『最高のオバハン中島ハルコ』岐阜、飛騨、下呂…松本圭右プロデューサーが込める、地方発ドラマへの思い

ドラマ
2022年11月26日
『最高のオバハン中島ハルコ』
『最高のオバハン中島ハルコ』若杉慎之介(蕨野友也)、中島ハルコ(大地真央)、菊池いづみ(松本まりか)、大谷将(合田雅吏)©東海テレビ

土ドラ『最高のオバハン中島ハルコ』(東海テレビ/フジテレビ系 毎週土曜 午後11時40分~深夜0時35分)のプロデューサー・松本圭右のインタビューコメントが到着した。

近年、盛り上がりを見せている岐阜。2022年11月、岐阜県岐阜市で開催された「ぎふ信長まつり」には来年公開の映画のキャストが登場し、岐阜市の人口を超える46万人が来場。松重豊主演の『孤独のグルメ』第6話で下呂市、同じテレビ東京系の『自転車屋さんの高橋くん』も大垣市でロケを行っている。

『最高のオバハン中島ハルコ』も、そんな岐阜でロケをしているドラマの一つ。今、なぜ岐阜なのか。東海テレビ・松本プロデューサーが語った。

◆第1弾の舞台は愛知でしたが、今回はなぜ隣の岐阜を主な舞台に?

やはり地元(東海テレビは愛知・岐阜・三重が放送圏)の魅力を全国に届けたいという思いが強かったです。第1弾で愛知を舞台にしたので、次は岐阜か三重か。調べる中で、岐阜には地元の方にもあまり知られていない、いろいろな伝統や文化、祭りなどがあることが分かりました。「鵜飼い」など有名なものでも、詳しく知られていないことも。このまま放っておけばなくなってしまうかもしれない文化や職人さんたちの思いを知り、今撮らなければと、今回は岐阜を舞台にさせていただきました。

言葉は強いですが「絶滅危惧種の伝統文化」にスポットを当てるため、脚本の西荻(弓絵)さんと相談しながらストーリー作りをしたのですが、台本作りはまず取材ありき。今回は全10話ですが、取材先は10件どころじゃなく、結構大変でした(笑)。でもリアルを知らなければ、エンタメに落とし込むこともできないので、必要な時間だったと思っています。

『最高のオバハン中島ハルコ』
『最高のオバハン中島ハルコ』鵜飼一路(冨田佳輔)、鵜飼栄一(山田明郷)©東海テレビ

◆地方を舞台にするメリット、デメリットは?

メリットは何と言っても”画力”が格段に上がること。日本にはまだまだすてきなロケーションがたくさんあり、映像を仕事にしている身としては少しでも多くの景色を映像に残したいと思っています。別の作品でのことなのですが、物語制作の参考のために黒澤明監督の戦後すぐの作品「野良犬」「酔いどれ天使」を見たんです。さすがの名作でストーリーが面白いのはもちろんだったのですが、それ以上にすごいと感じたのが、戦後すぐの日本の町並みが、映像として残っていること。記録映画としての観点から見ても素晴らしい作品だったんです。そこから、自分の意識も変わって…。

去年、放送させていただいた『その女、ジルバ』は、主役の笛吹新が福島出身の設定で、ドラマでもどうしても福島の映像を撮りたく、制作会社のプロデューサーに無理を言ってロケを実現してもらいました。震災から10年という節目の福島をどんな形でもいいから映像として撮っておきたかったんです。たまたま相談したプロデューサーが福島出身で、同じような思いを持っていたのも心強かったです。ただ完全に制作者の自己満足ですし、自慢するようなことじゃないですよね。ただ、何年か、何十年かしていつか誰かが『ジルバ』を見た時に、「これが10年目の福島か」と一瞬でも感じてもらえたら…そういう意味で、『最高のオバハン中島ハルコ』では「岐阜の今」をなるべく映像として残せるよう、いろんな場所に撮影でお邪魔しています。

デメリットに関しては、現場的な一番の負担はスタッフ・キャストの移動や宿泊に費用がかさむことです。今回のドラマも他の番組とほぼ変わらない予算の中で作っています。なので本来なら、地方ロケなんてできるはずがない(笑)。でも、市や町の方々に協力をいただけることで、他でかかる予算を圧縮、何とか撮影を進めることができました。地元の方々の熱量が毎回すごくて…役所や地元の方のマンパワーが地方ドラマを支えてくれているのは間違いないですし、ご協力には感謝しかないです。

『最高のオバハン中島ハルコ』
『最高のオバハン中島ハルコ』海藤道三(佐野史郎)、小早川俊(永田薫)©東海テレビ

◆今夜放送の第8話は愛知県幸田町が舞台。その理由は?

