飯豊まりえが主演を務めるドラマ『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~)の第6話が、9月17日に放送された。
本作は『101回目のプロポーズ』『高校教師』『未成年』など、センセーショナルな作品を世に送り出してきた野島伸司が脚本を務めるオリジナルドラマ。高校時代の“ある出来事”をきっかけに、10年間ほぼ引きこもり生活を送っていた27歳の黒目すい(飯豊まりえ)が主人公の物語だ。
9月17日に放送された第6話では、すいを中心とした主要人物である高校時代のサッカー部員&元マネージャーの6名が、彼らの聖地“ホントの海”に集結。そこに、すいの彼氏・三島のふりをしている作家の公文竜炎(溝端淳平)と、公文の秘書的存在の来栖芽衣(早見あかり)も加わり、彼らの本音がぶちまけられる展開となった。10年前のすいと雨宮純平(YU)の事故の“ホント”に加え、すいが自身の胸中を初めて吐露するという、印象的な名場面となった。
これまで、事故については当時橋爪リリ子(片山友希)が、キャプテンの城崎健人(濱正悟)を脅し、バイクに細工をしたために起こったとされていた。しかし、真実は別にあったと公文が推測、すると純平が話を切り出した。10年前、ホントの海にて純平はすいに愛の告白をしたかと思われていたが、悠馬(井上祐貴)のことが好きだったため、悠馬の両想いの相手であろうすいに、付き合うのはサッカーの大事な大会の後にしてほしいと懇願していたのだ。
この件で、すいの我慢強さ、やさしさ、口の堅さが全員に明らかになった。抱えていた重い荷を下ろす開放感があったのか、すいは思わず笑い泣き。公文は「安堵です。彼女は墓場まで秘密を守ろうとしたんです」と丁寧に寄り添う。その後、すいは父(陣内孝則)にお願いして自宅を引越したこと、10年間ひきこもっていたので大学も行かず就職もしていないことなど、初めてホントの自分について5人に告白する。最後に、「三島さんは、私の彼氏ではない。その人は私なんか相手にしない人」とつまびらかにした。
三島としての公文は、すいと疑似恋愛をしていたわけで、切ない表情で公文はすいを見つめる。しかしその後、今日をもって三島をお役御免とする決意のまなざしに変化。すいにもそのことを告げると、すいは公文の頬を両手で優しく包み込んだ。三島であれば照れるところを、公文である彼は冷静な反応でただ受け止めるだけ。すいが「好き避けしないの?」と尋ねるが、「くだらない」と公文は一蹴。「三島さんはもう出てこない?」とさらに聞くと、公文は「あなたが消したのに?」と切り返しその場を去って行く。
その日の夜、過呼吸を起こしたすいは、公文に無意識に助けを求め電話する。応じないコールに、すいは「どうしよう、私、好きな人消しちゃった…」とようやく自分の気持ちに気づくのだ。いなくなってから初めて大事な人の存在の大きさに気づくとは、よくある恋愛の王道。しかし、いくら何でもこの展開は切なすぎるのではないだろうか…。10年もの間ひきこもり、これまで彼氏もいなかったすいが生きる活力をようやく取り戻し、激動の日々の中でようやく知った「公文への恋心」。終わったときに知ってしまう恋の味は、すれ違いの究極版といえよう。
すいは公文に対して、「弱い私を引き上げて、こうしてまたみんなに会わせてくれた。すごく感謝しています」と伝えてもいたが、ただの感謝では収まらず慈愛に満ちた想いだったわけだ。生まれてしまった恋の種にこの後、すいがどう行動していくのか。何とか咲かそうとするのか、枯らそうとするのか…どちらも十分にあり得そうだ。
そして、すいの電話を無視した公文はと言うと、謎の美女・アガサ(白石聖)の元で親密なムードを漂わせていた。アガサとは公文の代表作「死にたがる彼女を1000回救う」に登場する、何度でも死にたがる主人公と同じ名前なわけだが、二人の関係は何も明かされていない。バイク事故が解決したと思ったら、さらなる秘密が顔を覗かせる。まったくもって安心させてはくれない、一筋縄ではいかないドラマだ。
番組情報
『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~
番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/nanuma/
●text/赤山恭子
©ABCテレビ