乃木坂46・中村麗乃インタビュー「この2か月を走り切れたら、いつもの景色も違って見えてくるんじゃないかなって」『Endless SHOCK』『Endless SHOCK‐Eternal‐』

特集・インタビュー
2023年04月29日

乃木坂46・中村麗乃

堂本光一さんが主演し、作・構成・演出を自ら手掛ける「Endless SHOCK」が東京・帝国劇場で上演中。スピンオフの「Endless SHOCK‐Eternal‐」と共に今回2作品でヒロインのリカを演じているのが、乃木坂46の中村麗乃さん。舞台の幕が開いた直後の彼女を直撃し、オーディションから本番を迎えるまでの裏話や、作品に対する熱い思いを聞きました。

◆無事2作品の幕が開きましたが、手応えや反響はどうですか?

本編の初日が終わったら次の日には「~‐Eternal‐」の初日を迎えて、とても不思議な感じがしました。今回はWキャストでもあるので、稽古場での通しが例年の倍だったりもして。まだ幕が開いたばかりとは思えないぐらい、もう既にたくさん公演をしている感覚があります。乃木坂46のメンバーも、たくさん見に来てくれているんですよ。初めて「Endless SHOCK」を見る子も多くて、長文の感想を送ってくれて。後輩の黒見明香ちゃんや井上和ちゃんはお手紙までくれました。みんな楽しんで見てくれているみたいで、すごくうれしいです。

◆今回の出演はいつごろ決まったんですか?

オーディションに参加したのが、昨年の夏のコンサートツアーをしていたときぐらいで。ちょうど明治神宮球場でライブがあった日の本番前に結果を知りました。そこから考えると、長かったような、あっという間だったような、両方の感覚があるんですけど。あの夏を経て、春になった今こうして公演ができていることを考えると感慨深いです。

◆オーディションを受けてみようと思ったのは?

「SHOCK」は劇場では見たことがなかったのですが、作品自体はもちろん知っていて。もともと私はミュージカルが大好きなので、いつか挑戦してみたいという気持ちがありました。それで昨年マネージャーさんからオーディションのお話を頂き、「ぜひ受けたいです」と答えました。

◆オーディションはどうでしたか?

お芝居と歌とダンスをやりました。ダンスはその場で振り入れして、お芝居もその場でせりふを頂いて…という感じで。歌だけは事前に頂いていたのですが、手違いで別の楽譜が届いてしまったみたいなんです。なので結局、歌もその場で覚えるというハプニングがありました(笑)。そんなこともあったので、帰りの移動中マネージャーさんに「ごめんなさい、私、多分落ちました…」という話をして。マネージャーさんには「次、頑張ろう」って慰められたりもして(笑)。もう完全に諦めていたので、合格したと知ったときは信じられなかったです。でも後日(堂本)光一さんとお会いしたときに、「歌もあの場で覚えたんでしょ?」って事情を知ってくださっていて。もしかしたらそのことも、合格できた一つのきっかけになったのかなって。今では、あのハプニングがあってよかったとプラスに感じています。

乃木坂46・中村麗乃

◆そこから実際に稽古が始まるまで準備していたことは?

過去の公演の映像をDVDで見たり、サウンドトラックのCDを何度も繰り返して聴いたりしていました。いろいろ勉強させていただいて、あらためてこの作品の歴史の重みというのを感じました。20年以上も帝国劇場で毎年上演されているというのは、本当にすごいことだなと思います。やっぱり、それだけ愛される作品にはちゃんとした理由があるというか。知れば知るほどすてきな作品で、私自身どんどん心を奪われていきました。

◆それと並行して、歌やダンスの練習も?

