4月に15周年を迎える『A-Studio+』(TBS系 毎週金曜 午後11時~11時30分)。MCの笑福亭鶴瓶さんと藤ヶ谷太輔さんに15周年を迎えての心境や、今後の目標などを聞きました。
「Actor(男優)」「Actress(女優)」「Artist(アーティスト)」「Athlete(運動選手・アスリート)」で注目の人、旬の人の素顔に迫るトーク番組『A-Studio+』。通常、ゲストを迎える多くの番組は番組スタッフが事前にゲストと打ち合わせを行い、トーク内容(台本)を構成しているが、この番組ではダブルMCの鶴瓶さんと藤ヶ谷さんがそれぞれゲストについて自ら事前取材を敢行。スタジオ収録はMCの2人がゲストと事前打ち合わせなし、トーク台本なしで行う。またMCの事前取材の模様が、取材相手の人となりや和気あいあいとした取材の雰囲気を伝える温かい写真で紹介されることも番組の大きな特徴であり魅力となっている。
◆15周年を迎えられた今の率直なお気持ちを教えてください。また長年続けてこられた秘訣は何でしょうか?
鶴瓶:15年というのはあっという間ですね。僕、わりと『鶴瓶の家族に乾杯』だったり長い番組が多いので、15年は通過点であってほしいですけど、ありがたいです。ガヤ(藤ヶ谷)も続いている番組あるやろ?
藤ヶ谷:Kis-My-Ft2ではあります。僕は2020年から参加させていただいて、5年目に入りました。参加させてもらった当初はいつまでか聞いていなかったので、こんなに長く続けさせてもらえるのはうれしいですし、毎週目の前で鶴瓶さんの人間力を学ばせてもらっています。
鶴瓶:ガヤがすごく上手な方なので、乗っ取られるんやないかと日に日に怖いです(笑)。ファンを連れてここまでずっと来ていて、キスマイのファンもこの番組を見てくれていると思うから。
藤ヶ谷:ありがたいですね。
鶴瓶:ありがたいよね。
藤ヶ谷: 2020年の頃はよく鶴瓶さんから収録終わりに電話をいただいて、僕はアドバイスを求めたのですが、鶴瓶さんは「いや、もうおまえに言うことは何もない。おまえは自然体のとこがええんや」と言ってくださって。なので、そこを自分の良いところだと認識するようにしています。
鶴瓶:本当にそうよ。この番組、自然な空気で流していくのが非常に難しいんですよ。それを最初からできているから、「もう言うことないわ」と言うて。これからこうしろ、ああしろというよりも、自分で見つけてきたから、もうそんでええなと。それにゲストに「ここを聞きたいな」と思うとき、自然と話を振ってくれるから、それはお互いの空気が分かっているから、すっと出てくるし。お互い緊張したり型にはまっていたら、そんなん絶対出てこない。自然な感じやから出てくることだと思います。
◆この4年で新たに知ったお互いの魅力はありますか?
