『永久少年Eternal Boys』平川大輔インタビュー「アイドルを目指して頑張るおっさんたちってカッコいい」

特集・インタビュー
2022年10月10日
『永久少年Eternal Boys』
主人公・真田健太郎(声:平川大輔)©満プロ/永久少年プロジェクト

人生の崖っぷちに立たされた6人のおっさんが、年齢や体力の壁を乗り越え、アイドルを目指すオリジナルテレビアニメ『永久少年 Eternal Boys』(フジテレビほか 毎週(月)深夜2時20分)が、10月10日(月)から放送スタートする。本作で、元サラリーマンの主人公・真田健太郎の声を担当する平川大輔さんに、この作品や役柄の魅力について聞きました。

◆最初に本作のストーリーについて聞いたとき、率直にどう思われましたか?

最初に企画内容を拝見したのは、オーディションの資料を頂いたときでした。資料に“おっさんアイドル”と書いてあったので、最初は単純に「どういうこと?」と思いました(笑)。アラフォーのおっさんたちが紆余曲折を経てアイドルを目指すことになるお話だと分かり、これは面白くなりそうだと。何とかオーディションに受かりたいと思いました。

◆“おっさんアイドル”というワードは、興味を引かれますよね。

若いころからアイドルで、アラフォーになっても現役の方はたくさんいらっしゃいますよね。でも、この作品のキャラクターたちはアラフォーからアイドルとしてスタートするので、なかなか無謀なチャレンジだなと最初は思いました。もし僕が「あなた、今日からアイドルをやりなさい」と言われたら「いやいや、無理無理無理!」ってなりますよ(笑)。でも、収録が進むに連れて、アイドルを目指して前向きに頑張るおっさんたちってカッコいいなと思うようになりました。自分の年齢からしても、「いつからでも、新しいことにチャレンジできる」という作品のコンセプトにも共感できます。

◆真田のキャラクターについては、監督とどんなお話をされました?

最初に真田について説明していただいたとき、濃いキャラクターだらけの中で「一番普通の人です」と言われました。そして、とにかく真面目なので、やると決めたらそれに向かってちゃんと頑張る人です、と。実際、「アイドルになるんだ」と決めてからの真田は、真面目にアイドルに向き合うようになります。そこからはお芝居も意識的に変えています。

◆演じる上で特に意識されている部分は?

真田はとても真面目な人なので、そこはお芝居をしていく上でも守っていきたいと思った部分でした。真田は17年間同じ会社で働き続け、係長にまで昇進した。会社のために働いて働いて、ここまで来たという自負もあったと思います。でも働いていた会社が倒産して、就職活動を続けてもなかなか受からない。不採用が続くうちに、どうにかしなきゃいけないけど、どうにもならないという諦めみたいなものが出てきたんだろうなというイメージがあり、それをどう表現したらいいだろうと思って、ディレクターさんに相談したんです。そしたら「しゃべり始めを力のない感じでやってみませんか」と言われました。それで思ったんです。真田が面接に受からないのは、きっと覇気がないんだと。真面目すぎるが故に、ガチガチに準備して、面接ではツラツラ語るだけ。そうしているうちにだんだん後ろ向きになり、言葉に覇気がなくなったのかもしれないと思いました。なので、特に1、2話は言葉に力がない感じを意識して収録に臨みました。

『永久少年Eternal Boys』
©満プロ/永久少年プロジェクト

◆6人のおっさんアイドルの関係性については、どう感じていますか?

サラリーマン生活で一般的な社会経験を積んできたのは、真田と満福芸能プロダンクションのマネージャーでもある山中大輔くらいなんですよね。それ以外は元教師(石田直樹)や元プロサッカー選手(浅井悠)、元人気子役(今川剛)、元ホスト(柿崎誠)もいて。6人全員が全く違う人生を歩んできているんです。これが若い人同士ならぶつかって反発して、殴り合って、「おまえもやるな!」なんて熱いエピソードがあって仲良くなっていくのかもしれませんけど(笑)。でもみんなおっさんなので、そんな体力も気力もない。小さないざこざがあったり、おおざっぱな人とキッチリした人が同じ部屋になってもめたりはしますけど、意外とみんながちょっとずつ気を使いながら集団生活もできるのかもしれないなと思いました(笑)。

◆平川さんの“推しメン”は?

僕の推しメンは、柿崎さんです。これは、演じていらっしゃる(佐々木)望さんのお芝居もあってこそだと思うのですが、柿崎さんってミステリアスなのに包容力があるんです。ミステリアスと包容力って相反するようですけど、それが見事に共存していて。特に最初のころの柿崎さんは、思わせぶりなひと言が多くてすごくミステリアスなんです。なのに、隣に来たときにふと言われるひと言や、柿崎が周りを見ているときの雰囲気、真田と飲みに行ったときに発する言葉にはすごく包容力がある。いわゆる飲みニケーションでの距離の詰め方や、話す内容、空気感が心地いいんです。僕自身が望さんが演じる柿崎にいいように転がされてます(笑)。

◆キャストは、オーディションで選ばれたそうですね。平川さんや佐々木さん以外にも、石田役の小西克幸さん、浅井役の福山潤さん、今川役の浪川大輔さん、山中役の森川智之さんと、そうそうたるメンバーがそろっています。

「濃ゆっ!!」と思いました。この中だったら一番薄いのは僕かもしれないなと(笑)。そういう意味でも真田っぽくて、キャラクターに合っているんじゃないかと自分に言い聞かせています。

◆同世代の声優たちと共演することで、どんな刺激を受けていますか?

年齢は上の方ですが、キャリアは僕が一番下の方だと思うので単純に楽しいです。収録はそれぞれが持ってきたものをその場で出して、それを聞いたことによって引き出されたものを返すというのを繰り返していくんですけど。その芝居のラリーが、この現場ではおそろしく楽しくて。コロナ禍が続き、劇中でよく会話をする人でも別の収録だったり、単独での収録だったりすることが多い時期が長かったので、余計に生きたセリフをいただいて、自分も生きたセリフを返せるのっていいなと感じています。そして当然ながら、皆さん芝居がうまいんですよね(笑)。

◆作品コンセプトの「いつからでも、新しいことにチャレンジできる」にちなんで、平川さん自身がこれからチャレンジしたいことはありますか?

ずっとずっとずーっと、スキューバダイビングのライセンスを取りたいと言い続けているのですが、いまだに実行できていないんです。「この仕事は耳が大事だからな」とか、いろんなことを言いわけにしてズルズルと先送りにしてきているので、時間とお金の余裕ができたら今度こそ「えいや!」と実行したいです(笑)。

PROFILE

平川大輔
●ひらかわ・だいすけ…6月4日生まれ。新潟県出身。A型。代表的なアニメ出演作に、『鬼滅の刃』(魘夢〈下弦の壱〉役)、『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』(花京院典明役)、『DIABOLIK LOVERS』(逆巻ライト役)、『Free!』(竜ヶ崎怜役)などがある。

作品情報

『永久少年Eternal Boys』
©満プロ/永久少年プロジェクト

『永久少年 Eternal Boys』
2022年10月10日スタート
フジテレビ 毎週(月)深夜2時20分~
●アニマックス、BSフジでも放送

<STAFF&CAST>
原作:満福芸能プロダクション
監督:migml
アニメーション制作:ライデンフィルム
声の出演:平川大輔、小西克幸、福山潤、浪川大輔、森川智之、佐々木望 ほか

●text/佐久間裕子
©満プロ/永久少年プロジェクト

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