そうですね。ボイトレを少しずつ何回かやって。あとはジャズダンスのような振り付けが多い作品なので、バレエなどの基礎的なレッスンの機会を何回か作っていただきました。とにかく今回のカンパニーの中で私は新メンバーだったので、まず覚えなければいけない曲がたくさんあって。昨年末あたりから、私だけ先に振り入れだけさせてもらったんです。乃木坂とは全く違うジャンルの振り付けが多くて、かなり苦戦しました。例えばWターンとかは初めての経験で、昨年は全然できなくて“どうしよう…”って焦っていたんですけど。本番には何とか間に合って、やっと回れるようになりました。そんなこともあって、ダンスはかなり練習しましたね。今年の1月は、ほとんど毎日ぐらいの勢いでやっていたと思います。

◆2月に乃木坂46のバースデーライブもあったことも考えると、相当ハードですね。

ライブのリハーサルの前後も「Endless SHOCK」のダンスを練習していました。ダンスの基礎的なところをあらためて学んだからか、乃木坂の振り付け師の方やダンスの先生に褒めてもらう機会が多くなって。それはすごくうれしかったです。あとはグループに帰ったときに、メンバーのみんなが話を聞いてくれたり、一緒に他愛のない話をしたりしてリフレッシュできました。稽古期間中は光一さんはじめ周りの方々がたくさんサポートしてくださって、皆さんの器の大きさに助けていただきました。すごく温かいカンパニーで、私が出来ないところがあると練習に付き合ってくださるんです。本当に優しくしていただいています。

◆記者会見では、光一さんが麗乃さんのことを遠慮がちだと話してましたね。

そうですね(笑)。今ではリラックスしてお話ができるようになったんですけど、最初はガッチガチでした。光一さんは大先輩ですし、稽古場の環境も普段とは真逆で男性の方ばかりだったので。どう立ち振る舞ったらいいか分からなくて、隅っこの方でおとなしくすることしかできなかったんです(笑)。そうしたら光一さんに突然「じゃあ明日から宿題を出します!」って言われて。「俺に毎日『おい! あっち向いてホイするぞ!』」って声かけてよ」「“しましょう”じゃダメだよ、“おい!”だからね」って(笑)。あっち向いてホイは実際に稽古日のルーティンになって、それをきっかけに少しずつお話させていただくようになりました。

乃木坂46・中村麗乃

◆あらためて光一さんのどんなところがすごいと思いますか?

いやもう、何から話せばいいか分からないぐらい、たくさんあります。主演や座長としてやることがたくさんあって大変だと思うんですけど、その中でちゃんと私たちのことも見てくださっていて。「ここの芝居はもうちょっとこうしてほしい」とか、ダンスのときの肩の上げ方とか、本当に細かいところまで見てくださるんです。しかもどんなこともパッとできてしまうので、すごい方だなぁと思いながらご一緒させていただいています。

◆お芝居に関しては、具体的にどんなリクエストが?

特に「間を怖がらないでほしい」というお話がありました。自分がせりふを言っているときって、緊張しているからか、その場では長い時間に感じてしまいがちなんですよね。家に帰ってから稽古動画を見返してみると、“あれ? 私の話し方って早いな…”と感じることが多くて。稽古場では気が付かなくても、後になったら理解できるというようなことがたくさんありました。私の役は、後半になるにつれて強くしゃべるようになるんですけど。光一さんには「空間だって味方につけられるんだよ」ということを教えていただきました。

◆そのリカという役どころについてですが、どのような女性だと捉えていますか?

前半のリカはコウイチ(堂本)に対して憧れの気持ちがあって、その中で“好き”という感情も生まれていくというか。私の中では、ずっとコウイチの背中を追い続けているリカ、というイメージがあったので。一歩下がってコウイチのことを見ている感じをイメージしながら役を作っていきました。後半ではいろいろなことが起こって、リカも自立する決意をして、強くなっていきます。現実を受け入れたくないという複雑な気持ちもある中で、グッとこらえながら前に進んでいく…そんなリカの成長を表現したいです。

◆リカの成長には、母親であるオーナー(前田美波里/島田歌穂)の存在も欠かせませんね。

リカにとっても、私自身にとっても大きな存在になっています。今はビバさんがオーナーを演じられていますが、常にドンと構えてくださるので安心感があります。会見のときも、緊張していた私に「何かあったら言いなさいね」って一番に声をかけてくださって。普段からお母さんみたいに優しく包み込んでくださるので、私も心を預けさせてもらっています。

乃木坂46・中村麗乃

◆この物語からどんなことを感じますか?

