菅野美穂が主演を務める木曜ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日系 午後9時~9時54分)の第2話が、10月26日(木)に放送。それに先駆け、第2話の試写レビューを送る。(※ネタバレを含む)
今年の「第27回手塚治虫文化賞」で頂点となる「マンガ大賞」に輝いた入江喜和の「ゆりあ先生の赤い糸」(講談社)を、菅野美穂主演で連続ドラマ化した本作。かつてない地味でタフで明るい“踏ん張るおっさん主婦”ヒロインが、目の前に突然現れた夫の彼氏、彼女、隠し子と奇妙な同居生活を開始。時にぶつかり合い、時に手を取り合い、みんなで意識不明状態となった夫の介護にいそしみながら、これまで想像もしなかった数奇な人生と血のつながりを越えた“家族”の絆を編み上げていく。
第1話では、穏やかだった主人公・伊沢ゆりあ(菅野)の人生が、物語冒頭から高速急転。夫の吾良(田中哲司)が唐突に昏睡状態に陥り、ゆりあが病院に駆けつけると、そこには吾良の友達を名乗る美青年・稟久(鈴鹿央士)の姿が。しかし、実は友達ではなく、後に彼氏であることが判明。その後は吾良を自宅で介護し始めるもトラブルが続発し、なんとラストでは吾良を「パパ」と呼ぶ幼き姉妹・まに(白山乃愛)とみのん(田村海夏)までもが家を訪ねてくる事態に。
そして、今夜放送の第2話の冒頭は、稟久に対する「本当にうちのと付き合っていたんですか?」というゆりあの問いかけから、吾良と稟久のなれそめが描かれる。偶然立ち寄ったバーで出会い、互いに好きな映画の話題で意気投合し、紆余曲折を経て結ばれるまでの2人の軌跡だ。稟久が吾良に向けるあまりに真っすぐでかわいらしい表情は、愛する妻がいながら稟久にひかれてしまった吾良の気持ちが分かるほどに魅力的で、ついその瞳に引き込まれてしまう。
しかし、稟久の魅力は外見の美しさのみならず、ゆりあ同様に吾良への愛と芯の強さが見えるところだ。自身の愛を証明すべく、吾良の介護のためにゆりあの家を毎日訪れることを約束しただけでなく、吾良の愛人と隠し子かもしれない存在が発覚し、「離婚を考えている」というゆりあに「逃げるんですか?」「僕らは運命共同体みたいなもの」と一喝する場面も。
その後、ゆりあは動揺しつつも、まにとみのんと共に、彼女たちの母で現在入院中のみちる(松岡茉優)の元を訪れる。みちるは弱々しくも「吾良さんは悪くないんです。全部私のせい」とゆりあに訴え、関係性は明らかにせずとも吾良との間に何かがあったことをその口ぶりから匂わせる。そして、その表情からはどこかあざとさが感じられ、内心何を考えているのだろうとこちらの想像を掻き立てるのだ。
しかし、みちるが姉妹を預けるべく別居中の夫・源(前原滉)に電話をしようとすると、まにはそれをかたくなに拒否。源がみちるに暴力をふるっていたことが判明し、ゆりあは姉妹を自らの家で預かると申し出る。演じる菅野は以前ゆりあのことを「旦那さんのオムツも変え、愛人の子供のオムツまで変えるというのは、よっぽどの人」と称賛していたが、吾良も第1話で語っていたように、ゆりあはまさに“おっきな人”である。
また、そんなみちると吾良の過去の一部分も描かれるが、見えてくるのはどれだけ吾良がいい人なのか、優しさを周囲に分け与えられる人であったのかということ。ゆりあにとってはカオスなこの状況を招いた元凶だが、夫婦がこれまで結んできた強固な絆から突き放せず、普段は強くありながらも時に現状を受け入れきれずに葛藤し涙するゆりあの姿を見ていると、どうか幸せになってほしいと胸が締め付けられてしまう。
そんな中、義母の節子(三田佳子)が階段を踏み外してしまうアクシデントが発生し、ゆりあは以前も世話になった便利屋の伴(木戸大聖)に階段に手すりを付けてもらうよう依頼。やがて自宅のチャイムが鳴り、伴が来たのかとドアを開けると、そこにはみちるの夫・源が。「家族を横取りされた」と吾良への怒りを爆発させる源を必死に抑え込むゆりあだったが、そこに伴が颯爽と現れその場をスマートに鎮静化する。
さらに、震えが止まらないゆりあに気づき「大丈夫です」とそっと声を掛ける、伴の姿はまぎれもなくヒーロー。伴はゆりあに恋心を抱いていくキャラクター設定だが、この日を経て、伴の思いにじわりと火が点いたのではないかと感じられるシーンだ。おそらく自身の母親ほど年の離れたゆりあだが、伴が彼女に向ける視線には、既に優しさだけではない思いが込められているようにも見える。
節子をはじめとするクセの強い伊沢家の家族をはじめ、稟久やみちる、伴など、第2話の時点で既に夫婦を取り巻く個性あふれるキャラクターたちが続々と登場し、予想のつかない展開が繰り広げられていく。彼らにつながる“赤い糸”は果たしてどこまで広がっていくのか、今後の展開も見逃せない。
番組情報
『ゆりあ先生の赤い糸』
テレビ朝日系
毎週木曜 午後9時~9時54分
番組公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/yuriasensei/