『FFXIV』の名曲をピアノとバンドアレンジで体感!聞き比べられるだけでも満足度が高い『Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV ~ Arrangement Album ~』レビュー

音楽
2023年12月15日
『Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV ~ Arrangement Album ~』
『Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV ~ Arrangement Album ~』

『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)のピアノ&バンドアレンジ楽曲を収録したアルバム第5弾『Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV ~ Arrangement Album ~』が、2023年11月29日(水)にリリース。本アルバムには、EXTRA TRACKSを含む全19曲の楽曲が収録される。本稿では、曲順からこだわっていると感じた本アルバムの感動ポイント、聞き比べる楽しさを中心にレビューする。

「Flow」で始まり「Flow Together」で締めくくる

『Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV ~ Arrangement Album ~』は、「PIANO COLLECTION」と「BAND ARRANGEMENTS」で構成され、「PIANO COLLECTION」はピアニスト・アレンジャーとして活躍し、声優・早見沙織のオーケストラコンサートの音楽監督なども担当したKeikoがアレンジ・演奏を担当。一方の「BAND ARRANGEMENTS」は、『FFXIV』サウンドディレクター・祖堅正慶を中心に結成されたオフィシャルバンド「THE PRIMALS」がアレンジと演奏を担当している。

EXTRA TRACKSを除く13曲は、ゲーム映像とアーティスト映像を切り替えることが可能。アーティスト映像は、このアルバムのために全曲新規ミュージックビデオを撮影したものだ。

筆者がまず「さすが!」とうなったポイントは、トラックリストの曲順。「PIANO COLLECTION」は、物語と共にピアノの美しい旋律とボーカルの儚い歌声で涙を誘った「Flow」からスタート。一方の「BAND ARRANGEMENTS」は「Flow」のアレンジバージョンで『暁月のフィナーレ』EDで流れた「Flow Together」で締めくくられる。

こういった物語を追体験しやすい構成は、光の戦士(『FFXIV』プレイヤーの愛称)にとってもうれしいポイントであり、曲順が決まっているアルバムならではの楽しみ方ではないだろうか。また、「Flow」「Flow Together」共に、Amanda Achen(アマンダ)がボーカルを務めているが、表現が少し違っているようにも感じた。楽曲による差を見つけたくなるのも、本アルバムの特徴のひとつと言えるだろう。

ピアノ・バンドアレンジの差を体感し音楽の魅力を再発見

さらに、月神・メネフィナ戦のBGM「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」やナルザル戦で流れる「命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~」などは「PIANO」と「BAND」どちらのアレンジサウンドも収録されており、聞き比べるだけで楽しい。ストリングスの旋律が美しい「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」の原曲は、「PIANO」アレンジでは軽快でリズミカルな曲調に。一方の「BAND」アレンジでは、バンドメンバーたちの雄々しい歌声とデジタルサウンドで熱い楽曲に仕上がっていた。

「命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~」の「PIANO」アレンジはインストverに加え、EXTRA TRACKSにアマンダのボーカル入りverも収録。エスニックな雰囲気がある原曲を、自然と体でリズムを取りたくなるサウンドにアレンジしている。「BAND」アレンジでもエスニックな音色を随所に残しつつ、バンドサウンドに編曲。どこか希望を感じられるようなサウンドが印象的だった。

原曲との違いや、ピアノ・バンドアレンジそれぞれでの差を聞き比べられるのも、本アルバムの醍醐味。同じ楽曲でもアレンジでこんなに印象が変わるのかと、音楽の面白さを再発見することができた。

その他、個人的に印象的だったのが、EXTRA TRACKSに収録されている「知恵の巻貝 ~オールド・シャーレアン:夜~ (Acoustic Version)」。アコースティックギターとボンゴなどの音色は、聞いているだけで心が安らいでくる。年末に近づき、原稿に追われて大変な日々が続いていたが、曲を聞いていると夜の落ち着いた様子が自然と思い浮かんできて、穏やかな気持ちになった(決して現実逃避ではない)。

サブウーファーの低音がいい仕事をしている

本アルバムには、2chから「PIANO COLLECTION」は5.0ch、「BAND ARRANGEMENTS」は5.1chの音源に切り替えて楽しめる機能も。「PIANO COLLECTION」はピアノの近くで聞いているような「ニアVer.」と、客席で聞いているような「ファーVer.」の2種類がある。筆者が体験してみたところ、「ファーVer.」はコンサートホールで客席に座って聞いているような響き方になると感じた。

また、「BAND」の5.1chは、サブウーファーがいい仕事をしていて、バスドラムやベースの低音がズシっと体に響く。特に8ビートが印象的な激しいバンドサウンドの「White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」では、その差を体感しやすいのではないだろうか。惜しまれるのは、自分自身の視聴環境。サウンドバーやもっといいサウンドシステムがあれば、さらに臨場感あふれるサウンドを楽しめたことだろう。

その他、本アルバムにはJason Charles Millerをゲストボーカルに迎えた楽曲も収録。さらに、封入特典としてゲーム内アイテム「オーケストリオン譜」2点を入手できるアイテムコードも付く。

『FFXIV』の名曲の数々をピアノ・バンドアレンジで楽しめる本アルバム。公式サイトに記されている「旅の終わりと明日への一歩」というキャッチをまさに体感できる一枚であった。

●text/M.TOKU

商品概要

『Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV~ Arrangement Album ~』
2023年11月29日(水)発売
仕様:Blu-ray Disc1枚
価格:4,400円(税込)
封入特典:オーケストリオン譜「命の天秤(Amanda Achen Vocals)」「月満ちる夜(Forge Ahead: Band)」2曲分のアイテムコード封入

【トラックリスト】
〈PIANO COLLECTION〉
1.Flow
2.ハピネスキャロット ~楽園都市 スマイルトン~
3.古の御空 ~エルピスメドレー~
4.月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~ (Instrumental)
5.迷宮 〜ラヴィリンソス:昼〜
6.黒闇と黒鉄 ~ガレマルド:夜~
7.命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~ (Instrumental)
〈EXTRA TRACKS – PIANO〉
1.月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~ (Amanda Achen Vocals)
2.命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~ (Amanda Achen Vocals)
〈BAND ARRANGEMENTS〉
1.月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~
2.Close in the Distance
3.此処に獅子あり 〜万魔殿パンデモニウム:辺獄編〜
4.To the Edge
5.White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
6.Flow Together
〈EXTRA TRACKS – BAND〉
1.知恵の巻貝 ~オールド・シャーレアン:夜~ (Acoustic Version)
2.命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~
3.Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
4.Athena, the Tireless One ~万魔殿パンデモニウム:天獄編~

「Forge Ahead: FINAL FANTASY XIV~ Arrangement Album ~」商品HP
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/ForgeAhead/

© SQUARE ENIX

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