映画「ディア・ファミリー」(6月14日(金)全国東宝系にて公開)の完成披露試写会が開催され、大泉洋、菅野美穂、福本莉子、川栄李奈、新井美羽、上杉柊平、松村北斗、光石研、月川翔監督が登壇した。
生まれつき心臓病疾患を持っていた幼い娘・佳美に突き付けられた「余命10年」という宣告。どこの医療機関でも治すことができないという現実。そんな絶望の中、小さな町工場を経営する父・宣政は「じゃあ俺が作ってやる」と、人工心臓を作ろうと立ち上がる。
娘の命を救いたい一心で人工心臓の開発を始め、その後、世界で17万人もの命を救うことになるIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルを誕生させたその秘話を、「君の膵臓をたべたい」から「君は月夜に光り輝く」「そして、生きる」まで、死生観にまつわる感涙作を生み出してきた月川翔監督が実写化。主題歌は、Mrs. GREEN APPLEが本作のために書き下ろした「Dear」。未来へ向かって突き進むパワーあふれる楽曲が、家族の物語に寄り添う。
このたび、本作の主人公・坪井宣政役の大泉洋をはじめ、宣政を支える妻・陽子役の菅野美穂、心臓疾患を抱える次女・佳美役の福本莉子、3姉妹を支える長女・奈美役の川栄李奈、三女・寿美役の新井美羽といった坪井家。
そして、人工心臓の研究を続けている東京都市医科大学の教授・石黒英二役の光石研、石黒が率いる研究室の研究医で宣政のアイデアと熱量に感銘を受ける佐々木肇役の上杉柊平、研究医時代に宣政と出会い、後に研究を手伝うことになる医師役の松村北斗、月川監督が完成披露試写会の舞台あいさつに登壇した。
さっそく会場を見渡した大泉は「こんなに大きな会場で試写をやったことがないものですから、出てきてちょっと驚きました。これはコンサートでございますね、しかも(会場に流れる)Mrs. GREEN APPLEの曲がまたすごいから。僕のリサイタルみたいな気持ちで出てきちゃって」と大興奮。
続けて「これだけ多くの方に見ていただけるということで、大変うれしく思っています。見終わった後には勇気が生まれるというか、前に進もうと思える映画でございますので、どうぞ安心して楽しんでいただければと思います。本日はどうぞよろしくお願いします」とあいさつ。
完成した本作について問われると「撮っているときからとっても手応えがある映画ではありましたけれど、監督の手腕といいますか、本当に愛情にあふれた映画になっていて。なかなか自分が出た映画というのは客観的に見れないものですが、本当に多くのシーンで胸が熱くなってしまいました。他人事ではいられない映画だなと、見てあらためて思いました」と大泉。
菅野も「(試写の際、)大泉さんは結構初めの方から涙されているなって背中の雰囲気で伝わってきました。私も自分が演じた作品ではありますが、映画の持っている力というか、つらい現実を乗り越えて、でも前向きに進んでいこうっていうエールをもらえるような映画だったなと感じています。こういうふうに素直に言えることってなかなかないことなのですが、ぜひ楽しみにご覧ください」と呼びかけた。
福本は「私が演じた佳美さん目線で言うと、お父さんはこんなにも頑張っていたんだなと。こんなふうに思ってくれていたんだっていうのを映像であらためて感じることができました」と。ここで、大泉は「まあ、これからご覧になる皆さんの前であんまり感想を言ってもねえ。大体こういうのってハードルが上がりすぎると楽しめないよね。…始めましょう!」と上映を急かす。
新井は「人の強さ、決心の強さ、言葉の強さをものすごく感じて、こんなに他人のために動ける愛の深い人たちがいること、そして親の偉大さ、家族の愛の大きさを感じました」。上杉は「どんな時代も人の動機って、身近な人とか、手の届く人を幸せにしたいという気持ちが一歩目で、それがどんどん広がってできた社会にいるんだなと。それを伝えられる映画になっているので、どんどん広がっていったらいいなと思います」。
川栄は「私はこの作品を見終わって、自分が役者としてこの作品に出られて本当によかったなって心から思いました。そんなすてきな作品でした」。松村は「本作は坪井家のシーンが多いので、結構客観的に見れたんですけど、かなり感動したんです。でも、その感動は“泣けた”とか“大きな感情が動いた”とかではなく、その後もずっと残る、自分の財産になるような感動がたくさん詰まった作品だなというふうに感じました」と。
