「謎解きは知の総合芸術」松丸亮吾が語る“謎解き”の奥深さ『謎解き日本一決定戦X 2023』

特集・インタビュー
2023年03月18日
『謎解き日本一決定戦X 2023』謎解きクリエイター・松丸亮吾©MBS

『謎解き日本一決定戦X 2023』の決勝の模様が、MBS/TBS系で3月26日(日)午後9時から放送。本大会の謎を監修するのは、第1弾に引き続き松丸亮吾さんが率いる謎解きクリエイター集団・RIDDLER。大会の参加資格は10歳以上で、今年1月18日から1次予選がスタート。予選は3次まで行われ、参加者7万人以上の中から勝ち抜いた上位8人が、決戦の場で火花を散らす。

4つのステージが用意された決勝大会では、城田優さん主演の番組オリジナルの謎解きドラマや、マヂカルラブリーによるオリジナル漫才、ロバート・秋山竜次さん扮する謎解きクリエイターからも出題。さらに、今年7月にテレビシリーズ第2期がスタートするアニメ『呪術廻戦』とのコラボ謎解きも。謎解きクリエイターの松丸さんに、収録を振り返っての感想や、問題のテーマなどを聞きました。

◆収録を終えての感想を教えてください。

まず無事に終わってよかったです。『謎解き日本一決定戦X』は、参加者のレベルが本当に高いですし、熱量もすごくて、1回目は約5万人の参加でしたが、今回は7万人以上の参加ということで、自分の中で「去年以上にちゃんと歯ごたえのある、差がつく問題を作らなきゃいけない」というのがありました。理想は見ている子供たちも解ける問題ではあるけれど、答えにたどり着く人はひと握りという、ポップさと難しさも兼ね備えた問題で。昨年の1回目の大会が終わって1か月ぐらいたってから作り始めて、1年くらい身を削る思いで今に至るまで問題を何度も調整して、出来上がったものを皆さんに解いていただきました。ただ、出来た問題たちは大丈夫かなという一抹の不安はあったので、第1回大会で決勝に進んだ方々に協力してもらって、テストプレイをしてもらいました。そのプレイを通していくつか修正ポイントが見つかったので、ギリギリまで調整して、本番に臨みました。今収録を終えて、トラブルもなく、無事に全ての問題を終了できてホッと安心しています。

◆私たち記者も問題を解きながら収録を拝見していましたが、とても盛り上がりました。

それはめっちゃくちゃうれしいです。謎解きというとクイズと思われることがすごく多くて…。謎解きは奥深いもので、一瞬の伏線を見逃さずに気づいたり、これから起こることを予測して早く答えを出すといったことが謎解きの力なんです。ひらめきもそうですし、発想力、注意力、観察力、いろんな力が試される、知の総合芸術が謎解きだと思っています。知識を使わないから子供も楽しめるし、大人ももれなく参加できるので今回の最終予選に残った最年少が13歳で、最年長が56歳だったんです。最終予選は300人まで絞られていたんですが、若い人がかなり勝ち上がってしまうかなと思いきや、そんなこともなくて。年齢層に幅がある大会というはすごく面白いですよね。今回如実に謎解きは年齢や知識量は関係ないんだなということが出ましたし、いろんなドラマが生まれました。この決勝では1人ずつ敗退していくのですが、僕そのたびに泣きそうになりました。この大会に懸ける思いみたいなものが皆さん本気で。応援席の人たちからの熱意も伝わってきましたし、うるっときて解説できないかと思いました。

◆今回の決勝で出題された問題について教えてください。

各ステージでそれぞれ違う力が試されるように作りました。ファーストステージの「お笑い謎解き」は、昨年もあったステージですが、今回少し思考を変えました。前回ミルクボーイさんがやっていた生漫才は今回もそのままに、マヂカルラブリーさんバージョンでやらせていただきました。そして、秋山竜次さん扮する伝説の謎解きクリエイター・“AKI―MARU”くんはロケになっています。生漫才はネタという音声を聞いて、どう処理できるかという力。一方のロケのほうは、秋山さん扮する“秋丸君”の天真らんまんなキャラクターから繰り出される笑いの中から、どこが謎として使われるのかを見つける観察力が試されるものになっています。

