齊藤京子(日向坂46)が初の単独主演で挑む、新進気鋭の漫画家・伊奈子の『泥濘の食卓』を初ドラマ化した本作。齊藤演じる主人公・深愛はアルバイト先の妻子あるスーパーの店長と禁断の恋に落ちるが、純粋すぎるがゆえにまっすぐなその愛はやがて度を越えていき…。店長だけでなく、その息子や妻にまで近寄り、徐々にこの家族へと寄生。やがて泥濘へと引きずり込んでいく、かつてない“パラサイト不倫”を描く物語だ。
そんな本作で原菜乃華さんが演じるのが、店長(吉沢悠)の息子・ハルキ(櫻井海音)に思いを寄せ、異常なまでの執着を見せる幼なじみのちふゆ。バレンタインには自身の髪の毛入りのチョコレートをプレゼントしたり、“ハルキはレイプ魔”と嘘のうわさを流して周囲から孤立させるなど、自分だけのものにすべく“恋愛モンスター”ぶりをおおいに発揮し、毎回視聴者を震撼させている。
今夜の第5話では、ハルキの好きな人が深愛であることに気づいたちふゆが大暴走。予告映像では、ちふゆが取り乱しながら2人に襲いかかるだけでなく、階段を転がり落ちていく衝撃のシーンが…。そんな同回を前に、TV LIFE webでは原さんにインタビュー。原作に感じる魅力やちふゆの役柄について、演じるに当たっての思いなどを聞きました。
◆原作を読んだ際に感じた印象は?
原作は出演のお話をいただいてから読んだのですが、個人的にどタイプな作品で、「出合わせてくださってありがとうございます!」と感謝の気持ちでいっぱいになりました(笑)。深愛をはじめ、登場人物全員が歪んでおり、それぞれの黒い部分が描かれるのがとても面白くて。また、深愛がしっかり不気味でゾワッとする行動をしているにも関わらず、表情が少女漫画の主人公のようにかわいらしくて、そのチグハグ感も怖さをさらに引き立てているんです。このような作品は見たことがなかったので新しさを感じますし、アンバランスさからくる違和感もこの作品の魅力だと思っています。
◆ちふゆはこれまで原さんが演じてきた役、そしてご自身のイメージとは掛け離れている“悪女”ですが、この役のオファーを受けた際の心境は?
本当ですか? 私にとってはまるでご褒美のような役柄で、オファーを頂いた際は「待っていました!」と言わんばかりにうれしかったです(笑)。また、自分が演じるということを抜きにしてもこの作品ではちふゆが一番好きなキャラクターなので、早くクランクインしたいな、とワクワクが止まりませんでした。どこまでどのようなことができるのか、というのは日々監督やスタッフさんにご相談しながら楽しくやらせていただいています。
◆原さんはそんなちふゆをどのようなキャラクターだと捉えていますか?
愛の形こそ歪んでいますが、根本はとても真っすぐな子だと思います。家庭環境的に欲しいものは全て与えられてきたと思うので、ハルキが手に入らないことが許せず、おもちゃ欲しさに駄々をこねる子供のように躍起になっているといいますか…。ハルキのことを好きな理由はきちんとあるはずなのですが、今となっては恋愛感情だけでなく、もはや執着やエゴが大きいのかなと思っています。
◆ちふゆを演じるに当たり、監督やスタッフの方からはどのような言葉を?
顔見せの時に台本を読みながらお芝居をさせていただいたのですが、その時に監督が「すごく良かったので、原さんの好きなように楽しんでやってください」と言ってくださって。それがとてもうれしくて、今も励みになっていますし、皆さんの期待以上のものを体現できるよう臨んでいます。これまではストッパーを掛けがちで、なかなか思い切ったお芝居ができなかったのですが、今回は「抑えて」と言われたらストップするくらいでいいのかな、と。役柄もあり、思い立ったことはひとまず何でもやってみようと思っています。
◆原さんから見た主人公・深愛というのはどのようなキャラクター?
那須川さんのことを思って行動する深愛を見ていると、誰にも触れてほしくない、心の奥の奥のほうの黒い部分に手を突っ込まれたような感覚になるんです。私はあそこまで八方美人にはなれませんが、人から好かれたい、嫌われたくない…という気持ちは分からなくもなくて。ただ、深愛の感情に共感する瞬間というのは、普段自分が見ないふりをしている弱さを認めることでもあって、そういう意味では共感している自分に落ち込むこともありますね(笑)。
◆最後に、本作のアピールをお願い致します。
このドラマは全員がどこか歪んでいて、ヒューマンホラーでもあると思っています。ただ、どの愛もいびつに見えて実は真っすぐでもあって、そこが魅力でもあるのかな、と。見ていると自分まで泥濘にハマっているような感覚になったり、時に心臓がヒュッとしたりもするのですが、先が気になって仕方がなくなる不思議な魅力のある作品だと思うので、ぜひ今後もハラハラドキドキしながら楽しんでいただけたらうれしいです。
ANOTHER TALK
◆日々の生活の中で“泥濘”にハマってしまった時の解消法は?
睡眠です。起きていてもろくなことを考えないので、そういう日は早く寝ることにしています(笑)。どうしようもないことをぐるぐる考えて、底の底まで落ち込んでしまうことがあるので、考えることをいったん止めますね。
◆“泥濘”にハマるように夢中になっていることは?
好きなアニメのキャラクターのアクスタ(アクリルスタンド)を集めること。いつもつい買ってしまい、部屋にアクスタコーナーがあるほどなのですが、いい加減抑えていかないと…と思っています(笑)。
PROFILE
原 菜乃華
●はら・なのか…2003年8月26日生まれ。東京都出身。A型。映画「ミステリと言う勿れ」が現在公開中。大河ドラマ『どうする家康』にも千姫役で出演。
番組情報
土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』
テレビ朝日系
毎週土曜 午後11時30分〜深夜0時
番組HP:https://www.tv-asahi.co.jp/nukarumi/
●text/片岡聡恵