土曜ドラマ『探偵ロマンス』(NHK総合 毎週土曜 午後10時~10時49分)で、住良木平吉役の尾上菊之助からコメントが到着した。
『探偵ロマンス』は、新進気鋭の脚本家・坪田文が書き下ろすオリジナルドラマで、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』制作チームがNHK大阪放送局から送る、ロマンスあり、笑いあり、涙あり、魂の叫びあり、アクションありの珠玉のエンターテインメント活劇。江戸川乱歩が作家デビューを果たした1923年から100年という節目を迎える今、“知られざる江戸川乱歩誕生秘話”を描く。
尾上が演じる住良木平吉は上海帰りの貿易商で、秘密倶楽部「赤い部屋」の会員となったばかりの新顔。優雅な身のこなしや、謎めいた言葉に、「赤の部屋」の女主人・蓬蘭美摩子(松本若菜)は魅了されている。
尾上菊之助 コメント
◆『探偵ロマンス』に出演することが決まったときのお気持ちは?
いつも挑戦的な企画をされている「土曜ドラマ」に呼んでいただいたことを、とてもうれしく思いました。
『探偵ロマンス』は江戸川乱歩の世界。小学生の頃に図書館で見た江戸川乱歩の本が、独特の怖い雰囲気だったことが思い出されます。人間の感情や心の機微を繊細に描きつつも、非常にダイナミックなエンターテインメントとしての顔をもつ乱歩作品。今作でも人と人との機微、そして派手なアクションなどのエンターテインメントの両方を大事にしながら臨みました。
◆脚本やご自身の役柄についての印象、演じていて印象的だったシーンなどを教えてください。
住良木はまるで、夢を食べると言われるバクのよう。自分は動かずに誰かを使って「人の物語」を食べてしまう、そんなイメージです。
実はこの作品には1話に至るまでの、いわばエピソード0がありまして。それを読み、住良木を詳しく理解した上で作品に入らせていただきました。三郎(草刈正雄)と住良木のこれまでの物語や生い立ちなどを、脚本家の坪田文先生が全4話とは別に書いてくださったんです。住良木の冷徹さや残酷さには、生い立ちが深く関わっているんですよ。神出鬼没のラスボス的な存在なので、嫌みな雰囲気というものも大事にしつつ演じています。
でも、悪い人に見えない方がかえって怖いですよね。ふとした時に悪い部分が出てくるように、普段の人との接し方はなるべく自然にあまり「悪さ」が出ないように心がけました。台本には「……」と書かれている部分も多いので、表情ですとか感情を目で表すといったことを大切にしています。
第3話では初之助(泉澤祐希)に優しく語りかけ、生きる活力や進むべき道を与えた住良木。彼自身は悪気なくやっていることだと思いますが、その手を取って進んだ先はどんな場所なのか……。次回にご注目ください。美摩子のことは、おそらくせりふ通り好きだったんじゃないでしょうか。女性として、それから人間として魅力的な人物だと捉えていたと思います。
◆収録に参加されてみて、共演者の皆様の印象、現場の雰囲気はいかがですか?
現場には『カムカムエヴリバディ』でご一緒したスタッフの方が多くいらっしゃるので、とても安心でした。『カムカム』で心に迫る演出をしてくださった安達もじりさんと、大河ドラマ『西郷どん』以来ご縁のある制作統括の櫻井賢さんのお二方がいる現場で、すばらしい共演者の方々との刺激的なお芝居を経験させていただいています。
三郎とのシーンも、草刈正雄さんのガンアクションがすさまじくかっこよくてきれいなので、どんな映像になったかとても楽しみですね。私も教えてもらいながら、ガンアクションをさせていただきました。
◆放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。
主人公の太郎(濱田岳)はなかなか自分の歩むべき道を見つけられずに、白井三郎に出会うまでいろんなことをしていた人物。きっとコロナ禍の現代でも、そんな太郎の状況に共感できる若い方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。現代の若者の象徴のような太郎に、住良木そして三郎がどのような影響を与えていくのか、クライマックスにどうぞご期待ください。
ついに対峙する住良木と三郎の間にどんな火花が散るのか、私自身も最終回を見るのがとても楽しみです。『探偵ロマンス』は見せ場と見せ場がパン、パン、パンと短めにつながっていくところがまるでTikTokのよう(笑)。私もTikTokを見ますので、そんな印象を持ちました。短く刺激的な場面がより合わさって、最終的には人間ドラマに帰結します。次回が最終話となりますが、続編があれば、そして住良木がまた登場できるのならぜひ出演したいですね。まずは最終話をご期待ください!
番組情報
土曜ドラマ『探偵ロマンス』(全4話)
NHK総合
毎週土曜 午後10時~10時49分
©NHK