飯豊まりえが主演を務めるドラマ『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~)の第8話が、10月1日に放送された。
本作は『101回目のプロポーズ』『高校教師』『未成年』など、センセーショナルな作品を世に送り出してきた野島伸司が脚本を務めるオリジナルドラマ。高校時代の“ある出来事”をきっかけに、10年間ほぼ引きこもり生活を送っていた27歳の黒目すい(飯豊まりえ)が主人公の物語だ。
10月1日に放送された第8話では、すいの行動に心を揺さぶられた様子の視聴者が続出。高校時代のバイク事故がきっかけで転校し、以来10年間“こもりびと”として生活していたすい。そんな彼女が、公文(溝端淳平)の妹で、現在病院に収容されているアガサこと蕾(白石聖)を助けようと自らの意志で動いたのだ。
これまで感情を表に出してこなかったすいが自分の意見を主張し、たとえ出過ぎた真似だと言われようともやり遂げようとする姿は、引きこもりのときとはまるで別人。自分の人生を生きようとし始めたひとりの人間として、とてもまぶしく映った。
すいが蕾を救いたいと思ったきっかけは、10年前の事故の際、たまたま車で通りがかった公文が自分たちを助けてくれたことをフラッシュバックで思い出したことだった。公文は手を貸してくれたばかりか、その後もずっとすいのことを見守ってくれており、父・丈治(陣内孝則)との共同連載もその一貫であったのではと推察したのだ。すいは自分でもできることがあるのではないかと決意し、蕾の元へ向かった。
そして、編集長の久美(シシド・カフカ)を説得し、蕾とついに面会したすい。結果、蕾はおびえて発作を起こしてしまうのだが、すいは諦めずに「私が友達になる。ひとりじゃない。一緒に外に出てみない?」と寄り添いながら距離を縮めようと試みる。その様子をモニターで見ていた公文は取り乱し病院に直行、その後すいと2人で話すことになる。
公文は「かわいそうな妹」をモチーフに書いた小説でベストセラー作家となり、その十字架を背負うことで自分の気持ちをやり過ごし、日々を送っている。いっぽう、その小説こそ引きこもり生活の支えにしていたのがすい。公文がある種、よりどころにしているきょうだいの呪縛をすいが解こうと奔走しているのだ。
野島はこれまで、『高校教師』では先生と生徒という悲恋を、『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』では片思いの連鎖という悲恋を、『リップスティック』では少年院教官と収容生という悲恋を、その時代を映すような刹那を描いてきた。本作では、作家と読者、さらには数奇な運命を持つ者同士というまた新たな境地に挑戦しているように感じる。「何かを犠牲にして成功を収める」という公文の作家としての矜持のせりふに、野島の気持ちが乗っているようにも見えた。
そして、8話の最後ではサイン会の会場で公文が、アガサのコスプレをした熱狂的なファン(山之内すず)にナイフで襲われるという急展開も起こった。このまま悲劇の終焉に進んでしまうのか、それともサプライズ的なエンディングが起こるのか。かたくなな公文の心がすいの10年ぶりの行動によって変化を見せる、そんなラストを期待したい。
番組情報
『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~
番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/nanuma/
●text/赤山恭子