川栄李奈が主演を務める水曜ドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系 1月10日(水)スタート 毎週水曜 午後10時~11時)より、脚本のオークラと内田秀実監督の特別インタビューが到着した。
本作は現役医師のベストセラー作家・知念実希人による同名小説が原作。バナナマンや東京03をはじめ数多くの芸人と共にコントを作り上げ、人気ドラマも手がける脚本家・オークラが仕掛ける、一癖も二癖もある病院ライフエンタメドラマだ。
医者でもなければ看護師でもない、だけど一番近くで患者に寄り添い、患者の心を救う医療現場の縁の下の力持ち…それがナースエイド(看護助手)。医師免許も看護師資格も持たないため、入院患者の食事や風呂の介助、着替えのサポートやシーツ交換など、あくまで身の回りのお世話が仕事。
GP帯連続ドラマ初主演の川栄が新米ナースエイドの桜庭澪を演じ、高杉真宙が物語の舞台となる星嶺医科大学附属病院統合外科の天才医師・竜崎大河を演じる。
このたび、放送スタート記念企画として、脚本を担当したオークラと内田秀実監督による対談インタビューが到着。コメディ、医療、サスペンス要素など、多面的な魅力を持つ本作の見どころや、川栄・高杉など俳優陣の魅力について熱く語る。
脚本・オークラ×内田秀実監督 特別インタビュー
◆お2人ともバラエティ番組の世界での活躍をされてきましたが、今回のドラマ『となりのナースエイド』で脚本の方向性はどのように詰めていったのでしょうか?
オークラ:なんとなくで“コメディドラマ”って言ってしまうと、「まあだいたいこんな話なのかな」って色付けされてしまって、同じような時間に同じようなコメディやって、あんまり視聴者を裏切らないおなじみのドラマって感じになってしまうので、いかに違和感を残せるかというところを最初にみんなで話をしました。その違和感が「なんか引っかかる感じ」だとバランスが悪くなる可能性もありますが、それが「すごく楽しくて不思議な感じ」になってくれればいいなって思っています。
これだけたくさんのドラマが作られているので“こうすりゃ当たる”“こうすりゃミステリーっぽくなる”“こうすりゃコメディっぽくなる”って、なんとなくの法則はあるような気がするんですけど、それに当てはめすぎてしまうと、やはり“おなじみのもの”を見ている感じになってしまうし、起承転結で「だいたいこの辺で事件が起きて…」という流れもできれば無視したほうがいいのかなと思っていて。「こういう流れだったのに急にこうなった」とか、どちらかというと、これまでの流れを破壊する方向で考えたりしてるんですよね。かといってあんまりやりすぎると気持ち悪いんですけどね。
内田:初期の頃からオークラさんとお話させていただいていたのは、「コメディかと思って見ていたらいきなりサスペンス、サスペンスかと思っていたらやっぱりコメディ」みたいな、コメディとサスペンスが共存する世界観というか、すべてひっくるめてそれが楽しくなるように、あえて振り幅を思いっきり振り切った感じ、ですかね。どうしたらそれが実現できるかというところも含めていろいろみんなで考えました。
僕は東京03さんのライブなども見に行かせてもらって感じたんですが、オークラさんの笑いって、その登場人物だからこそ言える・できる面白いことだったり、その人の本質に基づいた笑いだったりして、言葉を選ばずに言うと、とにかく分かりやすくて楽しいんですよね。それをなるべくそのままこのドラマでも伝えられればいいなと。
◆このインタビューの前に、特別に台本を楽しく読ませていただきました。オークラさん、進行の状況はいかがですか? (インタビューは2023年末)
オークラ:僕は今ちょうど8話の脚本を書いているところですね。撮影現場については「どうですか」って聞くくらいで、お任せしています。
内田:逆に現場から脚本にリクエストというのも特になく、「面白いですよー」って伝えるくらいです。
オークラ:ウソかホントか、そういう情報だけは来ます(笑)。