光石は「一番絡みが多かったのが大泉さんなんですけど、本当に脚本から原作から読んだときに感動していまして。ただ、こうやって自分が出させていただけたものを“どうだ、感動するだろう”って言うのも照れくさくて。でも、今回の作品に関しては本当にこれ見よがしのカット、芝居がないっていうか、みんなが気持ちで作っていらして。大泉さんとは昔からお友達で時々お付き合いさせていただいているんですけど、まさか泣かされるとは思っていなかった」。
それを聞いた大泉には思うところがあるようで「光石さんは僕より先に試写をご覧になって、ずいぶん久々にメールが来まして。『私の背中を追ってたあの青年がこんないいお芝居するようになって。光石ファミリーの大泉洋がこんなに大きくなって…』って…僕、彼の背中を追ったことないんですよ!? ファミリーでもないし、あれだけすばらしい映画を見た後に、ずっとふざけてるんです。言いたくないけど、撮影中もずっとふざけてましたよ!」と。
大泉によるクレームは止まらず「会った時から、光石さんが緊張しているエキストラ的な芝居をしてくるんですよ。構うしかないから『大丈夫? 緊張してるんじゃないの?』とか言って。役に入りたいのにずっと小芝居を要求してくるので大変でした」と明かした。
また、月川監督は「そんな奇跡みたいなお話があるかな、というところから、ご家族の中でどんなやりとりや物語があったんだろうというところに興味を持って。知れば知るほど、どんどん胸を打たれていきました。本当に愛情に満ちたすてきな物語をお預かりしたので、深く心に届くといいなと思いますし、その手応えを感じている作品でもあるので、皆さんに届くとうれしいです」と語った。
また、撮影でのエピソードを聞かれると、菅野は「ある撮影の時、メイクルームが大きな部屋で、それぞれが支度をするという感じだったんですけど、大泉さんが正座をしてちょこんと座って福本さんとお話してたのを思い出します。大泉さんってお会いすると結構大柄だなと思ったんですけど、福本さんより小さく見えて」と。
そこに大泉がすかさず「なんのエピソード!?」とツッコみ大爆笑。一方の大泉自身は「あれよかったね、菅野さんが持ってきた『ぴよりん』。めっちゃ並んで買うお菓子なんですよ。それをマネージャーさんとメイクさんと手分けしていろんなところに並んで買ってきて。あれはびっくりしました。おいしかったわ〜」と振り返った。
さらに、その後も大泉からのタレコミが止まらない。「何かの番組で、松村くんが“役者として参加するときは現場になるべく地味な格好で行くようにしてる”と言っているのを見たんですけど、僕の現場にはめちゃめちゃハイブランドを着てきています」。松村は「そんなことないでしょ!」と否定をするも大泉からの猛反論が止まらず、しぶしぶ「大泉さんにとってのハイブランドっていくらなんですか? 無地のスウェットですよ! 靴下なんて穴だらけ」と。
大泉は「おい! 随分失礼なことを言うな! 番組ではいい顔して…! やっぱSixTONESって儲かるんだなって…ちょっと、(映画)見てもらいましょう!?」と再び映画の上映を催促。しかし、松村が大泉との共演が夢だったことを明かすとにっこり。「昔から大好きで…」と話す松村に、「それなんですよ。夢がかなったとまで言う私とこれだけいい役で共演しておきながら、ちっとも宣伝しませんこの子。何が忙しいんだか知りませんけど」と愚痴が止まらない大泉だった。
また、上映後にはサプライズで再び一同が登場。月川監督は「この映画は、人の命が尽きていくことが悲しいという映画ではなくて、多くの人の命が救われていくというところで感動を生み出していきたい。そういった前向きなメッセージを込めて作った作品ですので、その思いが皆さんの心に響いていてくれたらうれしいです」と。
そして、大泉が「(本作を通して)自分が生きている時間というのは当たり前ではなくて、1秒1秒そのときそのときを大切に、一生懸命無駄にせず生きたいなというふうに思いました。自分がしたいことに正直に、誰の目も気にせずにやればいいと思うし、自分のしたことが誰かのためになって、その営みが続いていって、人々が本当に幸せになれる世の中になっていけばいいなと。そんなことを感じさせてくれる映画になったなと思っています」と思いを語り、イベントを締めくくった。
作品情報
「ディア・ファミリー」
2024年6月14日(金)全国東宝系にて公開