今回、アニメーションと初めてコラボをさせていただいたんですが、アニメ「呪術廻戦」とのコラボは非常にうれしかったですし、世界観がすごく重厚な物語だったので、大会としては新たな試みとなりました。とは言え、知識を使わない謎解きでなければいけないので、物語の理解によって差が出る問題にならないように意識して、「呪術廻戦」の世界観の中で、どんな謎解きができるか、実は一番時間がかかったブロックになります(笑)。その結果できた問題としては、問題の全容が見えないときに、いかにひらめくかという予測力が試されるものになりました。

その後のドラマ謎解きに関しては、今回かなりミステリーテイストにしました。ただ目の前のパズルのような問題を解くのではなくて、物語の中で矛盾していることだったり、証拠品だったり、刑事や探偵のような推理力が試されます。おそらく普段の謎解きゲームにはあまりない要素なので、プレイヤーたちも面食らっている場面もあったので、初めて見たものに対応するという初見力も求められました。そして、決勝ブロックは総合力。ほぼ全部の力が試されるように作っているので、あれを解けたら間違いなく優勝と言っていいだろうっていう、熱い戦いになりました。

◆前回大会の際、“エモさ”を意識されて作問されたということですが、今回はいかがでしょうか?

ほぼ全ての問題があらゆることにちゃんと気づいていれば、序盤で答えを書けるというのは共通しているので、つまり逆転できるんです。今回はほとんどのステージで“ロックシステム”というこの番組独自のシステムを採用していて、解答時間の60秒のうち、ボタンを押した残り時間がそのままポイントになっているので、解答時間に入ってすぐに押したらとんでもなくポイント差がつくことになるんです。なので、どれだけ負けている状況でも、ひらめき次第ではいつでも逆転ができるという構造になっているのは、いいところでもありますし、エモさを感じるポイントの一つですよね。そして、ステージを最後まで見たくなる作りということも意識していて、いろんな複線がそのステージの終わりに怒涛の勢いで回収されるんです。これは見ていて結構気持ちいいと思うので、全部見てほしいなと思います。

◆スタジオでも、MCの今田耕司さん、小芝風花さん、ゲストの城田優さん、かたせ梨乃さん、藤本敏史さんが謎解きをしながら番組に参加されていましたが、近くで見ていていかがでしたか?

皆さんの謎解きへののめり込み具合が最初から後半にかけて、どんどん変わっていましたね。最初は「謎解き、あまりやったことないんですよね」と言っていたけれど、収録が進むにつれて「あれ、絶対使いますよ!」とVTRを指しながら見たり、メモを書いていたりしているのを見て、「いい番組だな」と思いました。

◆本当に白熱した戦いでしたが、実際に松丸さんがプレイヤーとして出場されたら、どうなりそうでしょうか?

皆さん、すごいので、僕があの場にいたら多分勝てないと思います。そして多分挑まない(笑)。僕も謎解きの世界大会にチームで出場して2位を取ったことはありますが、今日の戦いを見ているとプレイヤーの方たちのほうがすごいなと。きっとアドレナリンが出ているとかもあるとは思いますが、あの場にいるからこそ緊張する人もいれば、逆に本来以上のとんでもないひらめきを発揮する人もいるので、誰が優勝してもおかしくない大会だったからこそ、いいパトルを見たなと思います。

◆視聴者の方へメッセージをお願いします。

これは番組が出来たときの話ですが、僕らが謎解き大会の番組を作りたいと企画書を書いているタイミングで、MBSさんから「松丸君と作りたい番組がある」と言われて、見せてもらった企画書が謎解きの全国大会だったんです。本当に偶然かぶって、「僕らも考えてました!」と、僕らの企画書も見てもらって作られたのがこの『謎解き日本一決定戦X』。出来るべくして出来た大会が、ここまで盛り上がって、そして2回目も行うことができたので、これを続けていきたいですね。謎解きはまだまだ文化として未熟な部分が多いので、育てていける番組にできたらなと。これまで謎解きにあまり興味なかった人や、「クイズでしょう」と思っていた人に、「謎解きとはこういうものです」という僕らの本気が見えると思います。最後まで見逃さずに、全問解くのは難しいと思いますが、例えば、お母さんはここに気づいてて、息子はこれに気づいててみたいな。家族で見るのも面白いだろうし、友達同士で競い合いながら、カップルでと、本当にいろんな見方ができる番組だと思うので、ぜひリアルタイムで見届けてほしいです。

番組情報

『謎解き日本一決定戦X 2023』
MBS/TBS系
2023年3月26日(日)午後9時~10時48分

番組公式HP:https://www.mbs.jp/nazotoki_x/

©MBS

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