映画「#マンホール」(読み:ハッシュタグ・マンホール/公開中)が第73回ベルリン国際映画祭に正式招待され、主演の中島裕翔(Hey! Say! JUMP)と熊切和嘉監督が参加。オフィシャルレポートが到着した。
本作は、「ライアーゲーム」シリーズ、「マスカレード・ホテル」シリーズの脚本家・岡田道尚が原案・脚本を手掛けるオリジナル作品。「海炭市叙景」「私の男」などで、海外からも高い評価を受ける熊切が監督を務めた。
中島演じる川村俊介は勤務先の不動産会社でNo.1の営業成績を誇り、上司や同僚の信頼も厚く、社長令嬢との結婚も決まり将来を約束された超ハイスペック男。しかし結婚式前夜、サプライズパーティからの帰り道に酒に酔いマンホールに落下し、幸せの絶頂からどん底に転落してしまう。ほか、奈緒が川村の元カノ・工藤舞役、永山絢斗が川村の同期社員・加瀬悦郎役で共演している。
「#マンホール」が正式招待されたのは、第73回ベルリン国際映画祭(会期:2月16日(木)~2月26日(日))の「ベルリナーレ・スペシャル部門」。日本時間2月21日(火)、中島と熊切監督はベルリン国際映画祭に登場し、世界の映画ファンが見守る中、レッドカーペットを闊歩。記者会見では中島が英語で対応し、上映後にはQ&A(質疑応答)にも参加した。
前日に行われた海外プレス向けの試写会では、マンホールの中という限られたシチュエーションの中、ほぼひとりで刻々と変化していく人間の姿を演じ上げた中島の演技に対し、「最高だったよ。普通の男性がどんどんクレイジーな人間になっていくさまを、泣いたり叫んだりしてよく演じ切っていた」「観客の視線は彼にくぎ付けだったね」など、絶賛の声が集まった。
そんな中、まず中島と熊切監督が現れたのは、マスコミ向けのフォトコール。海外メディアに囲まれ、最初は緊張した面持ちの中島だったが、徐々にマスコミからの英語での声かけにも指差しをしながら中島らしい爽やかな笑顔で応え、「ラブリー! キュート!」の声を巻き起こすなど、トップアイドル姿はベルリンでも健在。集まった人々を魅了していた。
続いて2人は、マスコミ向けの記者会見に登場。脚本について聞かれた熊切監督は、「元々は岡田(道尚)さんが一年間くらい練ったプロットを読ませてもらって、最初は今まで自分が撮ってきた作品とは少し感じが異なっていたので戸惑ったんです。でも、何度も繰り返して読んでいくうちに狭い空間で描かれた作品ではあるけれど非常に広がりのある作品だと思い、これはぜひ映画にしたいなと思いました」とコメント。
マンホール内という特殊な環境での撮影について聞かれた中島は、「1カ月間ずっと狭くて暗いセットの中での撮影はすごく大変でしたね。最初に脚本をもらったとき、まずタイトルを見て“マンホール!? ほんとに!?”って驚きました(笑)。しかも男がマンホールに落ちて脱出しようと試みる話。こういう役をやってみたい気持ちもあったけど、汚い泡に囲まれたり今までやったことないようなことばかりでトリッキーな撮影でしたね。肉体的にも精神的にも大変な撮影でした」と流ちょうな英語で回答した。
また、ベルリンを訪れた感想を聞かれ、「本当に夢のようです。世界中から俳優や監督が集まるこんな場所に招待してもらえるとは思ってもみなかったので、この作品に連れてきていただいたという気持ちです」と喜びを語った。
「鬼畜大宴会」でベルリン国際映画祭の「パノラマ部門」に招待されていた熊切監督は、再びベルリンの地を訪れた心境を聞かれ、「最初のベルリンの時はクエンティン・タランティーノ監督が『ジャッキー・ブラウン』でレッドカーペットを歩いていて、僕の映画のフライヤーを渡そうとしたんですけど受け取ってもらえなくて・・・、サミュエル・L・ジャクソンさんが受け取ってくれたんですけど(笑)。その同じレッドカーペットを歩けると思うとすごく感慨深いですね」と、世界中の名だたるスターたちが訪れるベルリン国際映画祭ならではのエピソードを披露しながら答えた。
一方、劇中で重要なツールとして登場するのがSNS。普段SNSを使っているか聞かれた中島は、「僕は日本のHey! Say! JUMPというグループのメンバーなのですが、僕たちはInstagramとYouTubeのアカウントを持っています。僕はただそれを見ていることが多いですね。でも観客の皆さんが作品をどう思っているかを知れたりするので、そういうときに活用したりします」と回答。
