敵対する者を一瞬で殲滅できるほどの力を持つ伝説の魔法使いダーク・シュナイダーと、キュートかつセクシーなヒロインたち、そして圧巻のバトルを描いた『BASTARD!! ―暗黒の破壊神―』。Netflixで初のシリーズアニメとして配信されている本作で、主人公のダーク・シュナイダーを演じる谷山紀章さんにインタビュー。自信満々で傍若無人ながら、ヨーコには子どものように叱られてあわてるなどかわいい姿も見せるダーク・シュナイダーをどう演じているのか、その思いを語ってもらった。
◆『BASTARD!! ―暗黒の破壊神―』は、原作が1988年にスタートした作品です。谷山さんも原作を読まれていたそうですが、作品にはどんな印象がありますか?
ものすごいエネルギーを放っている作品ですよね。作者の萩原先生がすべてをぶつけて描かれたような作品だなと。ダーク・シュナイダーという役に決まったときから、どうしてもダーク・シュナイダーを中心に読んでしまうんですが、彼の一挙手一投足や、呪文で敵を蹴散らす無慈悲なところに痛快さを感じますね。
◆ダーク・シュナイダーの魅力は?
封印から復活した伝説の魔法使いという存在ですが、ルーシェ・レンレンというとてもかわいらしい男の子を介しているせいか、かわいげが出ている気がするんです。残虐非道な行いもするけれど、本当の悪人ではないと感じさせてくれる。ルーシェの存在が免罪符になっているような気もしていて、そこが魅力じゃないですかね。
◆ダーク・シュナイダーに声をあてる際は、どんなことにこだわっていますか?
ストッパーを作らないことですね。原作を読んでいると、ダーク・シュナイダーって萩原先生の衝動の権化だってわかる。だからこそ、自分の中にある表現の振り幅を、上から下までマックスに使わないと表現できない。自分的にはやりすぎかなと思っても、ダーク・シュナイダーに関してはやりすぎになることがないんです。ちょっと大げさに聞こえるかもしれないけれど、全身全霊、表現者としての表現力のすべてでダーク・シュナイダーと戦うという感覚に近いかな。
◆ヨーコと関わっているときは、焦ったり戸惑ったり、かわいらしい面も見えますよね。
そこは僕もかわいく優しく聞こえるように努めています。演技的な緩急に関しては、原作を教科書代わりにさせていただいていて、“このせりふのときはこういう表情で、こんな口の開け方なんだ”と、喜怒哀楽の参考にしています。
◆ダーク・シュナイダーといえば、自画自賛をしたり高笑いをしたりするところも印象的です。
振り切っているから、演じていて気持ちいいですよ(笑)。普段からダーク・シュナイダーのような考え方で生きている人もいるかもしれないけど、あそこまで自分を褒めるってなかなかできないじゃないですか。僕としてはダーク・シュナイダーの発言は娯楽表現の極致だと思っていますが、自分の憂さを思いっきり発散している感覚もあります。