10月22日(土)より上演される舞台「ノサカラボ 『罠』」の取材会が行われ、原嘉孝と高田翔が登場した。
演出家・野坂実が世界中の数えきれないほどのミステリー作品から秀逸な作品を選び出し、丁寧に舞台化するプロジェクト“ノサカラボ”。これまでには「シャーロック・ホームズ」(2021年8月上演)、「アルセーヌ・ルパン」(2022年5月上演)などの朗読劇を展開してきた。
そして今回、満を持して長編舞台に挑戦。題材は、フランスの劇作家ロベール・トマが1960年に書き下ろした傑作ミステリー「罠」。1960年代のフランスを舞台に、わずか6人の男女が繰り広げる張り詰めた応酬、二転三転する捜査、そして衝撃のラスト。果たしてうそをついているのは誰なのか。誰もが怪しく、誰もが真実を語っているとは思えない、息をもつかせぬ展開が繰り広げられる。
妻が失踪し憔悴する主人公・ダニエルを演じるのは原嘉孝。さらに、妻を名乗る女を元宝塚歌劇団星組男役の麻央侑希、謎の女を連れてくる神父を高田翔、捜査を左右する重要な証人を釈由美子と横島亘(劇団民藝)、事件の捜査をする警部を的場浩司が演じる。
疑わしき人物が次々と登場する本作で、まわりのうそに翻弄される主人公を演じる原は、作品の印象について「ミステリー作品への出演が初めてなんですけど、ただ単に役を演じるよりもシーンごとの役割をキャストと演出家で共有していくことが大切になる作品なのかなと思いました」と語った。
謎の女性を連れてくる神父を演じる高田は、自身の役の印象について「僕の中では作品の中に神父が出てくると、その神父は絶対にいい人か悪い人かのどっちかみたいなイメージがあったので、今回の役は動きひとつで何か意味を与えてしまう感じがして」と語り「一つ一つの動きを緻密に計算してやらないとお客さんが本筋から外れてしまうかもしれないと思いながら演じています」と、神父という役柄の難しさを明かした。
また、原との共演については「原ちゃんがお芝居好きなのことも知っていたので、この作品で共演できてうれしいですし、今年の夏にやっていた『Endless SHOCK』とまた違った一面を見ることができたのでよかったです」と笑顔を見せた。
本作では、登場人物が6人と少ないが稽古場の雰囲気はよく、特に的場のことは「“アニキ”と呼んでいる」という原。一方、高田は「一緒にお話しする機会も増えているので、ちょくちょくはアニキと呼ばせてもらってます。後は原ちゃんがアニキって言ったときは僕もアニキって呼んでます」と、アニキ呼びにまだ慣れない様子。また子供の頃から見ていた釈については「いまだにちょっとドキドキします(笑)。でも、本当に失礼がないようにお話をさせてもらってます」と明かした。
座長として心掛けていることを聞かれた原は、「いつも通りです。稽古場の雰囲気はアニキも引っ張ってくれているので、座長だからといって特に何も変化はないです。お水だけ差し入れさせてもらいました」と。そんな原について高田が「そんなことないです。やっぱり座長だなと思いますよ。一番大変だと思うけど、稽古場では大変そうにしないので」と称賛すると、照れ笑いを浮かべた。
今年は半年以上、共演が続いているという2人。原は「最初は怖かったです。何を考えてるのか分からないし、言葉に感情が乗ってなくて(笑)。でも、それがこの人なんだって認めちゃえば怖くないです。今では信頼できる仲間」と高田の印象の変化を振り返る。そんな高田も原について「原ちゃんはすごい元気で、盛り上げてくれているんですけど、意外と静かな面もあります。そういう静かな一面を見せてくれるようになりました」と変化を語った。
そして最後は本作の見どころについて原が「誰がうそをついているのか最後まで分からなくて、ワクワクが続いていくのがこの作品の見どころだと思います。それから僕の役は最初と最後で変化が激しいので、そこも楽しんでもらいたいです」とコメント。
高田も「一幕の後半に向けて、僕がアクションを起こすことでお客さんがびっくりするようなシーンがあるので、そこは見逃さないでほしいです。心理戦なので見る人によって見え方が全然違うと思うんですけど、最後の最後に向けてどう展開していくのか楽しんでほしいです」と述べ、取材会を締めくくった。
作品情報
「ノサカラボ 『罠』」
東京公演:2022年10月22日(土)~30日(日)ニッショーホール
大阪公演:2022年11月2日(水)~3日(木・祝)松下IMPホール
演出:野坂実
原作:ロベール・トマ
翻訳:小田島恒志・小田島則子
出演:原嘉孝、麻央侑希、高田翔、横島 亘(劇団民藝)/釈由美子/的場浩司