演じていて面白いです。たぶん佐伯は寝ていない人だと思います。ものすごくいろんなことを考えている人で、実は優秀で才能もあると思うんです。すごく徹生のことを調べ上げていますからね。たぶん千佳さんのことも少し調べているはずです。できる人だと思いますが、世間的にはうまくいってないっていう、その悲しさがこういう風体になっているのだと思います。それにいろんなところに忍び込んでいく。ここにもいる、ここにもいるってね。どうやって忍び込んだのだろうって思わせるようなことがありますからね。不思議ですよね。
◆佐伯を演じる上で、意識したことはありますか。
来てほしくないな、現れてほしくないなっていう人物でいたい気がしています。“この人が出てくると面倒だぞ”という感じの人でありたいですね。最初は、何か特徴付けとか、こういう風貌なので息苦しくしたいとか、考えていましたが、必要ないと思えてきて。普通でいたほうがいいと思い、演じていました。
◆撮影で印象に残っていることを教えてください。
毎回セリフが長いっていうのは面白いですよね。1話の車の中のシーンは佐伯にとって肝だったので、やっていてすごくおもしろかったですね。(柄本)佑くんとも長いシーンを共演することが今までなかったから、うれしかったです。嫌なことを言うシーンだと、2話のファミレスで千佳に徹生のことを話すシーンがあったのですが、その時に千佳が連れていた赤ちゃんの璃久くんの芝居がよかったです。なんだって顔して僕のことをにらんだのですが、すごくいい顔をしているので、見ていただきたいです。何かを感じるんですかね。この人、敵だって。
◆ドラマの見どころをお願いします。
徹生がなぜ生き返ったのか、なぜ死んだのか、佐伯はいったい何者なのか、そういうところをいろいろ考えながら見ていただくと面白いと思います。毎週たぶん後半のほうに佐伯が現れるのですが、どうなるのだろう。佐伯が出てきて、次どうなるのだろう、と思えることが起きてくるので、楽しいと思います。ドラマも後半になってくると、千佳という人がどういう生い立ちだったのかがどんどん出てくるのも面白いです。僕も見ていて、あらっ、どうなってしまうのだろうと思いました。3話(7月16日放送予定)で佐伯という人が分かってくるので、そこまでどうなるか我慢していただいて。最初は嫌な感じかもしれませんけどね。佐伯は悲しみでどんどん大きくなっていきますからね。お腹もお尻も。結構細かいところなのですが。
番組情報
土曜ドラマ『空白を満たしなさい』
NHK総合
毎週土曜 午後10時〜10時49分(全5話)
©NHK