鶴瓶:あっという間に4年が過ぎたんですけど、僕が取材していることを忘れてしまったときに、すっと助けてくれるところ。この番組はカンペがないので、自分で取材した分は思い出さなあかんわけですよ。だから、そういう意味ではもう慣れたんやなって。
藤ヶ谷:確かに、最初の頃はありましたよね。取材が別なので。どこに行ったとか事前に聞いちゃうこともありましたし、取材先が別なのに「誰やったっけ、ほら」とこっちにパスが来るときもあって(笑)。
鶴瓶:そうそう。僕の場合、この番組の収録の前に、違う番組の収録が入っているんですよ。それでややこしくなってしまって、「取材に行ったのはどこだったかな」となって。
藤ヶ谷:でも、最近は鶴瓶さんが「あのー、なんや…」と言っているとき、ご家族のことかな、ご友人の方のことかなと、年々分かってきているかもしれないです。15年と続いている番組でも、鶴瓶さんが「もうややこしくて仕方ないわ」と言ってしまうぐらいに、番組のラフ感というか、そこがすごくすてきだなと思います。一緒に取材をさせていただくこともあるのですが、鶴瓶さんはゲストのことを聞かなきゃというより、たわいもない話からクッと本題に入っていくんです。その鶴瓶さんの姿から、キャリアもそうですが、人間力みたいなものも感じます。
鶴瓶:急に座って、ゲストに関連のある人にゲストの人のことを聞くのもおかしいから。
藤ヶ谷:ちょっと仕事っぽくなりますよね、急に。
鶴瓶:そう。だから、その取材をする人のことをまず聞かないと。一般の方も芸能界の方もおられるので、たわいもない話から入った方がいいかなと。それでゲストも、取材した人と俺がしゃべっていることに喜んでくださるんですよ。
藤ヶ谷:常にゲストファーストだなというのは鶴瓶さんを見ていて感じます。
◆今日は15年分の取材メモを持って来てくださったと聞きました。
鶴瓶:そう。これ、自分で書いた15年間の資料です。
藤ヶ谷:(メモを手に取り)こんなに小さい字で書いているんですね、すごい!
鶴瓶:アーティストとかお笑いとか、みんな分けて取ってあるんですよ。
藤ヶ谷:字、きれいですね。
鶴瓶:ありがとう。これも見てくれ。(藤ヶ谷にメモを渡す)
藤ヶ谷:すごくびっしり書かれていますけど、これ俺のやつですか!? 欲しいです。懐かしい。きっとゲストに出させていただいたことが、こうしてMCに選んでいただいたきっかけなんだと思うのですが、僕のときも鶴瓶さんは僕の家族や親戚、友人に会って取材をしてくださって、すごくうれしかったですし、親孝行、友達孝行ができたなと思っているんです。こうして15年も続けていると、芸能界一ゲストの家族や友人に会っている唯一無二じゃないですか? 聞いたら2000組以上に会っているみたいですよ。
鶴瓶:そうそう。ゲストに来られる人のことを知るのは当然やけども、その人の家族も知っているから、家族と仲良かったりするんですよ(笑)。
藤ヶ谷:収録前に電話されていることもありますもんね。
鶴瓶:そうそう、堤真一のお母さんとかね(笑)。だから、そういうことがすごく大事で。なんでこのメモを持っているかと言ったら、番組に出てくれるゲストもさることながら、ガヤと一緒にやっているので、「ガヤはどんな感じだったかな」ともう一度調べることがあって。
藤ヶ谷:なるほど。僕は今までMCの経験が全くなかったですし、最初の頃はゲストの方について友人の方から聞いた話をできるだけたくさん言わないと、と思っていたところがあったんです。でも、取材こんなにしましたよ合戦になってしまうのは違うなと思ったので、捨てていく勇気が必要だったのを覚えています。
鶴瓶:自分の記憶の中にこれだけの情報があるということがすごく大事だし、今日のゲスト2組にも同じようにメモしているということが大事で、何年たったからやめようとか、そんなんないんです。番組が続く限り延々に続くんです。ただ、1人のゲストに対して7時間くらいかけてこのメモを作ることを1回目からやってしまったから、何でこの作業をやってしまったんだろうと思うこともあります(笑)。
藤ヶ谷:僕もノートに書いているんですけど、例えばライブや舞台、映画と詰まっていて頭がわーとなってしまいそうになっても、鶴瓶さんがこういう作業をずっとやられているんだなと思って、ここで気持ちが負けてしまってはいけないなと思って、やっています。
鶴瓶:でも、ゲストの皆さんが喜んでくれるんですよ。「新曲のここと、昔の曲のこの感じって」などときちんと調べていると。うそでやっているっていうのはバレるからね。
藤ヶ谷:ただ、鶴瓶さんはお忙しいから、一度このメモを家に忘れてしまったときがありましたよね。途中でそれに気づいて、「あかん」と言って家に取りに帰って。手元にメモがあると安心感がありますよね。
鶴瓶:そのまま臨もうと思ったけど…、思い出が詰まっているからね。
藤ヶ谷:こうして鶴瓶さんとご一緒するようになってから、テレビやラジオなどで鶴瓶さんのことを見たり聞いたりすると、本当に長生きしてほしいなって思うんですよ。
鶴瓶:こいつ、この頃そればっかりや(笑)。
藤ヶ谷:本当に思います。長く隣で経験させていただきたいので。
◆これまでさまざまな方に取材をされてきましたが、印象に残っている取材はありますか?