内田:最初はどうしても探り探りだったりするんですが、オークラさんに書いていただいているせりふのやりとりがすごく面白いので、皆さん楽しく演じながら、カットがかかったら笑い合ってたり、すごくいい雰囲気の中で進んでいます。
◆キャラクターについてはどのように進めていったのでしょうか。
オークラ:原作のキャラクターを生かしつつ原作にいないキャラクターも考えるんですが、まだキャストがすべて決まる前は、「こんなキャストの人がいたらいいなあ」って架空の想像の中で書いていました。役者さんが決まると、その役者さんっぽさを意識しながらせりふを書いていきますね。
結果、すごく芸達者な方々が集まったなと。そうなると、この方はもうちょっとグイグイいってもいいかなとか、この方は控えめな方がいいのかなとか、そういう感じが出てきますね。特に第1話に登場する梶原善さんは、昔からよく一緒にお仕事させていただいてるんですが、善さんに決まったと聞いて、「善さんだったらもう1回登場させたいなぁ」とか考えたりしますね。
◆バラエティ番組のプロフェッショナルである内田さんが演出を務めることについてどう感じていますか。
オークラ:柔軟だなと思いますね。もちろん人にもよるんですが、ドラマにはどうしてもルールがありますし、「ここはやっぱりこうだろう」っていう定型みたいなものもあるんですけど、バラエティ番組を経験されてる方、特にこのドラマのチームの方々はそのあたりの感覚がとても自由な気がしますね。楽しいものを作ろうという空気を感じています。あと、「どうすれば伝わるのか」という点もすごく意識されていて、バラエティの方ってその場その場で伝えることにすごくたけていて、すごいなと。
内田:僕は日本テレビの中でもわりといろいろな番組やさまざまなクリエイターさんたちとお仕事をさせてもらってきたんですが、『踊る!さんま御殿!!』『世界一受けたい授業』『世界の果てまでイッテQ!』『ヒルナンデス!』とか、同じバラエティでも全部毛並みが違うし、表現方法も違うし、面白いと思うことも違うんですよね。ただ、“分かりやすく伝える”という点は共通。それがベースにないといけないというのがバラエティで学んだことで、その感じをドラマをやりながら今も持っているので、分かりやすさが大前提なんです。オークラさんも先ほどおっしゃってましたけど、「そこに引っかかるとか」とか「気になる」とか、そこを僕の中でも大事にしなきゃいけないんだろうなと。テレビドラマでは、“きれいな画を撮ること”や“美しい世界を描くこと”とか、それももちろん大事なんですが、僕はそこがあまり得意ではなくて、どちらかというと“分かりやすく”かつ“気になる”、そこがずっと真ん中にあります。
◆ドラマに対する情報や昨今のSNSでの反応についてどう感じていますか。
オークラ:ネットに書いてることも見ますよ。ただ、ネットの反応については、ドラマリテラシーが高すぎるというか、「ドラマはこうじゃなきゃダメ」「こういうものを描かなきゃいけない」とか、ドラマへのこだわりが強い方々が集まってるのかなとは感じます。だからといって、そういうのをやりすぎてもいけないですし、ちゃんとこちらが面白いと思ってることを親身に出せればそれはそれでいいのかなと思っていて。多少の分析は必要ですが、10話という短期決戦の中ですから、これが面白いんだってものをひとつたたき出せたら。
内田:演出としてはそこまでSNSを意識していないかもしれないですね。ドラマは圧倒的に1人で見ている方が多いのでSNSで共有されているという構図がありつつも、家族で見ている方々にとってはそれが会話になっているだけという感じで。個人的には先ほど言った「気になる」とか「引っかかる」とか、そういうことが一番大事だと思っているので、会話が起こりやすいものにしたいなと。“気になる”という意味では、“いろんなことを思う画”を僕は好みがちかもしれなくて、例えば、ある出演者さんの場合、すごく引いた画よりも寄りを見せたほうが、「この人の目がきれいだね」でも「鼻がきれいだね」でもいいんですけど、ストーリー以外の部分で会話が起こりやすいんじゃないかなって考えますね。
◆今回は、現役医師のベストセラー作家・知念実希人の小説(昨年11月に発売)が原作。原作があるドラマの脚本を書く上で意識していることは?
