お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、あの大ヒットドラマとベッキーさんの話。(TVLIFE 2024年1月31日発売号より転載)
全部見終わってから発信するベキ
いやーそれにしても面白いですね、VIVANT。
いきなりなにを今さらと思われるかもしれないが、年末年始の連休を利用して去年話題になっていたドラマ作品を片っ端から見たので僕にとってはとてもホットな話題なのだ。別にリアルタイムでも見ようと思えばぜんぜん見れる時間はあったけど、世間があまりにも沸いている様子を目の当たりにするとなかなか食指が動かなかった。こういう天邪鬼な性質って大人になったらなくなっていくもんだと思っていたけど今もなお健在である。
そんなこんなで遅れて視聴したVIVANTがおもしろいという旨をSNSで発信したところ、ベッキーさんから
「おそ!ベキより」
という返信をいただいた。ベッキーさんとは僕がほとんどテレビに出ていない超若手時代にめちゃくちゃ勇気あるスタッフさんが僕をフジテレビの新ドラマ番宣番組のMCにキャスティングしてくださった時に共演させてもらい、そのバラエティ力と懐の大きさに感服した。それ以降まだご一緒できていないのにも関わらず僕が出たラジオ番組を聴いて「おもしろかった!」とメッセージをくれたり、今回のように返信で気にかけていただいたり本当に優しくて素敵な方だというのがわかる。
これに対し僕は「ベキさん!ようやく別班の意味がわかりました!」と返した。この時点で2話までしか見ていなかったのだが、進んでいくうちにドラマの内容とは別に驚愕してしまう瞬間があった。
ベキという名前の重要人物が登場したのだ。
僕はてっきりベッキーさんがご自身のことをベキと省略して名乗っていたのかと思ったが、実際はVIVANTのキャラクターとベッキーをかけた粋なメッセージだったのだ。そんなこともつゆ知らず、何年も前に一度共演しただけにも関わらず馴れ馴れしく「ベキさん!」と、周りにマウントを取るかのように揚々と呼んでいたがそれは全くもって見当違い。なんならベキは作中悲しい最期を迎えるのでもはや失礼にあたるんじゃないのか。
今からベキと名乗ったことを改めてツッコむのももう手遅れだし、お会いする機会もまだなさそうなので直接弁明することもできない。あの呑気な返信で肩透かしを食らったベッキーさんの気持ちを思うといたたまれない。
裏切りに次ぐ裏切りの展開に日本中がハラハラしたVIVANTだが、まさか終わってしばらくしてベッキーさんだけ追加で森本に裏切られるとは思ってもなかっただろう。すみませんでした。
いつかこんな話がなるのかなあ、美談。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。