メディアからの質問にも難なく英語で受け答えをしていた中島は今後の海外進出への展望について、「元々英語を習い始めたきっかけが、海外でのお仕事への野望があったからなので、ゆくゆくは海外の作品にも挑戦したいと思っています」と思いを明かす。
さらに音楽の仕事と俳優の仕事、どちらが好きかという難しい質問にも「僕としては両立させたいと思っています。事務所もそうさせてくれますし、素晴らしいことだと思います。俳優業のおかげで充実しているし、もちろんアイドルでいることも好きです」と。
続けて、「でも演じることは大好きですね。演じていると違う人間になれるし、今回の作品でも川村という人間はダークで本能的な面も持ち併せています。僕はこれまでそういった役を演じたことがなくて、チャレンジしてみたかったので、この役ができて幸せです」と真剣な表情で答えた。
大舞台でありながら時折ジョークも交え、終始英語で真摯に質問に受け応えする中島の姿に、会場は温かく和やかな雰囲気のまま会見は終了した。
そしていよいよベルリン国際映画祭のメイン会場となる、Berlinale Palast(ベルリナーレ パレスト)のレッドカーペットに登場した2人。中島はブラックのタキシードを身をまとい、アン・ハサウェイやクリステン・スチュワートら大スターも数日前に歩いた大舞台を堂々と闊歩。
レッドカーペットを歩いた感想を聞かれた中島は、「とても楽しかったです! レッドカーペットは人生で初めてなんです。釜山国際映画祭の時も歩く予定はあったんですけど、フライトの関係で歩くことができなかったので、目に映るもの全てが新鮮。ベルリン国際映画祭は三大映画祭のひとつでもありますし、すごく華やかな場所で、日本の作品としても7年ぶりに招待していただいたということもあっていろいろなものを背負ってレッドカーペットを歩かせていただいたという気持ちです」と興奮冷めやらぬ様子でコメントしていた。
その後、Kino International(キノ インターナショナル)にて行われた公式上映は、会場は満席に。上映終了後には、会場が大きな拍手と歓声に包まれる中、中島と熊切監督が舞台上に登壇。鑑賞を終えた観客からの質疑応答に答えた。
熊切監督は「この映画にはどのような思いが込められていますか?」という問いに対し、「人間はきれいごとだけでは片付けられないと思っていて、ある種、極限状態に陥ったり、SNSのような匿名状態で悪意が芽生えたりすることってあると思うんです。でも、それを隠すのではなく表現としてありのまま見せることによって、そことの付き合い方を覚えていくということが大事なんじゃないかなと思って、この映画を作りました」と回答。
また、「川村が舞と電話をしているときに流れている音楽はどのような意図があって選ばれたのですか?」という質問には、「あれは舞の車の中でかかっている曲という設定なんですけど、映画の中に異化効果というか、あえてミスマッチな曲をつけることによって、さらに不思議な深みが出るんじゃないかと。そういう狙いがあってあの曲をつけました」と明かした。
さらに、Q&A後には現地に駆け付けた日本のメディア向けの取材にも応じた2人。上映を終えた感想を聞かれ、「現地の方々と一緒に作品を見て、どんな反応がもらえるのか、この瞬間が一番楽しみにしていた瞬間でした。日本では珍しいシチュエーションスリラーという作品ではあるんですけど、海外では多く見られていると思うので、海外の方たちがどういうリアクションをするのか、すごく楽しみでした」と中島。
また、「僕は結構心配性なのでいろいろとネガティブな方に考えてしまいがちですけど(笑)、こんなに温かい拍手と各所から笑い声もたくさん起こったので。笑いが起こるポイントがいい意味で日本とちょっと違って独特だなと思って、一緒に見ていてすごく楽しかったですし、あの時間が最高でした」と感慨を語った。
熊切監督は「僕は割と今までの作品はお客さんが沸くようなタイプの映画を撮っていなかったので(笑)、今回は比較的エンターテイメントなので、思った以上に反応が良くてうれしかったです」と喜びを語った。
作品情報
「#マンホール」(読み:ハッシュタグ・マンホール)
大ヒット全国公開中
出演:中島裕翔、奈緒、永山絢斗 ほか
監督:熊切和嘉
原案・脚本:岡田道尚
制作プロダクション:ツインズジャパン
製作幹事・配給:ギャガ
公式サイト:gaga.ne.jp/manhole/
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