オークラ:いろんなタイプがあると思うんですが、例えば漫画が原作だと、キャラクターへの愛が深いファンが多いので、キャラクターを変えるということにネガティブな反応が大きいこともありますよね。でもこのドラマの場合は、小説の発売とほぼ同時進行的に始まっているので、展開やミステリー要素がどうドラマ化されるのか原作ファンの方は気になるかなという点は意識しているんですが、登場人物については少しこちらで作らせてもらうという作業ができたので、漫画原作などの作品と比べるとちょっと違うというか、こういう作り方は初めてかもしれなですね。また、10話分の話なので、小説そのままというよりも、少しスピード感のある展開にするために原作とは違う部分を作っていかないといけないというのもあります。
先生とも2回ほどお会いしたことがあって。ドラマについて先生からのリクエストもありました。先生なりのこだわりや、病気や医療についても教えてもらったり、僕らが「こういう病気ってあるんですか」って聞いたらすぐ教えてくれたり。さすが、医者でもあり小説家でもある方ってすごいなって思います。
◆“ミステリー要素”の特徴的な予告の出し方について、どのような意図がありますか。
内田:それについてはオークラさんとも議論しましたね(笑)。どちらかというと最初はミステリー要素をまったくにおわせないって話で進んでて。「これはコメディです!」って最初からPRして、一切ミステリーの部分に触れず、最後に裏切ろうかって話とかもしましたね。でも最終的にはPRも含めて、「単なる医療コメディではないよ」って部分をちょっとだけにおわせようかと。
オークラ:最近なんかこう体感的にですが、見る側の“確認作業”があるなと。特にテレビみたいな不特定多数の方がいる場合、いわゆるミスリードしといて裏切るってパターンに対して、「そういうことじゃない」って反応が増えているイメージがどうしてもあるので、みんなで話し合った結果、それならちゃんと「こういうことがありそう」という方向でいこうと。これまでいろんな作品で「そうじゃないんだよ」って言われてコケたりもしましたしね(笑)。もう今や予備知識があった方がいいのかなって。映画だって「ラスト5分大どんでん返し!!」ってPRして、みんな大どんでん返しを見に行くわけですよ。僕自身、映画「君の名は。」が好きなんですけど、“入れ替わり”って、いわゆる大林宣彦監督作品とか昔からあるテーマで、“でもそれだけじゃ済まないですよ”みたいな触れ込みの宣伝が確かあって、で、見たら、ほんとにそれだけじゃないんだって裏切りが2回くらいあったんですよね。それはすごいなって思いました。「大前提にこういうことがありますけど、果たしてそこで終わるかな」っていうのが今っぽいのかなと。なので、このドラマも予告を見ても「ネタバレ」って思うようなレベルでは終わらないです。
◆桜庭澪役を演じる川栄李奈さんの印象は?
