『階段下のゴッホ』演出・プロデューサーからの手紙 第2回:〜そう見られたなら、海は鯖のような色かもしれない〜

特集・インタビュー
2022年10月11日
『階段下のゴッホ』 ●photo/山元良仁 (C)「階段下のゴッホ」製作委員会

TBSの深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」で9月20日から放送開始した『階段下のゴッホ』(TBSほか 毎週火曜 深夜0時58分〜1時28分)。本作は、自分らしく生きるために邁進し、強くたくましく夢にも仕事にも向き合い進んでいく主人公・鏑木都の姿を通して、生きやすいようで生きにくい令和の時代を闊歩する女性たちにエールを送るヒューマンラブストーリーだ。
大手化粧品メーカーに勤める“高収入バリキャリ女子”で、ある絵画に出会ったことで一念発起し、画家になるという夢をかなえるべく東京藝術大学を目指す主人公・鏑木都をSUMIRE、都が美術予備校で出会う6浪中のミステリアスな青年・平真太郎を神尾楓珠が演じる。
そんな本作でプロデュース兼全話の演出を担当する小牧 桜さん(TBSテレビ)による連載が、TV LIFE webでスタート。本作に込めた想いから撮影の裏側まで、演出・プロデューサーという立場ならではの視点でお届けしていきます。

第2回:〜そう見られたなら、海は鯖のような色かもしれない〜

拝啓、皆様。

2回目のコラムとなります。よろしくお願いします。

第2話では、田辺桃子さんが演じる夏目きいろというキャラクターが登場。ファン・ゴッホといえば黄色というのは幅広く人々に知られていることであり、そのゴッホをモチーフに置くこのドラマにおいて、“きいろ”の名前を冠する人を置くことはとても悩むところではあったのですが、色彩豊かなキャラクターたちの中で、燦々と輝く自分でいられる彼女にはその名前がベストなんじゃないかと思い、脚本家の加藤さんと最初につけた名前のまま今に至ります。

『階段下のゴッホ』(C)「階段下のゴッホ」製作委員会

田辺さんとは以前に『リコカツ』というドラマでご一緒したこともあり、夏目像については割とフランクに、目線を合わせた状態でお話をし合いました。性別の尺度ですら戦わない、誰にもなびかない純度の高いストレートな自分自身でありたいという人を描きたいなと相談しました。夏目のせりふに対しても共感できる部分があるとおっしゃっていただいた目に嘘がなくて、だいぶサバサバした夏目を受け入れてもらえるかドキドキする部分もあったので、すごくホッとしたことを覚えています。

夏目といえばカメラですが…。今回劇中スチールをお願いした山元良仁さんや宇納未育さんには、とにかく作った何かじゃなくて、その時その時間の温度や空気、今を切り取ってほしいとお願いしていて。世の中のほんの些細な小さなことに目を向けるようなドラマなので、劇中スチールも宣伝ベースというより、何年か経ってちょっと見返した時に、その時のことがスルッと思い出されるような、まさに“スナップ”な要素であってほしいと依頼しました。何よりスタッフもキャストも、お芝居に集中したい時や、ホッと一息つきたい時にスチールが気になってしまわないよう、なるべく空気になってくださいと頼んでいました。そこはお二方とも忍者のように巧みで、いつの間にかキャストと写真大会をしていて流石だなと思いました。

『階段下のゴッホ』(C)「階段下のゴッホ」製作委員会

田辺さんご自身もカメラが趣味でいらっしゃったので、撮影中は夏目のカメラをそのままお渡しして、よかったら撮ってくださいねと頼んでいました。現像してみると意外な表情のお写真がいろいろありまして。現場中に説明をしている自分や働いているスタッフの姿などが、演者目線から撮られていて面白かったです。SUMIREさん、神尾さんを写したお写真も、我々や山元さん、宇納さんが撮るものとはやっぱり違うんですよね。写真を通して撮り手が見えるってこういうことだなと。2話では「見られるってことは、見てる側の気持ちを考えるってことだから」と真太郎が話すせりふがあるんですが、田辺さんの写真を見ていてものすごくそのせりふが腑に落ちました。
『ゴッホ』では、そういった俳優部の皆さんのふとした解釈やアイデアで、改めて物語を理解する瞬間が何度もありました。キャストもまた同じ作品を作るワンチームであると強く感じ、本当にありがたく思っております。

真太郎を撮った夏目としてのポートレートは、しかしすごかったなぁ。狩人ポーズは“夏目さんな田辺さん”の完全なるアドリブです。

次回は第3話についてお話しさせていただきます。

PROFILE

小牧 桜
こまき・さくら…1989年4月14日生まれ。東京都出身。
TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部。
『ルーズヴェルト・ゲーム』、『99.9〜刑事専門弁護士〜』、『凪のお暇』などの演出部を経験し、2020年『この恋あたためますか』でGP帯監督デビュー。以降は『リコカツ』、『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』などのドラマの演出を担当。
9月20日より毎週火曜深夜0時58分からTBS系にて放送中のドラマストリーム『階段下のゴッホ』(出演:SUMIRE・神尾楓珠ほか)で、初プロデュース兼全話演出を担当。

番組情報

ドラマストリーム『階段下のゴッホ』
TBSほか ※一部地域を除く
2022年9月20日(火)スタート
毎週火曜 深夜0時58分〜1時28分

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kaidanshita_no_gogh_tbs/
公式Twitter:@drama_streamtbs
公式Instagram:tbs_drama_stream
公式TikTok:@drama_stream_tbs

●photo/山元良仁
©「階段下のゴッホ」製作委員会

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