フジテレビドラマのヤングクリエイターたちが月替わりで送る「火曜ACTION!」(フジテレビ/関東ローカル)。6月6日(火)からスタートする『もう一度パパと呼ばれる日』(毎週火曜 深夜0時25分~0時55分)で主演を務めるEXILE NAOTOさんにインタビュー。フジテレビの地上波ドラマ初主演でパパ役に初挑戦するNAOTOさんに、作品の印象や役との向き合い方などについて聞きました。
◆オファーを受けたときの感想を教えてください。
本当に光栄でした。フジテレビの地上波ドラマには、過去に『ラスト♡シンデレラ』『ディア・シスター』に出演させていただいていますが、主演としては初めてで。久しぶりにフジテレビのドラマに出られることと、主演としてお話を頂いたことをうれしく思います。
◆台本を読んでみていかがでしたか?
とてもすてきなお話だなと思いました。こんな作品にチャレンジさせていただけるのはすごくありがたいです。全4話ですが、毎回グッとくるシーンが詰め込まれていて、短い間に大事なことがたくさん詰まっています。1話から感情的なシーンもありますし、それがクランクインの初日にいきなり撮影だったのでどうしようと困ってしまいましたが(笑)、楽しんで撮影することができました。
◆初の父親役として三倉健二を演じられますが、役作りはどのようにされましたか?
兄の子供の姪っ子や甥っ子、同世代の友達の子供など、普段から子供と接する機会は多いんです。そういうときの子供との接し方や、兄や友人の父としての振る舞いを思い出して、役作りをさせていただきました。
◆実際に健二として息子・娘と接してみていかがでしたか?
作中では、息子・春(石塚陸翔)は「パパ、パパ」と言っていて健二との距離も近いのですが、娘の雪穂(梨里花)とはなかなかうまく接することができないシーンも多くて。そんな中、春を演じた陸翔君とは休憩中もできる限りずっと一緒にいて、父としての疑似体験をさせていただきました。仲良くなりましたし、すごくかわいいです(笑)。芝居関係なくキュンキュンするシーンも多くて、子供っていいな、と思いました。
◆健二をどのような人物と捉えられて演じられましたか?
不器用で真っすぐで、一度思い立ったらそこにのめり込んじゃうところがあるのが健二。前向性健忘症(※)という病気を患いながらも、元の性格は変わっていないと思います。これは僕の想像でしかないのですが、病気が発症した前と後とでは、1日1日の向き合い方が全然違うんだろうなと。連続した記憶がないからこそ、1日1日を一生懸命生きるしかないっていう状況になっていると感じました。
僕自身は毎日記憶があって、昨日と今日の区別がつかないくらい忙しいときもあるのですが、彼にとっては昨日がなくて、常に今日を生きているんだということを考えると、不器用ながらも真っすぐに生きていく健二を見て勇気をもらえました。
※前向性健忘症について
受傷した時点を起点にして、以後新しく記憶することができなくなってしまう症状で、日常生活動作は問題なく行えるが、一晩寝ると1日の記憶を全て忘れてしまう症状。
◆前向性健忘症を抱える役柄を演じられる上で、どのように準備されましたか?
いろいろな資料を頂きまして、資料や動画を見させていただいて、前向性健忘症を患っている方々がどのように生活されているかを勉強しました。メモ帳を手放せないような方だったり、毎朝自分がどこにいるか分からない方だったり。でも、僕が見た限りでは、皆さん明るくて、パッと見た印象ではそういう病気を抱えているというふうには見えなかったんです。もちろん全員がそうだというわけではないと思いますし、受け答えがしっかりされている方もいらっしゃれば、ずっとメモを取られている方もいらっしゃいました。困ることもたくさんあるとのことでしたが、街中ですれ違ったり一言会話を交わしたりするくらいだったら分からないくらいの印象でした。
ご病気を患っている方のコメントで、「記憶がないということは自分がないということ。記憶がないということは感情もないということなんですよね」というものがあって。僕らが想像しても到底計り知れないと思いますが、不安や恐怖の中にいながらも、取材を受けたりテレビに出演されたりしているんだ、と。それは感情がないからだとおっしゃってはいましたが、ふと我に返ったとき、何も自分を形取るものがないというのはどういうことなんだろうなとか、明日起きたら記憶がないというのは寝る瞬間どんな気持ちなんだろうなとか、いろいろと考えさせられました。
◆勉強された上で実際に演じられて、役に投影させる難しさはありましたか?