劇中に何回も出てくる“Show Must Go On!”という信念は、普段アイドル活動をしている私自身にも重なって見える部分があって。この作品に関わらせていただいて、本当に日々いろいろなことを考えさせられています。「何があってもステージに立ち続けなければならない」というのは、すごく重い言葉だなって。私もステージに立つ人間として、もっと視野を広げて活動したいという思いが強くなりました。エンターテイメントって人生を豊かにさせてくれるし、いろいろな気持ちと巡り合わせてくれるものだと思うんです。私は、それをたくさんの人と一緒に共有したいという思いで活動を続けてきました。でも応援してくださる方がいなかったら、続けたいことも続けられないので。私の中ではファンの皆さんの存在も、同じぐらい大きいです。

◆同じく「続ける」というところで、私生活で“エンドレス”に毎日続けていることは?

何でしょうね…あ、桃を食べることです。2年ぐらい前からブログやいろいろなところで話しているので、ファンの方はきっと、私が桃を食べ続けていることを知ってくださっていると思うんですけど。ふるさと納税の返礼品にすごくおいしい桃があって、それをきっかけにすごくハマって。桃の季節になると毎週箱買いをして、1日2個ぐらい食べちゃいます。もし時期に関係なく桃が育って出荷されたら、私は多分1年中食べていると思います(笑)。

◆では最後に、舞台を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

この作品がずっと好きで毎年見に来られているという方もたくさんいらっしゃると思います。そういった方にもしっかりこの素晴らしいエンターテインメントを届けられるようにしたいなって。これまでリカを演じられてきた方々と比べると私のキャリアはまだまだですが、公演期間中はしっかり作品と向き合ってリカという役を全うしたいです。今はまだ始まったばかりで未知数なところがありますが、この2か月を走り切れたら、いつもの景色も違って見えてくるんじゃないかなって。個人的にはそこも楽しみだったりします。2か月間ずっと同じものをやるという経験も初めてで、これからどうなるのか不安はあります。でもそれと同じぐらい楽しみな気持ちもあるので、1公演1公演大切に演じていきたいです。

乃木坂46・中村麗乃

PROFILE

●なかむら・れの…2001年9月27日生まれ。東京都出身。乃木坂46・3期生。舞台出演作に「夜明けのうた」、ミュージカル「October Sky-遠い空の向こうに-」「SUPERHEROISM」など。「乃木坂46 齋藤飛鳥 卒業コンサート」が5月17日(水)、18日(木)に東京ドームで開催。

作品情報

Endless SHOCK
Endless SHOCK‐Eternal‐
上演中~5月31日(水)東京・帝国劇場

<STAFF&CAST>

エターナル・プロデューサー:ジャニー喜多川
作・構成・演出:堂本光一
出演:堂本光一、佐藤勝利/北山宏光(Wキャスト)、越岡裕貴、松崎祐介、高田翔、原嘉孝、深田竜生、阿達慶、中村麗乃、石川直、前田美波里/島田歌穂(Wキャスト)ほか

<STORY(「Endless SHOCK」)>
若きエンターテイナーのコウイチ(堂本)は、ニューヨークのオフ・ブロードウェイの小劇場で活躍していた。そんなコウイチにある日、オン・ブロードウェイからオファーが。喜びと期待に胸を膨らませるカンパニーだが、次第に亀裂と混乱が…。

●photo/中村功 text/橋本吾郎 hair&make/森柳伊知 styling/林かよ 衣装協力/ノエラ

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