藤ヶ谷:ドラマの現場に潜入することがあって、ドラマのセットに「これ置かせていただきます」と言ってオンエアにのるとかありましたね。僕は体験型の緊張なんですけど、鶴瓶さんは、僕の映画のときもそうでしたが、コスプレ系多くないですか? カツラをかぶったりとか。
鶴瓶:コスプレ多いよね(笑)。
藤ヶ谷:あと覚えているのが、道枝(駿佑)君がドローンにハマっているということで、鶴瓶さんの頭にドローンを飛ばすという。それを僕が真ん中で見ているという不思議な回もありました(笑)。
鶴瓶:そうやな。シム・ウンギョンさんの時はマイナス17度の韓国まで行って、サムゲタンを食べて帰ったりしましたね。
藤ヶ谷:もっと遠くに取材へ行ったことはありますか?
鶴瓶:渡辺謙さんの時にロスへ行って、謙さんの行きつけの食堂に入った。
藤ヶ谷:それは取材のみですか? ちょっと休みをとって行ったり?
鶴瓶:いやいや、取材だけして帰ってくる。
藤ヶ谷:当たり前ですけど、飛行時間の方が長いですよね。
鶴瓶:そう。それでずっとメモを書いてね。
藤ヶ谷:すごいですね。ロスにも行って、韓国にも行って。本当にまだまだ見習うことがたくさんあります。
鶴瓶:でもガヤもライブツアーの真っただ中でもこの収録に来ているんですから。
藤ヶ谷:ライブのときは「めっちゃカッコよかったわ」と何回も言ってくれるんですよ。
鶴瓶:そう。うちの嫁と見に行って、カッコええなって言うたんですよ。
藤ヶ谷:スタジオのときは、あまり言われないんですけど(笑)。
鶴瓶:スタジオでカッコええはおかしいやん(笑)。
藤ヶ谷:でも僕、大切なメンバーに鶴瓶さんを会わせられたのが、とてもうれしかったです。一緒に写真も撮らせていただいて。
◆メンバーからこの番組について何か言われたりしますか?
藤ヶ谷:金土日とかでツアーへ行くと、土曜日の朝に「昨日の夜、見たよ」と言ってくれて、その時に出演されていたゲストの方の話をすることが多いです。
◆見てくれているのはうれしいですね。
藤ヶ谷:そうですね。自分もメンバーの出演している番組を見ることもありますし、そういう「見たよ」って言える距離感もすごく大事なのかなと思っています。
◆今後の番組の目標や抱負を教えてください。
鶴瓶:目標がないことがいいんですよ。『A-Studio+』としてやらなあかんことをこれからも着実にやっていきたいですね。
藤ヶ谷:自分の足で情報を集めているところが、この番組が長く続く秘訣、愛される秘訣かなと思います。皆さん、鶴瓶さんの前だと心を開いてしゃべってしまう方が多いので、僕もそうなれるように頑張りたいです。
PROFILE
笑福亭鶴瓶
●しょうふくてい・つるべ…1951年12月23日生まれ。大阪府出身。O型。
藤ヶ谷太輔
●ふじがや・たいすけ…1987年6月25日生まれ。神奈川県出身。AB型。
番組情報
『A-Studio+』
TBS系
毎週金曜 午後11時~11時30分
番組公式HP:https://www.tbs.co.jp/A-Studio/