すごく責任のある役だと思ってチャレンジさせていただきました。台本自体に病気に関する描写がある中で、悲観的になるような描き方はせずに、僕が資料や動画を見た中での「朝どこにいるのか分からない」「自分が昨日何をしていたのか分からない」という純粋な気持ちを素直に表現する方がリアルなのかなと思って演じました。そこに僕の感情をのせて脚色しようとはしませんでしたね。
◆演じる上で意識されたことはありますか?
初めての父役ですが、僕自身はまだ結婚もしていないし子供もいないので、家庭を持つ父親という要素は自分の中にはないかもしれないのですが、周りにいる父たちを参考にしました。それと、現場で子供とたくさん接することで、「かわいいな」と守りたくなるような感情が芽生えたので、そういう気持ちを大切にして、本当の息子・娘かのように思う感覚になっていくことが自分にとっての役作りでした。
◆今後演じていく中での指針はありますか?
撮影を続けていく中で、子供たちへの気持ちも強くなってきてしまうと思うんです。でも、1日が切り替わったら健二の気持ちは0に戻るようなものなので、その切り替わりを意識していこうと思います。夜だったら1日の積み重ねやメモを見て入ってきた情報もあるけど、昼だったら、職場にいても初めて見る職場の景色だし、初めて子供たちと住んでいる自分だし…というその違いも出しつつ。毎日が0から始まる健二という特殊な役なので、フラットに、厚みを出さないように演じたいと思っています。
◆最初、健二は子供たちと確執もありますが、そういう点であまり2人と仲良くしすぎない方がいいかなと考えられたりはしましたか?
そう思ったりもしましたが、仲良くなっちゃいました(笑)。2人とも本当に良い子で、親心のようなものが芽生えてきています。まだ1週間しか撮影していないので、生意気言うんじゃないって思われてしまうかもしれませんが…(笑)。でもめちゃくちゃかわいくて。
雪穂を演じる梨里花ちゃんは中学1年生なんですけど、中1ってこんなに大人だったっけ、と思ったり、お芝居もすごくすてきで毎回感動させられます。現場では、雪穂にお芝居で引っ張られたり、雪穂によって自分の感情も生まれます。もちろん子供としてかわいい一面もありますし、役者さんとして、とても信頼できる役者さんだなと思いました。
◆前向性健忘症の父親という役柄を演じられてご自身の意識に変化はありましたか?
人とのつながりや思い出は、自分自身を形成しているものであって、人生そのものでもあると思うんです。でもそれが健二にはなくて。それ自体は悲しいことでもあるかもしれませんが、毎日に対しての向き合い方は誰よりも強いと演じていて感じました。日々の生活で、「健二だったらどうしているかな」と考えると、自分はそこまで大切に日々に向き合えているかなと考えさせられました。
◆NAOTOさんにとっての理想の父親像は?
今までいろいろな作品を見てきた中では、家族を包み込むような包容力や安心感がある父親ですかね。健二に関しては、父親になろうと頑張ってはいるものの、まだ未熟な部分も多かったので、それを役に落とし込むことはしませんでしたが、包容力と安心感というのは理想の父親像として大事なワードなんじゃないかなと思います。
◆視聴者の皆さんへのメッセージ
健二は、前向性健忘症という病気を患いながらも、父親として子供たちと向き合って、不器用ながらも一生懸命父になっていきます。見てくださる方ご自身が“お父さん”という立場ではなくても、1つの目的を達成しようと頑張っている皆さんに、1日1日大切に生きていくということをテーマとして感じていただきたいなと思います。病気が故に、記憶がない中で奮闘している健二の姿を見ていただいて、勇気を受け取ってもらえたらうれしいです。
PROFILE
EXILE NAOTO
●なおと…1983年8月30日生まれ。埼玉県出身。B型。
番組情報
火曜ACTION!『もう一度パパと呼ばれる日』
フジテレビ(関東ローカル)
2023年6月6日(火)深夜0時25分~0時55分
2023年6月13日(火)深夜0時25分~0時55分
2023年6月20日(火)深夜0時25分~0時55分
2023年6月27日(火)深夜0時35分~1時5分
※各話放送終了後、TVer、FODなどで見逃し配信を実施
出演:EXILE NAOTO ほか
プロデュース:宋 ハナ(『風間公親―教場0―』『やんごとなき一族』)
演出:西岡和宏(『風間公親―教場0―』『元彼の遺言状』)
脚本:上田迅(「第31回ヤングシナリオ大賞」2019佳作)
制作:フジテレビ
公式HP:https://www.fujitv.co.jp/mouichido-papa/index.html
公式Twitter:@tue_action_fuji
公式Instagram:tue_action_fujitv
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