「かりんとうと抹茶は相性がいい」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第26回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
2024年04月10日

お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、R-1グランプリ決勝での相方・お抹茶さんの話。(TVLIFE 2024年3月27日発売号より転載)


かりんとうと抹茶は相性がいい

みなさんはご覧いただきましたでしょうか?3月9日に放送されたR-1グランプリ決勝。以前ここでも書かせてもらった通り、相方のお抹茶が駒を進めており、その晴れ舞台を同期のとりやま生配信と一緒に自宅で観戦した。

とりやまが買ってきてくれたオリジン弁当をふたりで食べながら賞レース特有のかっこいいあおりVTRを見ていると

「芸人としての力が残酷なまでに出る大会」

と、予選の楽屋で僕が密着カメラに意気揚々と語っている映像が流れた。初めての経験に喜びながらも、あの密着のあとにネタを披露してそのまま敗退したんだっけなという余計な記憶まで掘り起こされてハラミ弁当の味が少し薄れた。

決勝ともなるともちろんとんでもないレベルのおもしろさが続き、そのバリエーションの多さにピン芸の奥深さと可能性を感じざるを得なかった。そしていよいよ8番目にお抹茶が登場し、今年披露したライブの全てで会場を爆笑の渦に巻き込んだ傑作『かりんとう車』を披露した。

ネタ前は「ウケますように」と願っていたが、いざ始まるとこっちの緊張もピークに達し、「とにかく無事にやり切ってほしい」という思いで相方の勇姿を目に焼き付けた。十分すぎるほどのパフォーマンスを身終えると、身体が勝手に大きく深呼吸をし、そこで初めて自分が息をほとんどしないまま見ていたことに気付く。相方がファイナリストになるとこんなにも気持ちが入るんだ。

結果的に点数こそ振るわなかったかもしれないが、審査員のみなさんによる愛のあるコメントとお抹茶持ち前の愛嬌が存分に出た結果、賞レースでは珍しい『この人は順位とか点数とかそういう次元じゃない感』が強く印象に残ったのではないだろうか。

周りの評判も上々で、僕も知り合い数人から子供が夢中でかりんとう車を見ている写真が送られたりした。誰よりも純粋に大会を楽しんでいたことが、誰よりも純粋な子供たちには敏感に伝わるのかもしれない。

一番身近な人間がここまでがんばって結果を出したことは僕にとって刺激でしかない。お抹茶がかりんとうで切り開いてくれた道を僕も長年乗っているネクストブレイク車でなんとか追いつけるようがんばらなければならない。ただ、いかんせんこの車、雨が降っても終わりはしないしワイパーもあるのだが、いまだにアクセルの場所がわからない。それさえ見つけられればベタ踏みするのだが。

まあ焦ってもしょうがないので今日もいったん路肩でオリジン弁当を食べてみる。


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。

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