オークラ:とにかくすごいんですよ。初めての本読みのとき、彼女だったらこう仕上げるんだろうなと思っていたイメージにすごく近い形に作り上げてきてくれて。すごく才能のある人だなと思いました。行間を読む力もありますし、なかなかいそうでいない女優さんですね。
元々、川栄さんが出ているドラマを見て「上手な人だな」とは思っていたんですが、バラエティで川栄さんと絡んだ僕の知り合いたちからの評判も非常によかったですし、芝居も上手だといううわさもあって、コメディもきっと上手なんだろうな、1回やっていただきたいなと思って、舞台「東京03 FROLIC A HOLIC 『何が格好いいのか、まだ分からない。』」(2018年)の出演をお願いしたんです。そのとき川栄さんすごく忙しくて、稽古に1日しか来られないと。さすがにみんな、大丈夫かなって不安な気持ちもあったんですが、来た瞬間、すごいんですよ。台本も覚えてましたし、1回通しただけで、はいもうそれで大丈夫ですっていう芝居をしたんですよ。天性の才能なんですかね。すごく頭のいい人だなって感じます。あまりうかつなことが言えないです(笑)。
内田:オークラさんがおっしゃったように、現場でも素晴らしいなって思うことばっかりなんですけど、とにかくせりふを覚えるのがめちゃめちゃ早いんですよね。台本1冊を1日で覚えちゃうみたいな。ほんとにビックリです。1話、2話の撮影中に6話を覚えてましたよ(笑)。このドラマって長いせりふが出てくるんですよ、1話は特に。だけど、何テイクしても1回もかまないんです。恐ろしいですね、すごいなと思います。本番前は、共演者の方と普通に談笑してたりするんです。だけど本番になると、なんの練習もせずに、とんでもないせりふ量を一発で、完璧に。その前に必死に覚えてる感じも全然ないんですよね、どこでこれ覚えてきたのかなっていうくらい。
◆竜崎大河役を演じる高杉真宙さんはいかがでしょうか。
内田:オークラさんの書かれている竜崎大河は、医療ドラマとかでよくあるクールなタイプとはまたちょっと違って、いい意味でクセが強かったり、ちょっと面白い部分もあったりするので、そこが難しい役だなと僕は感じているんですが、高杉君もすごくのみ込みが早くて、川栄さんと掛け合いをしているうちに自分の中にふに落ちて、形になって来ている感じなんじゃないかなと思っています。
オークラ:高杉君とも1回お仕事をご一緒したことがあって、非常に芝居の上手な方だなと。クールな孤高の一匹狼のキャラって、つっけんどんなステレオタイプって想像しがちですけど、大河はそこまで悪い人でもいないし、人の命も助けたいと思ってますし、根は熱いところもあるんですよ。受け入れるところは受け入れるとか、より人間くさい感じにしたいなと。想像できるキャラには納めたくなかったので、かわいらしさや人らしさもあるというのは意識して作ったつもりです。
◆ほかの出演者さんについて見どころは?
内田:吉住さんの魅力を伝えたいです。めちゃめちゃ面白いです。
オークラ:そうですね。吉住はコントや芝居にたけてる魅力的な俳優の一面があるんですよ。ドラマって、よく見る人で固まりすぎてるときもあるじゃないですか。だけど、あんまり見たことない人が出てくると、「誰?」ってなりますよね、例えば最近だと『VIVANT』(TBS)の“ドラム”みたいに。外国のドラマもそうですけど、知らない俳優さんだと感情移入もしやすい。そういう意味ではキャスティングにも面白い要素があると思います。
◆最後に、1話の見どころをお願いします。
オークラ:“そうなるのかなと思いきやそうならない”という展開を意識して書いたので、いろんな意味での裏切りを楽しんでもらいたいですね。
内田:“コメディかと思ったらミステリーサスペンス”というところを楽しみつつ、翻弄されながら見ていただくととても面白いんじゃないかなと思います。
オークラ:出演者全員演技レベルが高いので、やりとりのテンポ感も楽しいと思いますし、会話劇としても非常に楽しめると思います。大きい笑いというより細かい笑いがいっぱいちりばめてありますね。
内田:ナースエイドのお仕事について、1話はかなりリアルに見せています。病院にお世話になるとき一番近くにいるのが実はナースエイドさんで、大変なお仕事なんですが、なかなかフィーチャーされないので、ナースエイドさんについて皆さんが知りたいこともたくさん詰まっていると思います。
番組情報
水曜ドラマ『となりのナースエイド』
日本テレビ系
2024年1月10日(水)スタート
毎週水曜 午後10時~11時
原作:知念実希人「となりのナースエイド」(角川文庫)
脚本:オークラ
音楽:井筒昭雄
チーフプロデューサー:松本京子
プロデュ―サー:藤森真実、藤村直人、森雅弘、白石香織(AX-ON)、島﨑敏樹(泉放送制作)
演出:内田秀実、今和紀(泉放送制作)
制作協力:AX-ON、泉放送制作
製作著作:日本テレビ
番組公式HP:https://www.ntv.co.jp/tonarino-nurseaid/
Instagram&X(旧Twitter):@tonari_ntv
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