「第2弾」は岐阜編ということで、ほぼ岐阜県内で撮影をしていたのですが、もう一つやりたいことが、第1弾でお邪魔した地域の1年後もドラマで登場させたいということでした。どんなドラマも一過性のものではなく、そこに生きている人や文化は、連綿とつながっているということも表現したくて…。
なので第1弾で登場した愛知県蒲郡市と幸田町に今回もお邪魔しました。第2弾ということで地域の方との連携もスムーズで(笑)。もはや家族のような関係で撮影させていただけました。

幸田町は第1弾の最終章で、町おこし詐欺の舞台になったのですが、今回はそこから違う道を選んだ地域の新たな問題をテーマにしています。あくまでフィクションなので、実際に起きていることとは違うのですが、全国的な問題になっている「空き家問題」をテーマに、「お金」についてハルコさんが持論を展開するストーリーになっています。もしかしたら今シリーズの中で見てくださる方にとっては一番身近なテーマかもしれないので、登場人物の誰かに感情移入しながら見ていただければと思います。

『最高のオバハン中島ハルコ』
『最高のオバハン中島ハルコ』熊咲雄介(草野イニ)、菊池いづみ(松本まりか)©東海テレビ

◆地方発ドラマを楽しむコツは?

まずは監督、カメラマンがこだわりにこだわりぬいたロケーションと映像美を堪能していただくこと、でしょうか。コロナもあり、旅行を控えていた方も多いと思うのですが、だからこそ、民放のテレビ番組という簡単に手が届くメディアで旅行気分を味わってもらえるのも地方発ドラマの魅力だと思っています。

あとは、地元の名産品を知ること。ネット社会だと自分の興味のあることしか知識として増えづらいと思うのですが、テレビなら興味がなくても目に入ってくる。第1弾ではドラマに登場した名古屋のお菓子が放送直後からネットで話題になりました(松永製菓の名古屋銘菓「生しるこサンド」がドラマに登場。一時完売する状況となった)。狙ったわけではなかったのですが、そういう楽しみ方ができるのもテレビドラマの魅力なのかなと再認識しました。
今回も実在のお菓子や料理をふんだんに取り入れています。隠れた名産品はまだまだあるのでそこも楽しんでいただけたらうれしいです。

あとは長期宿泊によるキャストスタッフの一体感が映像にも表れているので、そこも楽しんでいただければと。撮影の4か月間、ほぼ合宿状態なので「普通ならそんな芝居思いつかない!」というような面白いシーンがいっぱい撮れています。大地さん演じるスーパーマダム・中島ハルコは第2弾でさらにパワーアップしているので、ぜひ楽しんでいただければうれしいです。

『最高のオバハン中島ハルコ』
『最高のオバハン中島ハルコ』中島ハルコ(大地真央)©東海テレビ

第8話(11月26日(土)放送)あらすじ

8話のテーマは「お金」。
菰野地方創生大臣(南圭介)を中心とする海藤(佐野史郎)派の肝いり政策「若者自然村」に、「無駄な税金を使うにおいがプンプンする」と怪しむハルコ(大地真央)。そんな中、大谷(合田雅吏)の叔母が投資に失敗した一報が入る。早速、ハルコがいづみ(松本まりか)に潜入調査をさせると、東京から来ていた赤尾亮太(増田修一朗)ら3人の青年とシェアハウスで同居する中、いづみも投資を勧められてしまう。
いっぽう、ハルコは店を畳もうとしている頑固な畳職人・乾(長江英和)と出会う。機械が故障し直す金がないという乾に対し、ハルコが下す決断は…。

番組情報

『最高のオバハン中島ハルコ』
東海テレビ/フジテレビ系 全国ネット
2022年11月26日(土)午後11時40分~深夜0時35分

この記事の写真

©東海テレビ

 

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